甘い投薬
written by Miyabi KAWAMURA
2006/1212
(2006/11〜12/12迄のWEB拍手御礼文)
出会う度に、ディーノは雲雀に触れる。
突然、並盛の町が見たいと言い出したディーノに腕を引かれ、雲雀は屋上へと連れ出された。
上空には、かなり強い風が吹いているらしい。
見上げた蒼天には雲ひとつ無く、降り注ぐ陽こそ明るいものの、季節柄、それは決して温かではない。
吹き抜ける風。
その意外な冷たさを雲雀が意識する前に、その身体は、ディーノの腕で後ろから抱き締められていた。
「それで? いつまでそうしてる訳」
「風が止むまで」
「……咬み殺すよ?」
「それなら、恭弥が寒くなくなるまで」
「じゃあ上着だけ置いて帰れば」
絶対零度に冷え切った声音にも、緩むことのない暖かな拘束。
交わす言葉は、音として耳に届くのと同時に、身体に響く振動として互いに伝わる。
……その事は、今どれだけ相手が間近にいるのかを証明していて、雲雀を更に苛立たせた。けれど。
「恭弥」
名を呼ばれ。
更に強く引き寄せられて、小柄な身体は雲雀の意識に反し、くたりと力を抜いて背後の体温に寄り掛かってしまった。
出会う度に、ディーノはこうして、雲雀に触れる。
「すっげえ手、冷たいな」
「あなたには関係ないよ」
「有るだろ。触ってるオレが辛い」
「……今すぐ死ぬ?」
言葉と気持ちとは裏腹に、甘く緩く痺れる様な。
捉えられた指先から伝わる感覚は、雲雀の身体だけは無防備に変えてしまいこそすれ、しかし雲雀の内から、相手を・・・ディーノを斃したい、という本能にも似た欲求を、失わせる事はしないのだ。
有り得ないまでの、この両極の不一致。
出会う度に、ディーノは雲雀に触れる。
……出会う度に繰り返されるこの『投薬』は、全てを甘く、狂わせていく。
>>fin.
みなさま、沢山の拍手、ありがとうございましたvv
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