雲雀の髪を梳き、絡め取った指の合間から零れ落ちる感触を愉しむようにしているディーノの脚の間に身体を置いて、雲雀は、口淫を続けていた。

「ん……っ、ぅ」

 くん、と顔を引かれ、舌の上を滑った屹立の先端を唇に押し付けられる。――相手が何を望んでいるかは、言葉にされなくとも知れた。頷く代わりに目を閉じ、溢れ滴り落ちた唾液と、肉塊から滲んだ先走りとでぬるぬるになっている場所に舌を当てると、雲雀はそこをゆっくりと舐め始めた。

「……、ッ、ン」

 白濁混じりの粘液を零してる窪みを尖らせた舌先で抉り、唇に浅く咥えて、吸う。
淫らな体液の味と、匂い。先刻、ソファの上で施された中途半端な手淫のせいで熱を帯びてしまっていた雲雀の身体も、否応無しにそれに反応し煽られていく。

 じわり、と。下肢で滲むように疼いた快感を散らしたいのか、もどかしげに腰を捩らせた雲雀に気付いて、ディーノは鳶色の目を眇めた。ベッドに浅く腰掛けているディーノのそれを口に含むため、雲雀は床で膝立ちをしている。上半身を包む白いシャツと黒いネクタイ、黒いジャケットはそのままに、下衣だけを全て剥ぎ取られ、剥き出しになった白い膝を何度も床につき直している雲雀の中心が膨らみ始めている様は、鳶色の目によって捕らえられていた。





「ふ、……っ、ぅ」

 ディーノ自身の根元に手を添え、裏筋を舐め上げた雲雀が、顔を傾けた。

「――ッ、ん」

 細やかに横齧りされて、ディーノの咽喉が鳴った。――身体の中心の、はずかしいところを鳶色の目に視姦されていることに気付かないまま、一心不乱に舌を動かしている雲雀の、無意識が故の媚態。薄く唇を舐め、もっと、と促すように雲雀の髪を緩く掻き混ぜ眦に浮いてしまっている涙を指先で拭ってやると、ディーノは口を開いた。


「恭弥、口……、開けろよ」

「……っ……」


 従順に緩められた唇は、濡れそぼっている。
そこから覗く薄暗がりの中の、湿った粘膜の感触。もう何度も味わったことのある、けれど決して飽きることが無い快感がもう一度欲しくて、ディーノは雲雀の頭を両手で支えると、一息に自身を雲雀の唇の内側へと潜り込ませた。

「! ――ッ……」

 咽喉の奥を突き、口腔を満たす肉塊の質量に、雲雀の表情が歪んだ。
咥え込まされた異物を吐き出そうと、えづくように蠢いた咽喉のうねりは、しかしそのまま肉塊を悦ばせる刺激に変わる。

「んん……ッ、ぅ、ぐ!」

「――ッ、は」

 きつく目を閉じてしまった雲雀の目元は、ほの赤く色付いてしまっていた。
ディーノが腰を揺らすたびにぬかるんだ水音が立ち、二人ともの呼吸が乱れていく。狭く柔らかな粘膜に擦られ、固い歯列に扱かれることが続いている肉塊へと向かって、腰の奥から重たるい熱がせり上がった。

「――ッ……! ぅんッ!」

 口腔の中で嵩を増し、跳ねた肉塊の先端から溢れたものを咽喉で受け止め、雲雀が啼き声めいた呻きを漏らした。

「ン……っ、ん!」

 忙しなく咽喉が動き、注ぎ込まれる生暖かな液体を、殆ど反射的に嚥下していく。








 深く息を吐き、己の下肢へ引き寄せていた雲雀の顔を遠ざけると、ディーノは自身を片手で掴み緩く扱いて、残滓を搾りだした。雲雀の前髪と白い頬に跳ねた白濁液が滴り落ち、飲みきれず唇から溢れたものと混じって、シャツの襟元を濡らしていく。

「恭弥……」
「……、っ、ん」

 ベッドの上に引き摺り上げられ、忙しなく乱れた息を奪うように唇を重ねられて、雲雀の指が震えた。惑うようにシーツを掻き、握り締めるような仕草をした手が、ゆら、と持ち上がる。

「ディ、……、……っ、ぁ」

 もつれてしまった舌をあやすように甘く吸われ、緩く吸い上げられて、雲雀の中から躊躇いが消えていく。自分に覆い被さっている男の背に掌を添えると、雲雀は縋るようにして、指先に力を篭めた。

「……ぅ、ん、っ」

 組み伏せられ、全身で相手の体重を受け止め、体温を感じ取る。それで得ることが出来る充足感は、雲雀の思考を緩く甘く蕩けさせていく。……けれど、同時に。 「――ッ……」  唇から零れかけた喘ぎを噛み殺して、雲雀はディーノの背に爪を立てた。 身体の内側を満たし始めた、まるで蜜を焦がしたような、どろりとした甘い、けれど苦味を孕んだ感情。もう、馴染みになったこれは、『痛み』だ。


「……恭弥……?」
「――っ、ぁ、ん……っ」


 ディーノが僅かに身体を揺らすと、それだけで雲雀は、しどけなく開いてしまっていた両脚の膝をひくりと跳ねさせて、啼いた。







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