「並盛バトン/跳ね馬回答編」
written by Miyabi KAWAMURA
2007/06/25
◆ちょっと説明◆
こちらは、ミヤビが頂いた「並盛バトン」の回答です。
フツウに答えると、どう考えても答えが全部1番になっちゃうな、でもそれじゃつまんないよな、と考えてるうちに、「じゃあ跳ね馬に回答させてみよう!」と思ってつらつら書いてしまった短文です。…ので、SSというよりは…なんていうか「読み物」みたいな?
勿論基本にはディノヒバ妄想がみっしりです。
以前、MEMOのページで「10cm雲雀バトン」をディノヒバの会話形式で回答させて頂いたんですが、その続編というかそんな感じに思って頂ければ幸いですvv
お詫び>小話風に回答、という書式に合わせる為、頂いたバトンの文面を少しだけ変えさせて頂きました。基本の「並盛バトン」は以下の通りです。
【並盛バトン】
テーマに則って、1〜4の選択肢から選ぶ。
(キャラが自分にしてくれるらしい)
質問1>起床!朝起きたら…
1.いつの間にか隣で添い寝、雲雀さん
2.爽やかな笑顔でこちらを見ている山本
3.起きるまでずっと側にいてくれる獄寺
4.遅刻するよ!と無理矢理布団を剥ぐツナ
質問2>登校
1.早く乗りなよ、バイクの後ろを勧める雲雀さん
2.朝練ないからゆっくり行こうぜ!マイペース山本
3.もう間に合わないからサボりませんか?一緒にサボりのお誘い獄寺
4.ほら走って!手を引いてもらいながら、急ぎの登校ツナ
質問3>授業
1.授業なんて出なくていい、一緒に応接室にいて雲雀さん
2.今日も必死にノートを取りながらわかる?と聞いてくる山本
3.どこかわからないんですか?聞いてもないのに教える気満々な獄寺
4.諦めモード全開、もう帰らない?ツナ
質問4>放課後
1.暇なので、雲雀さんにセーラー服を着せてみる
2.暇なので、十二支のユニフォームと山本のユニフォームをすり替える
(他の高校のユニフォームでも可)
3.暇なので、獄寺に白衣(+眼鏡)を着せてみる
4.暇なので、ツナにメイド服を着せてみる
質問5>下校
1.いつまでそこにいる気?日が暮れるにつれ、Sっ気が増す雲雀さん
2.わりぃわりぃ、遅くなっちまったなぁ…そんじゃあ帰ろっか!さり気に手を繋ぐ山本
3.何もしてないのに不良に絡まれる獄寺。アナタに指一本触れさせません!
4.今日の晩御飯は何かな?会話は新婚夫婦並。ツナとほのぼの帰宅
質問6>風呂
1.僕が隅々まで洗ってあげるよ。目が怖いよ、雲雀さん
2.無言の主張、爽やかスマイル山本。手にはタオル2人分
3.顔を真っ赤にし、服の裾を引っ張り一緒に風呂に入って…純情派?獄寺
4.一緒に風呂入るよね?アレ、決定事項?どこか黒ツナ
質問7>一緒に寝るなら
1.寝るにはまだ早いから僕と遊ぶ?(黒笑)何して遊ぶんですか、雲雀さん
2.自分の横に来いと布団をポンポンと叩き、催促山本
3.寝るまで側にいますから!と言いながら、自分が先に寝てるよ、獄寺
4.寝ぼけてる?それとも確信犯?抱きついてくるツナ
>最後にお知り合いの並盛レンジャーを5人紹介して下さい。
ちょうど昼休みの時間に当たったせいか、オレが並盛中に着いたとき、校舎の中は明るい喧騒で溢れていた。
一般常識を鑑みても、黒いスーツの一団を引き連れた金色の髪の外国人など胡散臭い以外のなにものでもないだろうに。
しかしそこはアレだ、日本で言うところの「触らぬ神に祟りなし」という精神のもと、並盛中の在校生達はオレの存在を見て見ぬふりし、上手いことやり過ごしている。……とはいっても。
数週間おきに通って来ては、最強と畏れ称えられる風紀委員長に好き勝手絡んでいく謎の外国人の素性が全く気にならない、などという事があるはずもなく。
時折、恭弥も部下も連れずにオレが一人で廊下を歩いていたりすると、好奇心旺盛な生徒の一部が声を掛けてきたりすることだってあるのだ。……ほら、現に今も。
三人組の女子生徒が、擦れ違い際、オレに「こんにちは」と声を掛けてきた。
それに少し笑って、チャオ、と返すと、彼女達はキャアともヒャアとも判断のつかない、けれどとにかく楽しそうな声を上げて、小走りで逃げていく。
そのときの感じは、なんというか……子猫に一方的にじゃれつかれ、少々面食らいながらも決して悪い気はしないときの感覚に似ているかもしれない。
要するに、「ああ、平和だな」というやつだ。
「学校」という平和な括りの中の、平穏な日常。
けれどオレの思う相手は、その狭い世界の中に於いて際立って異質な、しかしある意味奇跡的なまでに完全な自分のテリトリーを確立している。
先進国の中でも一、二の安全性を誇るこの東洋の島国の中で、どうやったら恭弥みたいな存在が生まれるのか、それは本当に謎というしかなくて……、ん?
「……?」
とりとめの無いことを考えながら応接室に続く廊下を歩いていたオレの視界の先に、一枚の白い紙が落ちていた。
テスト用紙か何かだろうか。
学生時代、お世辞にも成績優秀とはいえなかったオレだ。もし目の前のこれが赤点の解答用紙だったら、落としたヤツは間違いなく慌てているだろう。その気持ちはちょっと分かる。
中身は見なかったふりして、どっかに棄ててやるか。
そう思って手を伸ばしたものの、指が紙に触れる直前、どうやらテストの類ではないということに気付き、オレは一瞬動きを止めた。……が、そのとき見知った文字を文章の中に見つけて、オレは躊躇うことなくその紙を拾い上げた。
【並盛バトン】
「……何だ?」
少し前、やはりこれと似たようなものを応接室の前で拾った記憶がオレにはあった。
そのときは確か、「もし●●が10センチだったら」とかそういう想像をして答えるという、冗談みたいな質問が並んだ紙だった。……が、今回のコレは、あれとはまた少し違うものらしい。無意識のうちに首を傾げながら、オレは続きに目を通した。
『テーマに則って、1〜4の選択肢から一つ答えを選ぶこと』
『選んだ内容を先輩が自分にしてくれる、という設定です』
先輩、という表現に疑問を感じつつ、質問文を読んだオレは、そこでようやく納得した。
『質問1>起床!朝起きたら…
』
1.いつの間にか隣で添い寝、雲雀先輩。
2.爽やかな笑顔でこちらを見ている山本先輩。
3.起きるまでずっと側にいてくれる獄寺先輩。
4.遅刻するよ!と無理矢理布団を剥ぐ沢田先輩。
……成る程。
簡単に言ってしまえば、「この中で誰が一番好きか」のアンケートみたいなもんだ。
3年である恭弥はともかく、2年のツナやスモーキン・ボム、それに山本を「先輩」呼びしているところを見ると、これを作って回しているのは最下級生の1年女子か
確かに、ボンゴレの次世代幹部候補達は、学内でも目立つに違いない。
スモーキン・ボムと山本は如何にも人気がありそうな顔をしてるし、ツナだって本人がどう思っているかは知らないが、何と言っても大空の指輪所持者だ。人を引きつける魅力を持ってない訳がない。(別に、気に入ってる弟分だからって贔屓目入れてる訳じゃないぜ、念の為。)そして、恭弥に関して言えば。
並盛を統べる風紀委員長として恐怖の対象であると同時に、あの容姿だ。
何かしでかして目を付けられて、直接本人に殺されかけたりしない限り、女子生徒たちにとっては、完全に雲の上の存在=憧れの対象、みたいなもんなんだろう。……恭弥に知られたら、それこそ咬み殺すとかいうレベルを超えた惨劇になりそうだけどな。
つか、それはともかく質問1。
コレは考える必要ねーだろ。1だ1。絶対に1。
で、次は……、
『質問2>登校
』
1.早く乗りなよ、バイクの後ろを勧める雲雀先輩
2.朝練ないからゆっくり行こうぜ!マイペース山本先輩
3.もう間に合わないからサボりませんか?一緒にサボりのお誘い獄寺先輩
4.ほら走って!手を引いてもらいながら、急ぎの登校沢田先輩
これも1だ。
恭弥のバイク、か。……オレと一緒の時は、大抵車で移動だからな。そういや恭弥がバイクに乗ってるとこなんて、殆ど見たことないぜ。
廊下の真ん中に立ち尽くしてるのも馬鹿らしい。
そう思ってオレは、廊下の窓ガラスに背を預けた。
背後から降り注ぐ太陽の光を、白い紙が跳ね返す。
……ん? これ、コピーなんだな。つーことは、この一枚だけじゃなくて、学内にかなりの枚数同じもんが出回ってるのか。 ……正直、答えるヤツも命がけだろ? こんなもん、ツナ達はともかく、恭弥本人にバレたら本気で血の雨だ。
苦笑しながら、オレは紙面を目で追った。
『質問3>授業
』
1.授業なんて出なくていい、一緒に応接室にいて雲雀先輩
2.今日も必死にノートを取りながらわかる? と聞いてくる山本先輩
3.どこかわからないんですか? 聞いてもないのに教える気満々な獄寺先輩
4.諦めモード全開、もう帰らない? 沢田先輩
何度も同じ事言わせんな。
1だって言ってるだろ、さっきから。
……でも、そうだな。
もし恭弥に、「一緒にいて」とか言われたら、ヤバいだろうな。
ただ、実際の恭弥はそういうこと、絶対口に出さない。
出さない代わりに、抱き付いてる手の指先だけに力を篭めて、オレに「離すな」って告げてくる。
……あの瞬間は、本当にクる。
可愛い、とか言ったら絶対に殺されるのは解ってる。でもそうとしか言い様がねぇ。……って、ヤバい、これ以上は思い出さない方がいい。収集つかなくなるだろ、マジで。
『質問4>放課後
』
1.暇なので、雲雀先輩にセーラー服を着せてみる
2.暇なので、十二支のユニフォームと山本先輩のユニフォームをすり替える
(他の高校のユニフォームでも可)
3.暇なので、獄寺先輩に白衣(+眼鏡)を着せてみる
4.暇なので、沢田先輩にメイド服を着せてみる
……1。
別に恭弥が何着たからどうだ、とか変なこだわりはねーけどな。何着てても恭弥は恭弥だし。むしろ、着てるもん一枚ずつ脱がしてくときの方が楽しいけどな、男としては。
よし、次。
『質問5>下校
』
1.いつまでそこにいる気?日が暮れるにつれ、Sっ気が増す雲雀先輩
2.わりぃわりぃ、遅くなっちまったなぁ…そんじゃあ帰ろっか!さり気に手を繋ぐ山本先輩
3.何もしてないのに不良に絡まれる獄寺先輩。アナタに指一本触れさせません!
4.今日の晩御飯は何かな?会話は新婚夫婦並。沢田先輩とほのぼの帰宅
すげーな、どの選択肢もアイツらの性格良く掴んでるじゃねーか。
2とか3とか、確かにありそうだ。でもオレ的には1だけど。否、選ぶもなにも、コレとまんま同じ台詞、昨日言われたばかりだし?
「いつまでそこにいる気?」=「あなたと一緒に行ってあげてもいいよ」
だからな、恭弥は。
素直じゃねーよな、本当に。
『質問6>風呂』
1.僕が隅々まで洗ってあげ……
逆だ逆逆。
いつも、オレが恭弥を洗ってやってるんだぜ。
恭弥は本当に信じられない位、細くて軽い。
人間の身体なんて、そう簡単に壊れるもんじゃねーってことは知ってるが、でもそれでも時々、抱き壊しそうになることがある。
「大事にしたい」と「欲しい」のバランスは、どーやったら取れるんだろうな?
……って、今ここで答えが出る訳ねーか。
よし、次が最後の質問だ。
『質問7>一緒に寝るなら
』
1.寝るにはまだ早いから僕と遊ぶ?(黒笑)何して遊ぶんですか、雲雀先輩
2.自分の横に来いと布団をポンポンと叩き、催促山本先輩
3.寝るまで側にいますから!と言いながら、自分が先に寝てるよ、獄寺先輩
4.寝ぼけてる?それとも確信犯?抱きついてくる沢田先輩
「1に決まってんじゃねーか」
「何が?」
目の前に翳していた白い紙越しに聞こえた、耳慣れた声。
「! ……ッ」
「そこで何してるの」
通行の邪魔なんだけど、と、口以上に物言う目で告げられた瞬間。
オレはそれに答えるより先に、内心の動揺を押し殺して、手にしていた紙をあくまで静かに、何事も無い風を装って、ぱたりと二つ折りにした。
……慌てたら、逆に怪しまれる。
この質問の存在が恭弥に知れたら、並盛中の一年女子は、確実に粛清される。全滅どころの騒ぎじゃない。大量殺戮だ。……それだけは、絶対回避しなければ。
「部外者が、勝手にうろつかないでくれる? 風紀が乱れる」
ふい、とオレから視線をそらして恭弥が歩き出す。
薄い背が一歩遠ざかった瞬間、オレは畳んだ紙をデニムのポケットに突っ込んだ。……そしてそのまま手を伸ばして、恭弥の肩を掴む。
引き寄せて腰を捉え。
反転させた小柄な身体を、真正面から抱き締める。
「お前のこと探してたんだ」
オレの肩の高さにまでしか届かない恭弥の黒い髪を柔らかく撫で、覗いた白い耳朶を指先で弄る。
「少しでも早く、会いたかった。」
これは紛うこと無き、オレの本音。
恭弥が抗わないのを良いことに、抱き締めた腕に、ぎゅっと力を篭めていく。
……有無を言わさず恭弥を仰のかせ、その頬に唇を寄せた頃には、もう。
ポケットに突っ込んだ紙のことなど、どうでも良くなってしまっていた。
>>fin.
バトンを回して下さった瑠璃さん、ありがとうございました!!
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