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ひとかけらすら のこさずに
written by Miyabi KAWAMURA
2007/0818
DH_R15.M12>7月のお題>mild ? not wild.
8/18発行「ひとかけらすら のこさずに」にて完結済



*御案内*

こちらは、2007年夏コミにて発行致しましたディノヒバ本のお試し読みです。

本誌に十年後雲雀出てきたよ記念、ということで、

1>十年後雲雀におねだりさせる!
2>十年後雲雀に誘い受けor襲い受けさせる!
3>十年後雲雀に跳ね馬を舐めさせる(笑)。

の3つ+「雲雀をこじあける!」を隠しテーマ(笑)にして書いたお話です。
…と書くとどうしようもない感じですが、全体的にはシリアス風味…なお話な筈。

本当に、御参考程度の本文一部抜粋です。
それでもいいよ、と思って下さる方のみ御覧下さいませ。



*  *  *  *  *  *  



 古城を思わせるボンゴレ本部の邸宅は、実際、この地にあった城を基に建てられている。

十番目の当主を主として迎え入れるまでの間に、時を重ね増築を繰り返された屋敷の内部は入り組み迷路の様になっていて、そしてその中でも、今雲雀がいる地下の書庫は、おそらく最も古い時期に設けられたものだと思われた。

 収蔵された書物が劣化しないよう、必要なとき以外は明かりも消されている場所に、好き好んで近付くものは多くない。そもそも、地下書庫に置いてあるようなもの……科学的でも近代的でもない、言ってしまえば非科学的な内容が記された書物や得体の知れない古物など、皆が皆、重宝する訳でもないのだ。しかし逆にそれは、雲雀にとって都合が良かった。

目当てのものは、思いの外簡単に見つかった。

他人の気配に煩わされることなく用が済んだことに満足し、見つけたものを手に取ると、雲雀は書棚に背を向け、歩き出した。



 地下から地上へと続く通路は、長い。
磨耗し表面が光るほどになった石造りの階段にも、足元を照らす程度の明かりしか灯されてはいない。狭く急な階段の途中に踊り場は無く、上りきったところに扉がひとつ、あるきりだ。古い真鍮のノブを回すと、錆びた蝶番の擦れる音が、階段の遥か下方の暗闇まで反響した。

 開いた扉の隙から一気に差し込んだ光の眩しさに、黒い目が細められる。けれど雲雀の神経は、視覚に頼らずとも周囲の気配を探っていた。


雲雀にとって、「扉を開けた向こう側の世界」は、如何なる場所であっても、狩るべき獲物、もしくは敵の巣窟であるに等しい。


この十年の間に――正確にいえば、八年と十一ヶ月の間にそれだけ危険な生き方をしてきた証の様なものだが、しかしそれ以前から、マフィアなどに関わる前からずっと同じ類の生き方をしてきた雲雀にしてみれば、最早そうあることが当然、なのかもしれない。

 僅かに野趣が残る風に手入れされた中庭に、乾いた風が吹く。雲雀が行く石造りの回廊もそれは通り過ぎ、着ている黒いスーツの表面に残っていた、地下室の冷たい空気の名残を撫ぜ押し流していく。……と、その時。

ふと脚を止め、雲雀は回廊の向こう、中庭を挟んだ反対側へ、目を遣った。

風に揺れる木々の、濃い緑色の隙から覗く金色。


『……恭弥?』


向こうも、気付いたのだろう。
自分の名を呟く相手の声が、雲雀には聞こえたような気がした。



〜(中略)〜



 ディーノの左手の指に寄せていた唇を離すと、雲雀は顔を上げた。鳶色の目を見据えた黒い色の双眸が、ゆっくりと近付く。
ディーノの肩を掴んだ雲雀の指先に力が篭り、吐息がぶつかった、と思った次の刹那には、唇が重なっていた。

表面の薄い皮膚を触れ合わせたまま、乾いた感触を愉しむ様に顔を傾け、時折強く押し付ける。ディーノが雲雀の下唇を緩く噛み、言葉の代わりに仕草で口腔を弄りたいと伝えたそのとき、雲雀が動いた。

身体を浮かし、ディーノの膝上に乗る形で、正面から向き合う体勢に変わる。
肩に置いていた腕を首に回すと、舌先でディーノの唇をなぞり、身体を揺らした。


互いに薄く開いた口から覗いた舌先が、擦れる。


突き、絡ませることを繰り返している内に、雲雀の腰に回っていたディーノの腕が、抱き締めた身体を引き寄せた。

「ん、……ッ、く」

口腔に溜まった唾液を飲み下した雲雀が、甘く呻く。
身体の中心をぶつけるように下肢を身じろがせ、応えたディーノが口付けを深くしてやると、びくりと震えるがしかし、揺るがせた腰を止めようとはしない。

「恭弥……」
「ッ……、は、ぅ」

息継ぎのために離した唇で耳朶を食み、歯を立てると、雲雀はディーノの肩に額を擦り付けた。熱を増した吐息に首筋を撫でられ、鳶色の目も眇められる。

華奢な造りのままに成長した雲雀は、軽い。
膝の上で動かれてもその重さは心地良いだけだ。抱き締めていた腕を解き、腰を掴み下から突き上げてやると、雲雀の身体は、静電気を受けたみたいに強張った。……衣服越しにも気付いてしまえる程、二人の身体は昂ぶり始めていた。


直に皮膚に、触れている訳ではない。
相手の体温と吐息、そして身体を揺らし合い、ぶつけた自身を煽っているだけ、なのに。


殆ど自慰に近い行為をしているだけなのに、その相手が雲雀というだけで、そしてディーノであるというだけで、簡単に歯止めは効かなくなる。

「……っん!」

もっと啼かせようと、ディーノの指が雲雀の下肢に這った。
固くなったところに指をあて、押し潰す強さで擦り上げると、びくりと雲雀の腰が退ける。それを逃がさず追いかけ爪で掻けば、雲雀は拒んで首を振った。

「ゃ、だ……、このまま……ッ」
「……このまま?」

動かないで、と喘いだ雲雀が息を零した。
ソファに着いた膝に力が篭り、細い身体が上下する。

「ァ……んぅ……っ」
「……ッ……」

体重をかけ、ぐ、と自身をディーノのそれに押し付ける行為を、雲雀は繰り返した。――もどかしく淫らな、甘い刺激。達するには足りず、けれど緩慢に続く快楽。
少しでも長く気持ちの良いことを続けたい、と、欲情を隠しもせず自ら動く雲雀の媚態に、ディーノの咽喉が鳴った。

「恭弥、は……」

雲雀の頭を抱き込むと、指で黒髪を掻き分け首筋を晒させる。色付いたそこに舌を這わせ、きつく吸った。残った痕を目で愉しみ、今度は耳に齧り付く。

「……いつの間にこんなに、やらしくなったんだ?」
「うるさ……ッ、んぁっ!!」

言葉で嬲られることに、雲雀は弱い。
欲を溜め込んだ先端から温いものが溢れ、衣服の中で、ぬちゅ、と鳴った。

「ぁ、あ……ッ、く」
「もう、イった……?」
「違……、ま、だ……ッ」

まだ、足りない。こんなものではまだ全然、足りていない。
それはディーノも同じで、けれどわざと煽る言葉を言ってやった。張り詰めた肉塊が濡れた布に擦れ、限界を訴える。

ディーノは、雲雀の両肩を掴んだ。

自分に凭れ掛かっている身体をそっと離させ、伏せられた目を覗き下から唇を合わせる。震えるそこを啄ばみ味わい離れると、ふ、と息を抜いた雲雀が、ディーノの胸に頭を預けた。





>>…このあと、雲雀が更に色々頑張ります。だって十年後だし(笑)。 
雲雀も大人になったんだし!! みたいな…(笑)。




 
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