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ピロゥトーク。
written by Miyabi KAWAMURA
2006/1114(初出BBS)






「オレ、明日帰るわ」
「ふーん」


真白いシーツに頬杖をついて、枕元に止まった小鳥を指先で構いながら。
年下の想い人から戻ってきた素っ気無い答えに、ディーノは苦笑した。

「お前、いつも全然驚かないのな」

突然の来日に、急な帰国。
ディーノが雲雀と時間を共有するのはその僅かな期間の中の更に一時で、タイミングが悪ければ、別れを告げる事すら出来ない。……なのに、この尋常ならざる戦闘力と、そして性格を持ち合わせた少年からは、「いつ来たの?」とたまに言われる事はあっても、「いつ帰るの?」と尋ねられた事は、今まで一度も無い。 

「別に、驚く理由が無いし」
「……何だそれ。つれなさ過ぎだろ」

もはや素っ気無いを通り過ぎて、取り付く島も無い、のレベルにまで落ち込んだ答えである。……こういう懐かない猫の様な所もディーノが気に入っている雲雀の特性ではあるのだが、先刻まで肌を合わせていた状況で言われると流石に虚しい。
華やかな墨の入った腕を伸ばして、雲雀の髪に触れる。……柔らかな黒い髪は僅かに湿り、こんなにも、共に過ごした時間の余韻を残しているというのに。

「……面倒だから、一度だけ説明するけど、」

頬杖に疲れたのか、シーツに頬をぺたんと預けた雲雀が口を開いた。

「あなたの立場とか、状況とか。全部総合して考えれば、日本に滞在していられる限度は想像がつくから。だから驚かないだけ」

理解した? と目で問われ、了解の返事の代わりに、ディーノは触れていた黒髪に、軽くキスをした。

「……恭弥、すげー可愛い」
「……は?」
「そうやって、オレの事考えてくれてるんだ? いつも」
「……馬鹿じゃないの?」

吐息が触れる距離で見つめ合っているのに、しかし。
心底「馬鹿」と言っている視線をディーノに向けると、雲雀はぷい、と寝返りをうって、背中を向けてしまった。

「もう寝る」

きゅ、とシーツで肩まですっぽりと包まり。
微笑う金髪の方を見ようともしないその背中から腕を回して、ディーノは雲雀を抱き締めた。

「このまま連れて帰りてーな、イタリアに」

極東で見つけた、大切、な。

「あーでも、外人の未成年を誘拐すんのは流石にヤバいか?」

残念。
冗談めかして、もう一度黒髪にキス。

「それとも恭弥の国籍書き換えて、イタリア人にして連れてくとか」
「……死んじゃいなよ。」

馬鹿。

……腕の中に閉じ込めた、憎まれ口。
それを聞いていられるのも、あとほんの数時間。

相手と自分の間に有る、そのままならない距離感すらも実は気に入っていて。

そんな事を考えながら終わる、ひとときの逢瀬。

>>fin.


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