REVELL

1/40  M4−18T CARGO TRACTOR



 我国のプラモデル創世の将に母体となったキットはマルサンがコピーしたレベルの原子力潜水艦ノーチラス号である事は今では有名な事実ですが、1958年当時既に現在の目で見ても素晴らしいモールドを誇ったレベルのプラモデルは、そのようなコピーという形ではなくても、その後マルサン・ラベールや郡是レベルという供給形態で私達に大きな影響を与えました。しかしやがてそのレベルも世界的なプラモデルの低迷という時代に翻弄されて、今ではあの「神話メーカー」であったモノグラムと共に同一資本の傘下に統合されています。既に両社とも嘗てのような飛ぶ鳥を落とす勢いは無くなり、厳しい現実の中にその身をゆだねている事は、当時を知る者として一抹の淋しさを禁じ得ません。

 そんなレベル社は一時期ヒストリーメーカーのレーベルで嘗ての栄光の名キットを次々と再版しましたが、それは今にして思えば新規の金型によるキットをリリースする体力を失った巨人の苦しい選択だったのかもしれません。そんな同社がヒストリーメーカーの「建武の中興」の時期の後釜としてリリースした幾つかのキットの中の一つがこの「M4−18T CARGO TRACTOR」でした。

 実はこのキットは、先に紹介したニットーのM4トラクターカーゴそのままのキットです。最近日本でも、1970年代のアメリカの模型メーカーと、その下請けとしての日本の模型メーカーの関係が少しずつ明らかになっていますが、そう言った関連を考えると何も今更とは言えないながらも、このキットの実態を初めて知った時、”プラモデルの老舗アメリカ”の意外な台所事情の苦しさを実感された方も少なくないでしょう。
 そもそもモーターライズキットであったニットーのキットをそのままディスプレイキットとして発売した事もさる事ながら、その電池ボックス部分に”NITTO”のロゴを付けたままのレベルのキットは、微かな淋しさをたたえながら店頭に並んでいたのです。

 とはいえ、ニットーのキットの特徴であった単純なシーソー機構のサスペンションの魅力を最大限にアピールしたこのボックスは、古式ゆかしいゴムキャタピラに気付かせないほどスマートな演出ですが、しっかり効いたパースの構図と相俟ってとても魅力溢れるボックスデザインとなっています。
 

 下の画像はレベル社の古いカタログに載っている「M4 CARGO TRACTOR」と「M2 CANNON」です。ここに写っているキットは同じM4カーゴながらも上のパッケージの写真(=ニットーのキット)と比べると、フロントグラスの形状が角張っている事、車体側面のドアや窓の形状の違い、キャタピラが樹脂製のように見える事などから、レベルはニットーのキットの再版以前に自社オリジナルのM4カーゴをリリースしていた事が分かります。
 しかし、そんなレベルが何故ニットーのキットを再版するに至ったかについては興味のある所です。

 

資料提供:「みけ」さん

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