動く戦車オフ会17回目にして、ありそうでなかった企画が遂に実現!
M4シャーマン祭り


それは昨年のオフ会終了後の掲示版から始まった・・・
 「来年はちょっと気楽に、ともかく数が集まって迫力、かつ、リーズナブルなもので。とすれば、UMAのみなさんが既に持っているものは、多分シャーマンが最も多いのでは?」
 この”マヨル親子の思い付き”から始まったのが今回のM4シャーマン祭りです。

 
●レギュレーション
 
・兎に角M4シャーマン系模型大集合です。メーカー、スケール、タイプは問いません。
・キャタピラ自走が望ましいですが、なんちゃって車輪走行、牽引、ミステリーアクション等動けばOK。
・M4派生タイプなら、M4でない自走砲でも回収車でも兵員輸送車でも何でもOK。
・参考出品として、M4シャーマンのブリキ戦車などはOKとします。東宝特撮のアレ見たいし。(笑)
・迷ったら素直にM4シャーマン作りましょう。

 

 まだきちんとした米軍車両の資料など殆ど見当たらなかったプラモデル創世記の日本で、基本的に零細企業であった我が国の模型メーカーが参考にしたM4戦車のモケイと言えばこのレベルのM4TANKでした。
 あるメーカーは有名模型店で直接求めてディティールの参考とし、またあるメーカーは先行した国内メーカーの出来の良いキットを参考にして新たな商品を開発し…。
 そういった意味で、1960年代中期までの我が国のシャーマン戦車の母ともいえるのが、1958年発売のこのキットでした。
 元々このキットはギアまでパーツとして再現したモーターライズキットでしたが、稚拙で脆弱なパワートレイン周りの設計と硬い樹脂製キャタピラでは満足に走らなかったであろう事は想像に難くなく、程なくしてディスプレイキットに改修されて、その後は長く再販され続けました。
 画像は再販時のディスプレイキットをモーターライズに改造途中のもの。
 今の目で見れば大らかではあるものの、これが半世紀以上前のキットだと思うと驚きを禁じ得ません。
 
 マルサンが日本初のプラモデルノーチラスを苦心惨憺発売して僅か5年後の1963年、それまで産みの苦しみを続けていた田宮模型が突如1/21というビッグスケールで発売したM4A1シャーマン。この当時としては大きさ、精密感、走りの重量感と全てにおいて他を凌駕したスーパーキットは、その後我が国のシャーマン戦車のお手本となります。田宮がキット化に当り参考にしたレベルのM4は「SHERMAN M4 TANK」とだけ表記されたさっぱりしたものですが、田宮はM4A1と明記しているところに、単にコピーしたというのではない自社独自のリサーチが含まれているのが分ります。筆者は以前このキットの正確なタイプを調べた事がありますが、T80広軌型キャタピラで水平懸架のA1ならM4A1-IIAYか?しかし主砲にはM34A1防盾(マウント)らしきものが付いているぞ?エンジングリルはM4A3か?などと迷ってしまいましたが、最近聞いたところでは、どうも元々のレベルのキットが複数のタイプの車両を使ってレストアした車体をリサーチしたもののようで、更にそんな車体を参考にして作られたキットのタイプを特定しようとしていた事に苦笑したものです。
 そんな複雑な車体ではありますが、それが我が国の「本当のM4はこれだ!」という代名詞になってしまったのは興味深いですね。
 
 田宮が決定版M4を出した翌年の1964年、今では航空機キットで有名な長谷川製作所もM4シャーマンを出しています。1/40と表記されていますが実寸はほぼ1/35。しかもこのパッケージはM4A3E8イージーエイト!
 一瞬これは日本初のE8か?と思うものの、箱を開けると中身はやっぱり鋳造車体のレベルの直系子孫シャーマンでした。(笑)
 どうやら、M4には全く形の違う形式が沢山ある事など意識さていなかった当時、「M4シャーマン戦車をお願いします。」と箱絵を依頼されたイラストレーターさんが、自衛隊が1954年以来米軍から貸与されて使用していた国内現役のイージーエイトの資料を参考に描いたのではないかと思われます。
 キャタピラは樹脂製で、今のベルト式ポリキャタよりも硬く、これが当時の子供にうまく走らせられたか検証が待たれるところ。
 ただし、タミヤ同様きちんとした金属性ギアボックスが付いており、元祖レベルのものよりも動きに関しては一日の長が感じられます。
 
 更に1966年には大滝が200円のモーター付き戦車シリーズとしてM4シャーマン戦車を発売します。このキットの特徴はサイドスカート付き車体をモデライズしている事で、75mm砲付きM4A3だと思われます。全体的にバランスが悪くシャーマンに似ていないんですが(失礼)、明らかにレベルの直系ではなタイプという点で、これはこれで画期的なキットでした。その後アリイに金型が移って(?)長らくお勤めを果たした、当時の年少者には懐かしいキットです。
 オータキはこれ以外にもコンカラーや60式自走無反動砲、T92空挺戦車など、オリジナリティーの高いキットでファンを掴んでいました。
 
 初期タミヤの名作と名高い1/21シャーマンがレベルのキットを参考にした事は、タミヤ自身にも忸怩たる思いがあったようで、1966年に新たに独自資料で世に問うたのがこのキットでした。M4A3もE2とくれば強力なドイツ戦車と対峙する為に増加装甲を付けた、今では「ジャンボ」と称される独特の主砲防盾(T110マウント)が付いたものが有名ですが、色々と調べるとあの分厚い平面防盾ではないこのようなタイプもあったようで、単純な溶接車体に見える車体部分も増加装甲と思えば、M4A3E2に見えなくもありません。不鮮明な資料を基にオリジナルキットでシャーマンらしさを求めた、タミヤの企業努力と産みの苦しみが垣間見える懐かしいキットです。
 但しこのキットは独特の垂直懸架タイプを再現しながらガイドの無い平板なゴムキャタピラだった為にキャタが外れやすく、後に車体下部を新設計して当時の決定版M4A3E8イージーエイトとして再出発するのです。
 
 大滝製作所が表記をオオタキと変えてから後の1971年、それまでの古式ゆかしい?モーターライズ戦車シリーズを完全リニューアルし、パッケージも梶田達二先生のシャープなイラストに変えてリリースしました。その中の一つがこのM4シャーマン戦車です。
 子供向け廉価版キットでセンターガイド無しの簡単なゴムキャタピラ仕様でしたが、シンプルで確実なギアボックスと足回りで確実に走った優れたシリーズでした。
 モールドも子供向けにしてはカッチリしたシャープなもので、省略しつつも中々味のある水平懸架サスが微笑ましい、「チビッコのイージーエイト」でした。
 
 シャーマンといえば忘れてならないのが、1974年にニチモがリリースしたこの決定版M4A1です。今では各社から「最もM4らしいシャーマン」として多くのM4A1がリリースされていますが、今でも一部のマニアから最高の車体形状を持つ「最もM4A1らしいシャーマン!」と呼ばれています。
 今から40年以上前のキットですから、キャタピラの形状やパーツの繊細さなどに見劣りはするものの、逆に今から40年も前にこの秀逸なフォルムを世に送ったニチモ設計陣の思いの高さがひしひしと伝わる名作です。
 
 タミヤのイージーエイトとニチモのM4A1が世に出て後、モノグラムがM4「ヘッジホッグ」やM4「カリオペ」シャーマンを出しましたが、国内流通と言う点では出回った数は少なく、日本で普通の模型店で買える1/35キットでは、暫くそれを超える新作が出ませんでした。
 そんなシャーマン冬の時代に一人、気を吐いて精密シャーマンをリリースし、国内の地方都市でも購入できたのが、今のイタレリの前身「イタラエレイ」のM4シリーズでした。
 1980年代にはまだまだ地方都市ではレベル以外の輸入キットは珍しかったのですが、当時筆者が、ラーメンの街喜多方市で求めたのがこのM4A1でした。パッケージに貼られたシールで、トミーがイタラエレイ時代に提携していたものである事が分ります。
 タミヤとはまた違った繊細なディティールと、どうにも硬くて難儀しそうな真っ黒いポリキャタが印象的なこのキット。純粋なディスプレイキットですが、UMAのツワモノなら動力化も夢ではなさそうです。
 
 タミヤがモーターライズキットを突如絶版にして模型ファンを驚かしてやってきたAFV低迷期が暫くしてから、突如旧作キットをベースにした魅力ある限定商品を発売しました。それがこのM4A3E2ジャンボと、T34-85、新砲塔チハの3キットです。
 タミヤは世界的にも例を見ない程、自社既発売商品をどんどんアップデートしてリニューアルを繰り返す「立ち止まらない」メーカーでもあります。特にM4A3E2とT34は田宮俊作氏が思い入れ深いアイテムで、ここに来て1/35で決定版の2作をリリースしたのは歴史的にも重要な出来事でした。初代M4A3E2は「こういうのもあったといえばあった。」という微妙な立ち位置のモデルでしたが、ここに至ってタミヤは、恫喝的なT110マウントと増加装甲を再現した、どこに出しても恥ずかしくない正統派「ジャンボ」をリリースしたのです。
 
 さて、今回参考までにここで紹介したのは、星の数ほどあるシャーマン戦車キットのほんの一部です。皆さんのシャーマン熱を呼び覚ます為にキットの一例を挙げましたが、皆さんのモチベーションは上がったでしょうか?
 当日、多くの動くM4ファミリーが参集する事を待っています!

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