先日梅さんとコラボさせて頂きました、初代キャバッローネ×初代雲の守護者のSSの第二弾。

「このふたりはきっと伝説みたいな恋をしたに違いないよ!」 と、極限妄想を繰り広げた末に生まれた
超局地的(←梅さんのサイトとうちだけというピンポイントな狭さ・苦笑)勝手設定な初代キャバとプリ雲ですが、
このSSをもちまして、このふたりは書き収めのつもりです。←その所為か、自分史上最高度数の激甘い話になってます(笑)。

第一弾の「
ふるいこいのはなし。」を書いた後、梅さんがご自身のサイトにてプリ雲ログを纏めて下さいました。
(「その他の皆さん」というコンテンツ内に収納して下さってます)
そちらでは初代キャバ
ッローネ×プリ雲の梅さん的脳内設定の他、初代キャバッローネ絵も拝見することが出来ますvv
梅さん、素敵な萌えの種を本当にありがとうございましたvv



↑そして初代跳ね馬も婿に迎えるお許しを頂きました。梅さんありがとーvv

★梅さんのお家はこちら★

マケスタ

 


とわのこいのはなし。
2007/1115
witten by Miyabi KAWAMURA(KiraKira★Lovers)
special thanks ! Matsuri UME(Makesuta)
初代キャバッローネ×初代雲の守護者SS/vol.2





 屋敷に姿を見せるなり、彼はオレの私室に閉じ篭ってしまったのだという。


家人には、彼が来たら好きに過ごして貰うように、と言い含めてあるので、その事自体については何ら問題は無い。……問題は無いのだが、憂慮すべきは、彼を取り巻く現在の状況だった。


 ほんの数刻前に起きた出来事――ボンゴレの大空が守護者の幾人かを率い、同盟の締結に最後まで抵抗していた敵対勢力との直接の「交渉」に及んだという出来事は、しばらくの間停滞し、固定化されつつあった主要マフィア間の力関係を、一気に揺り動かした。否、揺り動かした、どころではない。

危うい均衡を保っていた天秤は、これを境に、完全にボンゴレに傾いたのだ。


 今のこの瞬間にも、数多の人間が保身の為に、そして混乱に乗じて己の勢力を伸ばす為に、画策し動いていることだろう。
そんな状況の中、間違いなく事態の渦中にいた筈のボンゴレの雲の守護者が、キャバッローネの長のもとを、隠すでもなく公然と訪れたことが周囲に知れれば、どんな憶測がされるか分かったものではない。……正直に言ってしまえば、キャバッローネの長としての視点から考えると、そのことは逆に有難いとすらいえる。ボンゴレとキャバッローネとの間で結ばれた同盟の存在が公になることによって、今後キャバッローネが利用出来る駒や伝手は、格段に増えることになるからだ。反面、受ける制約もまた増えはするが、けれど得られる利益の方が確実に大きいと、既に予測はついている。

要するに、それとは全く性質の違う、完全に個人的な都合による危惧なのだ。
今、オレが胸の内に抱いているものは。



 ファミリー間で繰り広げられる権謀術数は、果てなく欲深く罪深い。


 綺麗事も世の倫理も、個人の意思も何も役立たない抗争の最中に、彼を――ボンゴレの雲の守護者である想い人を置いておきたくないという思いが、オレの中には存在している。尤も、闇社会に深く関わる家に生まれ育ってきた相手だ。今更、オレがどう動いたところでと思いつつも、それでも叶うならば、と望んでしまうことの、無意味さ。
 オレ自身、ファミリーを率いる人間として幾度と無く人を傷つけ殺めてきたというのに、自分の想う相手だけは護りたい、傷付かずにいて欲しいなどと。
そんな都合のいい願いを聞き届けてくれるのは、計算高い神か物好きな悪魔かのどちらかでしかないだろう。






 閉ざされた扉の前で、オレは一度立ち止まった。ノックをしても、当然答えは無い。

行われた戦闘の激しかった様子は、とっくにオレの耳に届いている。よもや彼に限って傷を負うことはないだろうと思いながらも、その場合のことを考慮しながら静かに扉を開いていく。

室内へ進み、辺りを見渡した。
夕闇が満ちる青い暗い部屋の中で、あっけない程簡単に、彼は見つかった。
天鵞絨色のカーテンに凭れるようにして、彼は、黒い双眸を窓の外に向けていた。



 黙ったまま近付き見下ろすと、硝子を通して差し込む月明かりに照らされた彼の貌は白く滑らかで、とても先刻まで戦っていた人間とは思えない程に、静かだった。その肌の上にかすり傷ひとつ残っていないことに内心安堵し、指を伸ばす。おかえり、と囁きながら、顎を持ち上げ額に口付けた。

僅かに離れ、彼が拒んでいないことを見詰めた黒い瞳から読み取り、今度は唇を重ねる。薄い柔らかな皮膚を食み、両頬を掌で包んだ。

小さな顔を傾けさせて、吐息をこぼす歯列を舌先で割り、触れた先、湿った温かな粘膜をそっと撫ぜる。

 「……、……」

 息継ぎに甘い熱が篭り始めたそのとき、何か言いたげに彼がオレの袖を掴んだ。
唇を震わせた後、上手く言葉に出来ないのか、黒い双眸をひたりとオレに据えたまま黙り込んでしまう様子はいつもの彼とどこか違っていて、訝しく思ったオレは、水を向けてやることにした。

「どうして、そんな顔してる?」

何かあったのか、と、黒い髪を指で梳きながら聞くと、しかし彼は否を唱える。

「じゃあ、退屈だった? 久しぶりに戦った敵が、弱すぎてつまらなかったのか」

彼が答えを見つけやすくなるように、それとなく選択肢を増やしていく。
しかし、それも違うと首を振った相手は、少し俯き何かを考える素振りを見せた後、意外なことを、オレに伝えてきた。


「違う。彼、が」
「……彼?」


目の前の相手が、「彼」と呼ぶ人間はひとりしかいない。

「ボンゴレの、大空のことか」

聞き返すと、案の定。

「……まさか」

オレの声は、意図せず潜められたものに変わっていた。
この抗争で、ボンゴレの大空が負傷したとは――最悪殺されたとは、聞いていない。敵対するファミリーを幾ら制圧したところで、その後を収め支配するものがいなくなってしまえば、事態は泥沼化するだけだ。

相手の次の言葉を待っていたオレの腕が、そのとき掴まれた。

ぐいと引かれ、不意打ちに思わず半歩脚を進めた刹那、彼の額がオレの胸に押し当てられていた。背に回された腕の感触。
オレから彼を抱き締めることはあっても、彼からそうされたことは、今まで数える程にもないというのに。


「……どうした」


彼の顔は伏せられてしまっていて、見えない。
表情を、そして彼の心の内を窺い知れないまま、月明かりが黒髪の上に落とす冷たい光を見ながら聞いた。

「オレに、言えないことでも?」

詰問などとはとてもじゃないが呼べない声音だと、自分でも思える位に甘い声で促がしてやる。

「……上手く言えない、けど」
「それでもいい」

彼らしくない、逡巡する様子。急かさず待つことを決めて黙っていると、しばらくの後、ゆっくりと彼は口を開いた。

「変わった」
「……変わった?」

鸚鵡返しにした言葉に頷く相手の、年相応に幼い仕草が月明かりの中に映える。


「戦い方だけじゃない。彼の全部が」


変わっていた、と。――静かに告げられた言葉に、オレは僅かに眉を寄せた。




 「それは」

慎重に言葉を選びながら、腕の中の相手に答える。

「変わる、だろうな」

否、望むと望まざるとに関わらず、変わらざるを得なかったのだろうとは、心の中だけで続けた。



確かに、ボンゴレは変わった。
「初代」と、「大空」と称されボンゴレのみならず数多の勢力を統べる立場となってから、確実に彼は変わった。勿論、非道になっただとか残酷になっただとか、そういう負の変化ではない。……しかし、彼の生み出す炎には、かつて内包されていた、眩く灼けつく様な熱だけでなく、触れたものを凍てつかせる様な、零度の冷たさも感じられる様になっていた。

その原因は、おそらく、覚悟だ。
終わりの見えない騒乱の中にいながら全てを護りたいと願う心と、相反する絶対不可欠な非情。繰り返される悼みを背負い受け止める覚悟が、未だ年若いボンゴレを、変えたに違いなかった。




 大人しく腕の中に納まっている相手の体温を感じながら、思考を巡らせていく。
他人のことには興味を示さず、己の気の向くままにしか動かないと周囲から思われている反面、本当は彼はおそろしく人の心の機微に敏い。
ボンゴレと共に戦いに赴き、その姿を間近で見ている内に、相手が心の奥底に抱えているものを感じ取ってしまったんだろう。――人間同士の感情や欲望が、戦場では剥き出しになる。高いレベルで拮抗する実力を持っている二人だからこその共鳴だと考えられたが、それが彼を、混乱させてしまったらしい。

「もう、落ち着いたか?」

宥めるように引き寄せた背を撫でる。が、問題は未だ解決していないようだった。
オレの背に触れている彼の指先に、ぎゅっと力が篭められていく。

「大丈夫だ。……ボンゴレは、弱くなった訳じゃない」

どう言えば、伝わるだろうか。

「誰にでもあるんだ。変わることは」

オレの言葉に意識の全てを傾けてくれている相手の肩が、僅かに揺れた。


「誰に、でも?」
「ああ。きっと、お前にも」
「……、それなら……っ」


不意に顔を上げた相手の唇が、音を伴って動く。



――あなたは?



耳に届いた、小さな声。
掠れて揺れる声音と、まっすぐにオレを見上げる黒い目の色。その中に透けて見える彼の心を占める思いの正体に気付いたときには、もう。


掴み引き寄せた、細い身体。
震える華奢な肩、指に絡むしなやかな黒い髪。


背がしなる程に抱き締め、重ねた唇で呼吸を奪い、揺らいだ双眸を間近に見下ろしながら、オレは告げた。



「お前を……、」



愛している。
変わらない、この気持ちだけは。

オレは変わらない。
ずっと、永遠に、お前だけを愛している。



溢れそうになる愛しさに押され、ありのまま告げた言葉。
オレの背に回されていた相手の腕が震えて、けれどその指先に、甘い痛みを伴う位の力が篭められていく。

離さない。離したくない。

互いの思いが、触れ合う身体ごと混ざり合ってしまえばいいのに、とすら。





愛している。
永遠に変わらない想いを告げながら、オレは初めて、気付かされた。


もう全て、変わってしまっていたのだと。


愛おしい相手に出逢い、惹かれ触れているうちに。
幾度と無く熱を重ね、その吐息すらも、交しあっているうちに。



オレは彼を。そして彼は、オレを。



もう既にお互いを、出逢う前とは違ういきものに、変えてしまっていたのだということに。








>>fin.

 

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