
dBを単位として使用する場合、上記のようにdBの後に何らかの記号が付いていることは少なくないのですが、単にdBとだけ表示して絶対的な数値を表すこともあります。 dBだけで絶対数値を表す場合、本来は0dB=○○とどこかに記載するのが原則です。しかし記載されてないのを時々見かけます。
次は電子機器でよく使われる単位の例です。
dBV:
0dB=1Vとした電圧表示単位。
dBm:
600Ωという条件で0dB=1mWとした電力表示単位及び電圧表示単位(この場合電圧では0dB=0.775Vになるがこれは0dB=1mWと同じことです)。
dBs:
0dB=0.775Vとした電圧表示単位
dBμV/m:
0dB=1μV/mとした電界強度の単位(もう少しくだいて言うと、1mの高さの標準アンテナが1マイクロボルトの電圧を検出する電波の強さを0dBとした電界強度単位です)。
dBHL:
0dB=0HL(ゼロ hearinng level)とした聴力レベル単位(0HL:正常聴力の成人がもっとも良い条件のもとで聞こえる最小音量の平均値、JIS T1201に規定されている)。オージオメーターによる測定に用いる。聴力レベルの0dBは音圧レベルの4dBに相当。
dBSPL:
0dB=振幅圧力の実効値が20μP(マイクロパスカル・・・物理的に測定する場合に用いる・・・20μPは人間に聞こえる最小の音圧とされている)の音とした音圧レベル単位。
難聴に関連が深い部分をもう少し詳しく説明してみます。
聴力の測定などに用いられるのは「dBHL」という単位ですが、「dBHL」の中の「dB」は何倍、或いは何分の一のような意味の対数です。また「HL」は「健康な人に聞こえる最も小さい音であるヒヤリングレベル」を意味します。
つまり「●dBHL」という大きさの音は、「健康な人に聞こえる最も小さい音」の「●dB」倍であるという意味です(dBは本来、倍という意味を含んでいますから、それに倍をつける説明はおかしいのですが良い表現が見つかりません)。例えば「50dBHL」は「健康な人に聞こえる最も小さい音」の約300倍の音量のことです(50dBは約300倍)。
デシベルは音の大きさを表すために適しているとされていますが、その数値は耳の感覚に一致していなくてあまりピンときません。
耳の感覚は音の大きさが3倍になると、2倍になったと感じるそうです。3倍は約10dBですから10dB異なると倍の差に感じることになります。従ってデシベルと耳の感覚は次の様に対比出来ます。
10dB大きいと 2倍
20dB大きいと 4倍
30dB大きいと 8倍
40dB大きいと 16倍
50dB大きいと 32倍
60dB大きいと 64倍
10dB毎に2倍ですから覚えなくても分かると思います。これを見ると最大60dB増幅出来る難聴用電話機XL50は、音量を最大にすると増幅しない場合の64倍の大きさで聞こえることが分かります。60dBは1,000倍ですから、音の大きさを1,000倍にしても、耳には64倍にしか聞こえないという訳です。
反対に60dBの中度難聴者が使用中の補聴器はその場の音を60倍前後大きく聞こえるようにしていることになりますが、実際の増幅度は1,000倍であり大変ハードな増幅をしていることになります(ホワイトイヤーがどれ程の増幅をしているか想像してみて下さい)。
前回のブログで、健康な人の耳は「聞くことの出来る最小レベル」からその100万倍までを楽に聞くことが出来ると書きました。しかし喧しく感じ始める音が100万倍であるとまでは感じられないのは耳の感覚が上記のような特性をしているからです。
上記を当てはめてみると、喧しく感じ始める120dBHLという音の大きさは、聞くことの出来る最も小さな音である0dBHLの約4,000倍に聞こえることになります。これならそうかもしれないという気がするのではないでしょうか。
聴力のための音量には「dBHL」という単位が用いられますが、音響機器などでは「dBSPL」という音圧を表す単位が用いられます。これは0dB=振幅圧力の実効値が20μP(マイクロパスカル)とした単位です。
そして、20μPの音は人の耳に聞こえる最小の音圧とされています。だから「dBHL」と「dBSPL」は同じであってもいいような気がしますが、実際には4dBだけ異なります。つまり0dBHL=4dBSPLです。
デシベルはこの他にも様々な分野で使用されますが「dB」とだけ表示されている場合は単に倍率の意味しか持ちません。しかし「dBHL」のようにdBに別の文字が加えられたものは基準値があってそれの何倍、或いは何分の一であるというように絶対値を表す単位です(加えられた文字が異なると全く違った単位です)。
ところが、聴力を表す絶対値音量なのにdBのみの表示をいたるところで見かけます。これは聴力のことだと分かりきっているのでHLを省略しているのだと思いますが、書いた人がデシベルの理解をしていない場合も少なくないようです(0dB=○○とどこかに表示してあれば間違いではありません)。
【対数表示の特徴】
電気や音のレベル表示等は通常の数値で表現可能にも関わらず何故対数が使われるのでしょうか。
それは、耳が対数的に音量を感じていることと、電子回路上のレベル計算では対数の方が便利だからです。
例えばレベル10の音がスピーカーから出されていたとします。そして、アンプのボリュームを絞ってスピーカーの音レベルを5にすると、音は半分になります。反対にボリュームを上げて音レベルを20にすると、音は2倍になる訳です。
この時10と5のレベル差は5ですが、別の言い方(つまり対数的な言い方)をすれば1/2です。また10と20の差は10ですが、2倍とも言えます。つまり10は5の2倍、20は10の2倍です。だから、10と5の差と10と20の差は同じだとも言えなくはないのです。対数ではこの差はどちらも6dBであり数値として同じです。また、人は音の大きさをこのような感覚で捉えています。
もう一つ、アンプ(増幅器)の増幅度計算では掛け算を足し算の形で楽に行える利点が有ります。
今、信号を56倍(約35dB)に電圧増幅するアンプと、9倍(約19dB)に電圧増幅するアンプが有ったとします。
そして56倍のアンプの出力を9倍のアンプの入力に加えると、9倍アンプ出力には、56倍アンプ入力の504倍の出力が現れます。つまり(56×9)倍です。しかし、デシベル計算なら足し算で35+19=54(dB)と暗算で楽に出来ます。
割り算を引き算として計算出来るのは勿論です。