2006年 第8回水ものオフ会
俺キングシャークコンテストのご案内

水ものオフ会毎年恒例の俺SFメカコンテスト、2006年のテーマは…
俺キングシャーク   だ!
★俺キングシャークコンテスト 参加要領

 ・日本模型の万能海底探検戦車「キングシャーク」の俺オマージュ作品というコンセプトで行うコンテストです。
  ミドリの水陸両用戦車「バラクーダ」「スーパードラゴン」「バッファロ」を意識した作品でもOKです。
 ・参加者自身が自作した、海底(水中)を自走するキャタピラ式の車輛(探検車や戦車など)であること。
 ・オリジナル「キングシャーク」同様の水上走行機能付きが望ましいが、必須条件とはしない。
 ・市販キットからの部品流用は自由。但しガンタ〇クなどキャラクター商品を改造しただけのものは不可。
 ・常識的に安全なデモンストレーションが可能であれば、サイズや動力等に関する制約なし。
 ・400字程度の、作品のバックグラウンドとなる紹介文を添付する事。
  (紹介文は必須です。ウェブでの作品紹介時に公開させて頂く事があります)
 
★万能海底探検戦車「キングシャーク」とは?
 1968年、日本模型のSFシリーズbQとして発売された、地上・水上・水底を走破するスーパーギミックのJOSF(日本オリジナルSF)戦車プラモデル。2006年の水ものオフ会の俺SFメカコンテストは、この「キングシャーク」がテーマです。
 「キングシャーク」は40年近く前の発売ですから若いモデラーさんには馴染みが薄いかもしれません。そこで作品制作に当ってイメージアップを助けるために、ここであらためて「キングシャーク」と、同じ頃に発売されたその他の水陸両用SF戦車について簡単に御紹介させて頂きましょう。

フロンティア

チャレンジャー

 1959年に日本で初めての動力プラモデル「伊号潜水艦」を発売して以来、精力的に動力模型をリリースしてきた日本模型(通称ニチモ)は、1965年に水陸両用探検車「フロンティア」を発売します。
 モーター動力でキャタピラとスクリューを回し、水上も陸上も動き回ったこのキットのデザインは、後に花開く同社水陸両用戦車のルーツであり、堅実なシャーシー設計はニチモAFVキットの特徴である堅牢さも感じさせます。

 翌1966年には全く同じコンセプトながらよりSFチックでスマートにアレンジされた「チャレンジャー」がN.B.Kから発売となります。
 これは宇宙探検車と銘打っての空想科学メカですが、この1966年という年はミドリが「ビートル2世」「エコー7」などを発売した年でもあり、以後我国のJOSFキットは爆発的に発展する事となります。
(以前このコーナーではチャレンジャーをニチモの製品と紹介した時期がありますが、それは誤りでした。お詫びして訂正します)

パイオニア

レインジャー

 更に同年、チャレンジャーはよりレトロフューチャー感溢れるバブルキャノピー装備の「パイオニア」へと進化します。
 ところでこの「パイオニア」のデザインは当時のティントーイでも同じものがあったというほどのメジャーな近未来デザインでしたが、但しその元ネタとなったメカがどういうものか、あるいは製品としてニチモとトイのどちらが先にあったのかなどについては、まだ研究の途上にあります。

 さて、その「パイオニア」の上部構造はそのまま宇宙探検ブルドーザー「レインジャー」にも使われましたが、このキットは直進して障害物に当たると、自動的にバック方向転換をして走り続けるという驚異のメカニズムを持っていました。
 あうとばぁんさんの報告ではこのギアボックスはコロナというメーカーのユニットで、同じものがイマイのノンストップ「BB−1戦車」でも使われていました。

 そして1968年、ニチモはまずSFシリーズbPと銘打って、それまでのやや時代遅れなデザインであったSFメカのデザインコンセプトを刷新し、記念碑的宇宙探検車「アドベンチャー」を発表します。
 このキットははワンモーターでシングル走行、レーダー回転、観測塔内部の光源回転、ミサイル時間差動発射などのギミックを行うスーパーキットでしたが、こうして我国のJOSFプラモデルの中でもエポックメイキングなSF海底戦車デビューの準備は着々と整っていきました。そして…。
 

キングシャーク

 「アドベンチャー」発売と同じ年の2月、ニチモはSFシリーズの第二弾としていよいよ海底戦車「キングシャーク」をリリースする事となります。
 この「キングシャーク」は、前作「アドベンチャー」に負けない充実したギミックを持つ商品で、陸上、水上、水底自走能力に加え、ミサイルとミニ・ファイターが発射可能で、更に水中で障害物にぶつかってストップすると乗員脱出用のレスキューカプセルが自動的に浮上するという機能までついていました。

 ところで「アドベンチャー」が1モーターで色々な自動システムに凝ったのに比べて、「キングシャーク」ではモーターの動力はキャタピラとスクリューの走行機構にのみ供給され、他は手動による可動ギミックとなっています。

テルスター中尉作 R/C「キングシャーク」

 
 これはおそらく防水を考慮して防水区画外に突き出す動力軸を極力減らすという設計方針が理由と思われますが、逆にその事で、前作では「ギアボックスからの動力供給で如何に多くのギミックを動かすか…」に振りまわされていたようにも思える設計が、一転して車体全体でどのような機構を実現するかと言う、いわば基本的設計思想そのものの進化を成し遂げた様に思われます。

 これにより「アドベンチャー」の全体デザインが(語弊覚悟でいえば)どことなく取って付けた感が否めないものであったのに比べ、この「キングシャーク」では、もし海底戦車なるものがあったなら、きっとこういうフォルムのものであろうという、破綻のない説得力のあるデザインとなりました。
 

バラクーダ

 さて、当時水陸両用戦車プラモデルを発売したのはニチモだけではありません。
 百花繚乱の動く模型全盛期だけに「アリゲーター」「パンジャー」をはじめ、それなりに水陸両用機構を備えた戦車がリリースされておりました。
 しかしそれらは陸上走行と水上走行のみで水底走行機能はなく、しかも正統派SF戦車というものではなしに、いずれも「実車有り風戦車(本当はフィクション)」というテイストで商品化されているに過ぎませんでした。

 しかしニチモに遅れる事一ケ月の1968年3月、JOSFブーム最大の立役者であったミドリが遂に自社のSFメカラインナップに水陸両用戦車を登場させたのです。その第一陣がこの「バラクーダ」と「スーパードラゴン」でした。
 

スーパードラゴン

 「バラクーダ」と「スーパードラゴン」が「キングシャーク」と最も違う点は、ギアボックスをステンレスで作って駆動機構は完全に水中暴露形式と割り切り、モーターと電池だけを完全防水のカセット式ユニットに仕立てて取り外し可能とした事です。
 これにより車体の水密機構の設計を大幅に簡略化でき、更に動力部分はモーター軸のギアをスクリューに換装する事で、3v電源という強力な水中モーターユニットとして活用できるという付加価値も生みました。

 設定では砲塔はあるものの、キット自体の車体上部は一体型で、これが空気室となります。
 ここに空気を貯めれば浮上して水上スクリュー走行となり、逆にここのキャップを外して中に水を入れれば浮力がなくなって沈み、水の底をキャタピラ走行するわけです。
 

バッファロ

 続く1969年に出たミドリ水陸両用戦車第二陣は「バッファロ」です。前2種がキューポラ付き車体デザインだったのに比べ、このキットはケースメート式砲塔の斬新なものになりました。
 前年1968年12月にはタミヤから新金型の二代目ロンメルが発売されてケースメート式砲塔のカッコ良さに惹かれる少年も多く、それ故にこのキットを選んだという思い出を持つモデラーもいます。

 ミドリの水陸両用戦車は各300円で、「キングシャーク」の450円に比べて割安感はあったものの、車体上部は基本的には空気室のドンガラで、キット格からしても「キングシャーク」に水をあけられた感は否めませんが、いずれもミドリの製品らしいスーパーメカの魅力溢れるものでした。


ミドリ1970年カタログより転載
 ところで、ミドリのボックスアートは年代によって幾つかのテイストに分類されますが、この水陸両用戦車3種は、それぞれタッチの違った作品に仕上っているのも興味深い所です。

 「キングシャーク」は1980年代中頃までは再版されていましたが、ミドリの水陸両用戦車は再版の証言がなく、残念なことに初版の1ロットのみで製造が打ち切られた可能性が高い幻のキットです。
 今回は「俺キングシャークコンテスト」と題して「キングシャーク」のオマージュ作品コンテストを開催する訳ですが、同じJOSFを代表するミドリの水陸両用戦車をイメージした作品も受け付けますので、皆さん奮ってご参加下さい。
 

 さて、「キングシャーク」に至るニチモのルーツキットからミドリの水陸両用SF戦車まで、水底を走行する海底戦車模型の御紹介をしてきましたが、皆さんはそれらによって何かインスパイアされたものがありましたでしょうか?
 あるいは更に自分のイメージが固まって、「俺キングシャーク」を作ってみよう!という動機付けが出来たでしょうか?
 もしそうであれば、今からひとつチャレンジして見ませんか?
 今回のテーマはかなりハードルが高いと思われるかもしれませんが、例えばシングル戦車のギアボックスを少々改造して水中モーターを使えるようにし、車体は全く防水しないで水底走行だけにチャレンジするという作品だって可能かもしれません。
 更に当時タミヤのA.M.X.30ナポレオンを無改造でそのまま水中走行させて十分に遊べたという少年もいたように(筆者です(^_^;))、シングル戦車の車体デザインだけを改造して、当日の一発勝負に賭ける猛者もいるかもしれません。
 ここはどうかひとつ貴方自身の海底戦車を作って、水中に突入してそのまま水底走行をする勇姿を、オフ会公式水中撮影記録に残してみませんか?

 「俺キングシャークコンテスト」の戦いは、昨年のオフ会でテーマが決定してから、既に深く…そして静かに始まっているのです。
 

 

TOPページに戻る  2006年水ものオフ会案内ページに戻る