黒バス
紫赤
R18
20120705
『世界で一番甘いもの』
>帝光時代の紫赤。
>どこでやってるんでしょうね?→多分部室です。
>むっくんが攻めすぎやしませんか?→紫赤の初書きなんで張り切ってしまいました。
「……っ、ぁ、ぅ」
ずる、と粘膜と粘膜とが擦れ、ぬるついた音が立つ。
耳を打つ吐息と、腰奥から這い上がる快感。ぞわりと湧き上がったそれに息を吐くと、紫原は両手で掴んだ相手の腰を引き寄せた。
「――、ッ、ン!」
うつ伏せの身体を支えていた相手の両腕がかくんと崩れ、床に落ちたバスタオルに口元を埋める形になる。
「あ、ごめん、赤ちん」
痛かった?
ぐ、と身体を乗り出すようにして紫原が聞くと、それが刺激になったのか、赤司の中が引き攣ったように震え、紫原に絡みついた。――気持ちが良い。汗にまみれた細い腰を掴んだ掌から伝わる熱も、狭くてきつい中に穿ち入れた肉塊で感じる内襞のざわめきも、赤司の身体から感じられるもの全部が気持ち良くて、紫原は腰を緩く振った。
「……ッ、つ、し……っ」
咎めるようにも、ねだるようにも聞こえる声音。
後ろから犯しているのだ、紫原から赤司の表情は見えない。けれど明確に「止めろ」と言わないのだから、赤司の方だって、この行為を止めるつもりはないのだろう。
「ねえ、赤ちん、気持ちいい?」
追い縋る襞を引き摺るように抜き、硬い切っ先で抉るように中を犯す。は、と息を吐くのに合わせて揺すり上げながら、紫原は右掌を赤司の背に這わせた。
「――っ、ン、ん……ッ」
「汗だく、だ」
言葉の合間に、ぐちゅ、とぬかるんだ音が混じる。
部活の後、シャワーを浴びて綺麗になっていた赤司の身体は、再び汗まみれになってしまっていた。湿り気を帯び、皺になった制服の水色のシャツ。その下に隠れている肌の色が見たくて、紫原は掴んだシャツを無造作にたくし上げた。
「ぁ……、っ、ッ」
淡い赤に染まった白い肌の下に張った、薄くしなやかな筋肉。
うつ伏せにさせられ、腰だけを高く上げさせられるという格好は、帝光を統べる赤司にとって我慢ならないものだろうに、けれど時折、気紛れのように赤司は紫原に「それ」を許すのだ。――その線引きがどこにあるのかは、紫原にもよく分からない。
突き上げるたびに揺れる、鮮やかな赤い色の髪。
腰骨の窪みに沿って滑り落ちる汗を追った掌で前を掴むと、熟れきった肉塊はびくりと跳ね、その瞬間、紫原を咥え込んだ赤司の中が、ざわりと蠢いた。
「! ん、ぁう……ッ」
途端赤司の唇から零れた、甘い声音。ぎちりと締め上げられて、紫原は目を眇めた。
「っ、痛い、よ」
でも、気持ちいーけど。
赤司の背を流れた汗に誘われるように身体を倒すと、紫原は伸ばした舌で、生温く塩辛い雫を舐め上げた。
白く滑らかな皮膚の感触。犬のように繰り返し肩口を舐め、歯列で挟んで、きゅ、と噛み締める。
「――ッ、ぁ、つ、ッ」
「んー?」
どうすれば赤司が、そして自分がもっと気持ちよくなれるのか、そんなこととっくに知っている。
びくびくと震える肉塊を掴んだ掌で扱かれながら指先で先端を弄られるのが、赤司は好きなのだ。溢れるものの量が増えてぐしょ濡れになった頃、根元から先端に向けて幾度も搾ってやり、硬く張り詰めた肉塊を柔らかな袋ごと掌で撫で潰せば、赤司の零す声はますます甘い、とろけたものに変わっていく。
「ぁ……つ……、し」
ほら、今日だって。
気に入らないものをひねりつぶした時とは全く違う、どろりと濃い熱を孕んだ満足感を感じた刹那、ふと頭に浮かんだことがあって、紫原はゆっくりと瞬きをした。――赤司は普段、「紫原」と苗字で自分のことを呼ぶ。なのにこうして身体に触れていると、いつの間にか「敦」と名前で呼ばれていることがあるのだ。これは赤司の癖か何かなのだろうか。考えるともなくそう考えて、でも、と紫原は考え直した。そもそも、「むらさきばら」と「あつし」では、後者の方が断然に短くて簡単だ。赤司も案外、めんどくさがりなだけかもしれない。
「赤ちん、てさあ……、っ」
不意に頭に浮かんだ言葉を、本能的に紫原は飲み込んだ。
――かわいい、なんて。
これは絶対、言わない方がいい言葉だ。赤司は怒ると怖い。今せっかく二人とも気持がいいのに、それを台無しにするのは勿体無いし、何よりそんなことに気を取られていること自体が勿体無かった。
熟れ落ちそうに膨らんでいた赤司の前から手を離すと、紫原はぬかるみを纏わり付かせたままの掌で、細い腰を掴み直した。
「全部……、入れるよ?」
「――ッ、ぅ、あ……っ」
無意識にか、下肢を捩り逃れようとする身体を力づくで押さえ、限界まで開かせた後ろの小さな口に飲み込ませていく。赤黒く充血した肉塊が白い肢体の奥深くに穿たれていく様。赤司の奥を犯せば犯すほど密度を増していく快感に、今すぐ腰を揺らしたくなるが、紫原は深く息を吐いてそれを遣り過ごした。
「……赤ちん、も、気持ちいい?」
返事は戻らない。けれど、それで良かった。
細かに震え、赤味を増した肌に唇を落とし、歯列で挟んできつく齧ると、紫原は残った痕を味わうように舌先でなぞった。
――鉄の香りが薄らと混ざり込んだ、汗の味。
「これ」よりも甘いものを、紫原は他に、知らなかった。
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