排他的独占欲
written by Miyabi KAWAMURA
2006/1006
ぎし、と寝台が軋む音に比例するかの様に、シーツを固く握り締めたウルキオラの指先は、篭めすぎた力の所為で色を失っていく。
「・・・ァ、・・・っ!」
組み敷いた身体の内腿を掴み、捩じ込んだ自身を更に強く穿ってやると、ウルキオラは掠れた声を上げた。
グリムジョーの掌と、ウルキオラの皮膚との間で、汗がぬるつく。その感触に誘われる様に手を這わせると、グリムジョーは先端から溢れ落ちる粘液にまみれたウルキオラの中心を握りこんだ。
立ち上がり固くなりながらも、薄い粘膜に覆われた柔らかな肉を、くちゅ、と音を立てて弄る。
「や・・・、ぅ、あっ、」
「・・・っ、もう少し、締めろ、」
根元を握って戒め、揺すり上げる様にして腰を進めると、グリムジョーの言葉に・・・というよりはむしろ、声に反応したのか、ウルキオラの後腔が、銜え込まされた水浅葱の身体を締め付けた。
内壁の蠢動によってもたらされる快感は、熱く凝ってグリムジョーを突き動かす。
「・・・や、ぁっ!」
ウルキオラの先端に爪を捻じ込み、痛みと快感で震え固く閉じようとする内壁を蹂躪する。とろとろと溢れ続けていた透明な液体には白い濁りが混ざり始め、今、戒める手を放し、奥を衝いてやれば、この敏感な身体はすぐに達してしまうだろう、と思われた。
「グ、リ・・っ、」
仰のいた顎を震わせて、ウルキオラが水浅葱の名を呼んだ。
開放を妨げる指を外そうとウルキオラのそれが触れ、グリムジョーの手の甲にかり、と爪が立てられるが、焦らされ、とろけきった末端神経は持ち主の意に反して力を失い、逆に続きをねだる様な、撫でるだけの動きに変わってしまっていた。
「・・・してみろよ、」
「!!・・・っは、んん!!」
冷たく白く滑らかなウルキオラが眼下で見せる痴態。
彼の肉体を貪っているのはグリムジョーである筈なのに、しかし、抉り捻じ込まれる快楽を追うウルキオラは、無意識にしろ、確実にグリムジョーを煽って止まない。
ウルキオラの手を掴み、彼自身に沿わせ。
その上から自分の両掌を重ねると、グリムジョーは、濡れそぼり震えるウルキオラ自身と彼の指とを、強く握って扱きたてた。
「やあ・・・っ!・・・ぅ、」
「嫌、か?」
「・・・んんっ、ぁ、っ!」
びくん、びくん、と跳ねるウルキオラの反応は、イイ、とも嫌だ、とも取れて、グリムジョーは状況をふと忘れて苦笑する。
崩玉の力を得、「破面」としてウルキオラが得た身体は、初めの内こそ硬質で怜悧な殻にも似ていたが、今はその特性を残したまま、こんなにも快楽に弱い。
「・・・ウルキオラ、」
今一度、吐き出したがるウルキオラを右手で戒めると、グリムジョーは左手でウルキオラの手を取り上げ、その指先に口付けた。
苦く、甘い。
ウルキオラの溢れさせた液体に、ぬるりと塗れた指先。
「・・・、グ、」
碧と水浅葱の視線が交差する中、細い五指を齧り、舐める。
舌先が最後の小指を離れた刹那、ウルキオラが小さく吐息をついたその時に、グリムジョーは、既に深く銜え込ませていた自身の先端を、更に奥壁に擦りつける様に動かした。
「っ・・・!!」
突然の強い刺激に、見開かれる碧。
ぐちゅ、と後腔から立つ粘着質な水音を聞きながら、グリムジョーはウルキオラの腰骨を上から圧しつける様に両手で固定すると、その身体の最奥を犯した。
敏感で貪欲な身体に、欲望を突き入れる。
内壁を抉りられ、先端で刺激される度に逃げる身体はしかし、その内側は自分を犯す相手に絡み付いていた。
「・・・っ!!!」
一番感じる箇所を執拗に攻め立てられて、上り詰めた身体が弾ける。
水浅葱の視界の中で、組み敷いた身体の先端から溢れ出る、白濁の淫らさ。
「っつ・・・!!」
脊髄を重く熱い快感が走り、グリムジョーはウルキオラの胎内へ、すべてを吐き
出した。
「・・・ぁ・・・ぅっ、」
内壁に注がれる液体の感覚に、ウルキオラの呼吸が途切れ途切れになる。
どくどくと注ぎ込まれる熱に、薄い下腹部がぴくんと反応する様と、一度に吐き出しきれなかった名残の白濁が尚も零れてウルキオラ自身に絡み付き、垂れ落ちていく光景を、グリムジョーは大きく息をつきながら見つめていた。
腰骨を強く掴み抑えていた両掌を、ゆっくりと離し。・・・結果、目に映った光景に、グリムジョーは、僅かに顔を顰めた。
ウルキオラの身体の上、汗ばんで常より赤みが増した肌には、きつい拘束によって食い込んだ爪が残した小さな三日月型の傷が、刻まれていた。
グリムジョーの中には、彼自身にも白黒の付け難い混濁がある。
例え自分のもたらした結果であるとしても、ウルキオラに傷などひとつも残したくない、という意識と、いっそ、消えない徴を残してやろうか、と猛る衝動。
そのどちらがより強い渇望であるのかは、常に揺らいで答えは出ない。
「・・・ウル、」
「・・・っ、」
グリムジョーは今一度ウルキオラの腰骨を掴むと、その胎内深くへ穿っていた自身をゆっくりと引き抜いた。
「っ、ぁ、・・・っん!」
後腔を満たす粘液を纏わり付かせたままの肉塊が、達したばかりで敏感になって
いる柔襞を摩擦していく感覚に、ウルキオラの身体が細かく震える。
先端が抜けきったとき、ウルキオラの唇が動いたが、喘ぎ潰れてしまった声は、グリムジョーの耳には届かなかった。・・・弛緩しきった肢体は無防備に晒され、限界まで拓かれていた秘所からは、白濁が下肢へ伝い落ちている。
・・・その下肢へと、グリムジョーは左手を伸ばした。
たった今まで、ウルキオラの中を満たしていた液体。
指に絡み、どろりと掌に滴る「それ」を見て、思う。
他の何かが。
自分以外の他の何かが介在する余地も無い程に、ウルキオラの中の虚ろを、「これ」で満たして、その冷たい身体に這わせた舌からすらも、己の味がする程に、その身体を内から犯してやったのならば・・・。
自分のものに出来るのだろうか。
・・・自分のものになるのだろうか、この、彼は。
>>fin.
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