恋籠

written by Miyabi KAWAMURA
2009/0803
2009/0814発行予定「恋籠」お試し読み



*御案内*

こちらは、2009年8月3日発行予定
「恋籠」のお試し読みです。

御参考程度の本文一部抜粋です。
それでもいいよ、と思って下さる方のみ御覧下さいませ。

尚、web上で読みやすくなるように、改行等、書式を一部変えてupしています。


*  *  *  *  *  * 



 白く柔らかい肌に齧り付き、大腿に痕を刻んでいく。噛み締め、唇を当てて吸った場所に残る赤い色。

「……っ、ぁ、ん」

 ちゅ、と音を立てながら鬱血の上に更に口付け、数を数えて愉しんでいたディーノの髪に、雲雀の指が絡んだ。

「そ、れ……、ゃ……ッ」

 く、と髪を引かれ、けれどそれでもディーノは、気付かないふりをした。――嫌だなんて、嘘だ。その証拠に今、内腿に頬を摺り寄せてやっただけで、雲雀の先端から濁った体液が滲み落ちた。

「……何が、やだ?」

 緩く首を振ると、それだけで雲雀の指は髪から離れていく。四肢の爪先まで快楽にとろけてしまっている今の雲雀がしてみせる抵抗なんて、ディーノからしてみれば、猫にじゃれつかれる程度の苦にもならない。

「ん、ぁ……っ」

 両膝裏を掴み直され、淫らな角度に脚を開かされて、雲雀の口から溜め息のような声が漏れた。細かに痙攣している肌に浮いた汗。その味を確かめるようにしながら舌を這わせていくと、辿り着いた雲雀の脚の付け根で、ディーノは大きく口を開いた。

「――ッ……! ひ、ぁっ」

 血の色の粘膜が剥き出しになった肉塊を真上から咥え、口腔のぬめりで押し包んでいく。腰を捩り刺激から逃げようとする雲雀自身に、ディーノはわざと歯を立てて咎めた。

「ィ、あ……っ、んんっ!」

 どうしようもなく溢れてしまう声を塞ぎたいのか、手の甲を口に当てた雲雀の方を、鳶色の目だけを上げて見遣る。雲雀の下肢に顔を埋めているディーノからは、なだらかでいて薄い雲雀の身体が描く稜線しか見えない。……自分が施してやっている口淫が、どれだけ雲雀の表情を甘く染めているのか確かめてやりたいとも、思ったが。

「ン、ん……、ッ、ぁ」

 切っ先を飴のようにしゃぶってやった途端、びくんと跳ねて更に張り詰めた肉塊のことを先に可愛がってやることに決めて、ディーノは舌を動かし始めた。
 唇を締めて顔を退き、また深く飲み込んでいく。唾液を肉塊に纏わせながら噛み扱いて、唇からはみ出た肉茎の部分には指で触れ、浮かんだ血管をなぞるように愛撫した。

「嫌、ぁ、……、ん、ン!」
「……恭弥?」

 泣き声めいた嬌声。先端の窪みを舌先で抉り滲んだ蜜を舐め取ると、ディーノは身体を起こして、雲雀を見下ろした。

「顔、見せろよ」
「ッ、離、し……っ」

 ディーノの視線を厭うように顔を隠してしまった雲雀の手首を掴んで、開かせていく。左右の手首をシーツに押し付け覗き込んだ黒い目は潤みきり、噛み締めていたのだろうか、唇は赤くなってしまっていた。

「ひどいな」

 苦笑して、ディーノは雲雀の眦に唇を寄せた。……他でもない自分が雲雀を啼かせ、そして泣かせているのだ。ひどいも何も、あったものじゃない。一応の自嘲を内心で済ませると、雲雀の下肢に手を伸ばした。

「……『これ』が、やだ?」
「ん――ッ……!」

 聞きながら、触れた『もの』。
――雲雀自身の根元には、先刻まで雲雀の襟元に締められていた臙脂色のネクタイが幾重にも巻かれていた。

「触……っ……、ン、ぁ!」

 濃厚で緩慢な口淫の間中、吐精を戒められていたのだ。充血しきった雲雀自身は、もう限界だった。塞き止められた精液が、快感と痛みの両方となって雲雀の神経を灼き続けていた。

「泣いてる。恭弥の……、」
「! ッ、痛、……っ」

 先端の小穴から辛うじて滲み出ているだけの白濁を揶揄され、搾るようにされて、雲雀の口から声が漏れた。戦いで負う痛みは知っていても、こんな風に嬲られ、過剰に愛撫し尽されることで感じる快楽混じりの痛みなど、雲雀にとっては未知のものだ。

「手より、口でされる方がイイ?」
「――っ、ん、ぅ」

 ふる、と首を振ってどちらも拒んだ雲雀の顔を見詰めると、ディーノは雲雀自身から指を離した。

「ん……、……ッ」

 それだけで唇を震わせた雲雀の様子に鳶色の目を眇め、浅く早い息を零している身体の背に、腕を回した。

「――っ、な、に……」

 うつ伏せに身体を返され、訝しむ声を上げかけた雲雀が、息を飲んだ。

「っ……、ぁ、ぅ」

 熟れきった先端が、身体の下でわだかまっていたシーツにぶつかる。ほんの少し布で擦られるだけでも、堪らなかった。ん、と唇を噛んで、震える膝と手をシーツに着く。
頼りなげに指先を震わせている手が自分のものだとは思えなくて、雲雀の表情が険しいものに変わっていく。しかし、それが逆に自分を追い詰めることになってしまうなど、雲雀に想像がつく筈もなかった。








>>夏コミ新刊のお試し読みです。
雲雀たんと跳ね馬の切ない感じのみっちりえろです。
表紙は水咲さんが描いて下さいました。
雲雀たんの生脚萌え…!!!!


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☆文字サイズは中か小推奨です。最小だと読めないです多分☆