2010年 第12回水ものオフ会
俺海底戦艦「JQ−9」コンテストのご案内

水ものオフ会毎年恒例の俺SFメカコンテスト
2010年のテーマは…
俺海底戦艦JQ−9」だ!
 

大滝製作所のオリジナルキット 海底戦艦JQ−9 のパッケージ

 俺海底戦艦「JQ−9」コンテストの参加要領
大滝製作所の「海底戦艦JQ−9」のオマージュ作品によるコンテストです。
勿論本家の「海底戦艦JQ−9」そのものを作って持ち寄る御大尽参加も大歓迎です。
デザインコンセプトは、艦首に回転ドリルを持った大型潜水艦という点に象徴される海底軍艦「轟天号」のテイストと、舷側の丸い大型観測窓が印象深いディズ二一版「ノーチラス号(海底二万哩)」のテイストを併せ持つものとします。
また、流線型艦橋のついたセイルやビーバーテイル型に伸びる艦尾デザインなど、「ここがJQ−9だ!」という特徴を自由に取り入れて、魅力あるオリジナルデザインの「俺JQ−9」を主張して下さい。
動力、サイズに特に制約は設けませんが、安全にデモ走行できる作品に限ります。



海底戦艦 JQ−9
 とその周辺について
 
不世出の天才 ジュール・ヴェルヌの末裔・・・           
                   それはノーチラス号と海底軍艦の結実だった!

 SFの父と呼ばれるジュール・ヴェルヌ(1828〜1905)は、1870年に「海底2万里」を発表しました。この作品は当時の最先端の科学知識をベースにヴェルヌの想像力を生かして書かれた海洋冒険SF小説でした。
 その中に出てくる万能潜水艦が、ネモ船長率いるノーチラス号です。

【西洋でのノーチラス号の発展】
 ノーチラス号は原作では挿絵などでは単純な魚雷型の潜水艦として描かれていました。これは原作の表現に忠実に…というよりは、原作に書かれている表現だけを過不足無くビジュアル化したという程度のものでしたが、原作発表当時は潜水艦といえばやっと南北戦争で人力潜水艦が登場した頃ですから、この流麗な魚雷型潜水艦というスタイルだけでも先進のデザイン性を感じさせたのでしょう。
 ノーチラス号のデザインは原作の「版」によって幾つかのものがありますが、ノーチラス号のデザインを広く決定的に印象付けたのは、何と言っても1954年にディズ二ーが発表した「海底2万哩」に登場するあのノーチラス号です。これは単にスーパーメカという色付けだけでなく、ノコギリザメや烏賊などをモチーフにしたと思われる生物的なデザインが特徴で、SFのメカにキャラクター付けをしたと言う点でも特筆に価する、いわばデザイン上の革命ともいうべきものでした。
 その後ノーチラス号はリメーク作品にも登場しますが、1954年ディズ二ー版のデザインを踏襲して現代風にリファインしただけというもので見るべきものは無く、今に至っても…いや今後もノーチラス1954を越えるノーチラスは出てこないと思われます。

【日本でのノーチラス号の発展】

フランスで「海底2万里」が発表されて30年後の1900年、日本では押川春浪(おしかわしゅんろう)が海島冒険奇譚「海底軍艦」を発表します。この小説に出てくる海底軍艦「電光艇」こそ、早稲田在学中の押川春浪がノーチラス号にインスパイアされて生み出した和製ノーチラス号だと言われています。この電光艇の特筆すべき点は、ノーチラス号では硬い衝角として描かれていた船体先端が、高速回転する「三尖衝角」となっている点です。これこそが後に東宝版「海底軍艦」でも踏襲されたドリル付き潜水艦の嚆矢でもあったのです。
 その後1963年に東宝は押川春浪の原作を元に、映画「海底軍艦」をリリースします。ストーリー的には原作とは殆ど別物となった作品でしたが、「轟天号」と名前を代えた海底軍艦は、小松崎茂がメカデザインを担当した重厚なものとなり、その強烈な印象はSF潜水艦の頂点として現在も多くのファンを魅了しています。
 轟天号はその経緯から、ノーチラス号をルーツに持つ一つの進化形態である事は間違いありません。
 
【プラモデルと東西ノーチラス号の融合】
 プラモデルが子供達の間で最初の大ヒットを飛ばしていた1964年、まず大滝製作所が「海底軍艦」として轟天号をリリースします。この初版轟天号は螺旋式の推進器を内蔵してジェット噴流による走りを再現しているところが最大の特徴ですが、どうやら推進効率は良くなかったようで、再販品では推進器は通常の外部スクリューに変わっています。
 続いて翌年の1965年には我が国でディズニー関連の商品をシリーズ化して発売していた河田から、ディズニーシリーNo.2として「ノーチラス号」が発表されリリースされます。
 こうして東洋と西洋で別々の進化を遂げたノーチラス号由来の2つのスーパー潜水艦のキットが、昭和40年前後に日本で発売に至ったというわけです。
 ところで当時の日本のプラモデル事情は、将に百花繚乱・何でもありの状態で、面白そうなデザインのものならメーカーがオリジナルデザインに昇華して次々と商品化した時期でもありました。
 あるものはパチモノキットとして、またあるものはメーカー独自の優れたデザインのキットとして子供達に提供されましたが、その中にドリル付き潜水艦というジャンルがありました。
 自社の原潜プラモデルの金型を改修して作られたものや、最初からドリル付きオリジナル潜水艇としてつくられたもの、中には潜水艦ではなく水上艇にまでドリルを付けたキットさえありましたが、その中でも異色の存在だったものが、今回俺SFメカコンテストのテーマにもなった大滝の「JQ−9」でした。
 1966年に発売されたこのキットの最大の特徴は、やはり潜水艦の艦首に偉容を誇る大型のドリルで、防潜網切断機を模した多分回転式のカッターなど同社の轟天号を髣髴させるデザインをしています。しかし更に胴体側面には大型窓が付いていますが、これはデザイン的には殆ど唯一ディズ二ー版ノーチラス号だけが持っているもので、前述のカッターの造作と相まって、JQ−9は轟天号とノーチラス号にインスパイアされたイメージが合体したものである事は明らかだと思います。

 ジュール・ヴェルヌが世に送り出したノーチラス号のイメージは西洋と東洋で独自のデザイン進化を遂げて、作品発表より凡そ100年後に日本で再度出会い、海底戦艦「JQ−9」として融合結実したのです。

UMA会員でもあるイラストレーター青井邦夫氏が今回の企画の為に書下ろして下さったJQ−9のイメージイラスト!す、素晴らしい!
 

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