雲雀の頬の輪郭をなぞるように掌を沿わせ、唇の柔らかさを確かめるように指で触れて。
そして、その後のディーノの行為は、性急だった。
「……っ、ン、んっ」
顎と後ろ髪を掴むようにして仰のかされ、口腔の粘膜の隅々までを、舌で愛撫される。
溢れ出した二人の唾液で指が濡れてしまっても気にならないのか、何度も角度を変えては、ディーノは雲雀の唇を齧り、誘い出した舌先を歯列で挟み、弄っていた。
「は……ッ、ぁ」
絡め合った舌の表面同士が擦れ、深すぎた口付けが解けていく。
それでもまだ飽き足らないのか、薄く開かれたままの雲雀の唇を舐めて、ディーノが笑った。
「……息継ぎ、上手くなったな」
いい子だ、と。
掴んでいた雲雀の髪を緩く撫ぜ、悠長に、まるで年端のいかない子供を誉めるような言葉を吐いてみせたくせに。けれど跳ね馬は、もう愛撫の矛先を次へと変えていた。
「背、も……、」
「――、ッ、ん!」
「前に会ったときより、少し、伸びた」
――聞かれても、答えることなんて出来ない。
雲雀の身体の中心で、ディーノの指が動いているせいだった。直接触れられている訳でもないのに、身に着けている細身の仕立ての黒いスーツの布越しにそうされているだけだというのに、先にある快感を知っている身体では、その微かな刺激が、余計に我慢出来ない。
「恭弥……、なぁ」
「……ッ……」
ぐ、と握り込むようにされて、雲雀の息が詰まった。
「ゃ、……ッ、ぁ」
「……ん?」
「――、ふ……ッ」
耳朶を食まれ舌先で探られて、注ぎ込まれた吐息の熱さに、雲雀の体温も応え、熱を増していく。
「……触りたい」
「……、ぁ、っ……」
「恭弥の……、オレの指と、手で」
「だ、……っ、ゃ」
言葉の合間に緩められたベルトが、かちゃ、と微かな音を立てた。
それにびくりと反応した雲雀が、身体を引いても、ソファの上では、逃げることも出来ない。
前を寛げただけの狭い中に捻じ込まれて来る男の掌の感触に、雲雀は唇を噛み、吐息を飲み込んで、耐えた。
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