LOVE DRRRAG.


written by Miyabi KAWAMURA
2010/0319





*御案内*

こちらは、2010年21日発行予定
「LOVE DRRRAG.」のお試し読みです。

御参考程度の本文一部抜粋です。
それでもいいよ、と思って下さる方のみ御覧下さいませ。

尚、web上で読みやすくなるように、改行等、書式を一部変えてupしています。


*  *  *  *  *  * 






 ん、と声を漏らし、震えた顎を僅かに仰のかせた相手の両腰を、静雄は反射的に掴んでいた。

「……っ、なに……?」

 擦れた吐息の混じった声で問われても、答えようがない。
 眉間に皺を寄せると、静雄は己の行動を悔いた。それはもう、心の底から後悔した。


――このまま、膝から落ちるかもしれない。そう思ったから、つい相手の身体を支えてしまったのだ。


 ……けれどそんなこと、相手に悟られる訳にはいかなかった。――ただ反射的に身体が動いてしまっただけだとはいえ、自分が臨也のことを、どんな形であれ、「心配した」などということが知れたら、この根性悪で口ばかり達者で頭に来ることこの上ない相手のことだ、今後一生、ことあるごとにそれをネタにして絡んでくるに違いない。……が、どうやらそれは、静雄の杞憂に終わりそうだった。

「その、まま……、支え、ててよ」

 どこか舌足らずな声で言った臨也には、きっと、余裕なんて残ってはいない。そのことは、静雄にも容易に想像がついた。……何故なら、ほんの数分前、静雄が帰宅するのを待ち構えていたようにドアを叩き、半分体当たりするようにしながら唇に齧り付いてきた臨也の吐息には、アルコールと人工甘味料を混ぜた上に消毒薬を振り撒いたような、尖った甘さが混ざっていたのだから。






 二人して、もつれるようにベッドへと倒れ込んだ。

 何がおかしいのか、声を立てて笑った臨也は、身体を起こした静雄の膝を無理矢理跨ぎ、正面から向かい合うようにして座ると、言ったのだ。「付き合ってよ」と、ひとことだけ。



「……ン、っ、ぁ」

 生ぬるい体温を感じさせる、濡れた音。静雄と臨也の身体の間で白い指が動くたびに、微かな水音が立った。

「――ッ……、ん、ぅ」

 噛み締めた唇の隙から息を漏らした臨也の大腿が、震えた。
 寛げた前から掴み出した肉塊に絡めた指は、先端から溢れ出したものでぐちゃぐちゃに濡れている。ベッドに着いた両膝をぎこちなく着き直すと、臨也は己の下肢に添えた両手を再び動かし始めた。
 張り詰めた肉塊の裏筋を指の腹でなぞり、辿り着いた切っ先の膨らみを掌で包み込む。

「……っ、ぅ、ン、んっ」

 静雄の掌にも、臨也の身体の震えが伝わってきた。衣服越しにも分かる、細い腰。数年前、来神高校の入学式の日に出会ったときから、臨也の身長や体重が静雄のそれを上回ったことは一度もない。……が、それでも、今の臨也は、些か細すぎるように感じられた。

「シ、ズちゃ……っ」

 痛いよ、と、半分とろけたような声で訴えられて、静雄は臨也の身体から手を離した。――いきなり押し掛けてきた挙句に、趣味の悪い「ひとり遊び」に付き合わされている身にもなってみろ、と言いたいところではあるが、言葉で攻撃するよりも、もっと確実な方法を静雄は選ぶことにした。

「! ――ッ、ひ、ぁ……っ」
「……黙れよ」

 自身を握り、揉みしだいている臨也の手を引き剥がして、熟れきっている肉塊の根元を掴み取る。他人の指の感触にびくびくと跳ねてみせたそこを握り締めると、走った痛みと快感とに、臨也の身体が崩れた。

「ゃ、だ……、ッ」

 静雄の右肩に額を擦りつけるようにして啼いた臨也の吐息と、声。

「手、……、ッ、シズ、っ」

 下肢をくねらせた臨也の体温が、また上がった。
首筋に吐き出される息と、時折触れる唇の熱。

「――馬鹿か、手前」

 空いている左手で臨也の後ろ髪を掴んで仰のかせると、静雄は相手の目を見据えた。

――血みたいに赤い目だ。

 鋭さと澱みを混ぜ合わせたような艶のある、赤い目。それが今は、表面に浮かんだ涙で、ゆらゆらと揺らいでいる。

 顔を傾けると、静雄は臨也の唇を自分のそれで塞いだ。がつ、と歯列がぶつかっても関係なく、自分がつい先ほど臨也にされたように、容赦なく唇に歯を立て、齧り付いた。



(〜中略〜)
こちら以降は、3月19日に追加致しました。



 うつ伏せにした身体の腰を掴み、膝を立たせる。
 引き降ろしてやった下衣が大腿の半ばで留まっているせいで、臨也はろくに脚を開くことが出来ない。その、大腿の狭間。熟れて膨らんだ肉塊の先端から滴った蜜で濡れた白い肌の間に、後ろから静雄は手を進めた。

「ん……ぁ……、んっ」

 柔らかな袋を右掌に収め、中の双球を捏ね合わせるように、緩く扱いてやる。

「ッ、……ゃ、ッ」

 握り締めて離し、また握り締める。ぐちゅ、とぬかるんだ音が立つたびに、静雄の掌の中で弱く柔らかな造りをしている器官が歪に潰れて、淫らな手応えが返ってきた。

「シ、ズちゃ、それ……、っ」

 しないで、と、片言で否を唱えてきた臨也の大腿の合間に差し込んだ手を、静雄は更に先に進ませた。

「! ――ッ、ぃ、あっ」

 反り返った肉塊を裏から掴み、纏わり付いている体液を拭うように、上下にゆっくりと手を動かす。肉茎を手淫されながら根元の袋を静雄の手首で押し撫ぜるようにされて、臨也の下肢が揺れた。

「手……っ、ゃ……ッ」

 大腿で静雄の腕を挟むようにして肌を震わせながら啼いた臨也の背から、黒いコートの裾が滑り落ちた。露わになった下肢とは逆に、臨也の上半身は未だ着衣に覆われたままだ。快楽を追うのに必要な最小限だけを脱がせ、コートの裾とカットソーは適当に背の上に、捲り上げるだけにしていたのだが。

「や、っ……、ぅ」

 シーツに額を擦りつけた臨也の唇から、一際甘い啼き声が漏れた。

「何、……っ、ァ、ぁん」

 戸惑ったような声を上げた臨也が、しきりに腰を揺らし始めた。崩れそうになる膝を着き直し、時折、背を反らせる。――静雄は、僅かにだけ目を眇めた。確かめたい。不意に、そう思ったのだ。
臨也の身体の感触は、確かに自分の掌の中にある。けれど黒い生地で視界が遮られてしまっているせいで、その現実感が妙に薄いものに変わってしまった。そんな気がしたから、確かめたくなってしまった。

「……臨也」

 少しの空白の後、静雄は相手の名前を呼んだ。ゆっくりと名前を音にしていきながら、臨也自身に絡めた右手の指を、ばらばらに動かしていく。

「ん……っ、シ、ズ、っ」

 静雄が手淫を強くすると、それに応えるように、臨也の唇から声が漏れる。

「――ッ……、っ」

 うつ伏せている背に感じた静雄の体重に、臨也の唇から声の無い喘ぎが零れた。右手だけでなく前に回された左手も使って自身を掴み取られ、刹那強張った下肢は、けれど間を置かず与えられた十本の指を使った愛撫に、簡単にとろけていく。

「ん、ぅ、ン……、ッ」

 精液を作り出す敏感で弱い場所を揉みしだかれながら肉茎を掻き弄られて、臨也の零す声が、短く途切れたものに変わっていく。びく、と腰を震わせた臨也の先端から、ぬるいものが溢れた。

「……臨也?」
「っ……、出、ちゃっ」

 問うように呼ぶのと同時に、静雄の中指の腹が、臨也の先端の膨らみに辿り着いた。硬く張り詰めた形を指先で探り、切っ先の小孔のひくつきに爪を立てた途端、白濁混じりの大量の先走りが静雄の掌と指を伝って、シーツに滴り落ちた。……けれど、それでもまだ逐情には至らない。

「ん……ッ、ぁ」

 息を詰めた臨也の膝が、崩れた。無意識にだろう、性器に添えられた掌に自身を押し付けるようにして下肢をくゆらせている臨也の上から身体を起こすと、静雄は相手の腕を掴み、仰向けにさせた。










>>終

…という訳で、ミヤビのシズイザ本一冊目は媚薬ネタです!
このあとは延々えろになる予定。がんばる!



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