俺SFメカコンテスト 



 動く戦車オフ会毎年恒例の俺SFメカコンテスト、2006年のテーマは…
ミサイルタンク「俺ガネフ」 だ!

★ミサイルタンク「俺ガネフ」コンテスト 参加要領

 ・ミサイル戦車というコンセプトで参加者自身が製作したオリジナルSFメカである事。
 ・キャタピラ走行車輛でも装輪走行車輛でも可。
 ・動く戦車オフ会という趣旨なので、極力自走可能である事。
 ・必ずミサイルを搭載している事。中村産業オリジナルの「ガネフ」はミサイル2発搭載だが、今回ミサイル数は自由。
 ・市販キットからの部品流用は自由。
 ・屋内でのデモンストレーション可能であれば、サイズや動力等に関する制約なし。
  (但しシングルレースに出場する場合はそちらのレギュレーションに従います)
 ・400字程度の、作品のバックグラウンドとなる紹介文の添付を推奨。
  (今回から紹介文は任意です。ウェブでの作品紹介時に公開させて頂く事があります)
 



★ミサイルタンク「ガネフ」とは?
 JOSF(日本オリジナルSF)プラモデルの最盛期である1968年に、中堅メーカー中村産業がリリースした大型ミサイルを2基搭載した戦車キット。同社SFシリーズのひとつ「アタックシリーズ」として発売されました。
 当然当時の少年達の間では同社オリジナルのSFプラモデルだと思われていましたが、そのデザインの元ネタはソ連の地対空ミサイルSA−4運搬車、その名も「GANEF」でした。
 
 中村産業のガネフはマブチ13モーターでシングル走行し、ミサイル2発を時間差で自動発射するギミックが付いていました。但しミサイルは全体が発射されるのではなく、太い本体部分はランチャーに残り、前半部の弾頭本体部分だけがスプリング発射されました。
 また、車輛本体は転輪が7つから5つに簡略化されているのもキットの特徴です。



 NATOのコードネームSA-4ガネフ(ソ連では「2K11ネバ」と呼ばれていました)は、1964年に赤の広場で公開された地対空ミサイルで、正確には運搬車輛そのものはガネフの呼称の中には含まれていません。
 第一段部分がラムジェットとなっており、見る者を圧倒するその太さと、ラムジェットが働くまでの初期速度を確保する為の補助RATO(ロケットアシストテイクオフ)ブースターが特徴で、姿勢制御の為の大型翼もスパルタンな印象を与えます。
 巨大な推進メカを有するだけにSA-4はマッハ2.5で射程72,000メートルをカバーする強力なスペックを持ち、現在でもロシアの移動式地対空ミサイルの中では2番目の長射程を誇ります。
 で、ここで遂に登場する事になった現存する数少ないナカムラ「ガネフ」の貴重な画像です。助手さんとお友人の方本当にありがとうございます。
 先のピンボケ写真は1968年の雑誌広告からのピックアップでしたが、キットの完成品ではミサイルの形状が大きくアレンジされていて「ガネフ」というにはちょっとためらわれるんですが、こうしてパッケージを見ると紛れも無くSA-4「ガネフ」のキットだという事が分ります。
 手前に大きく兵士の姿を描いた構図は、当時のイラストの流行りを感じて懐かしくなってしまうおじさん達も多い事でしょう。

 次はナカムラ「ガネフ」のキット全景です。
 今から40年近く前に400円のプラモデルと言えば当時の子供達には中々気軽には買えなかったものですが、余裕ある箱の立派さなどからもこのキットの風格が伺えますね。
 まだまだ世の中が裕福ではなかった日本で、これを手にした当時の模型少年達はどれほど胸を躍らせた事でしょう。
 今回の「俺メカコンテスト」のレギュレーションを決定するにあたり、何をもって「ガネフ」と位置付けるかという議論がありました。
 ナカムラのガネフ=SA-4「GANEF」と位置付けた場合、「大型ミサイル2基を搭載した装軌車輛」という定義が妥当とも言えますが、最終的には参加の為の敷居を低くして、より自由な発想でミサイルタンクを造形しよう!という事になり
 ・ミサイルの数は自由
 ・足回りはキャタピラだけでなく装輪でも可
という事になりました。ホバークラフトも可という意見もありましたが、ここは動く戦車オフ会という事で、一般的なAFVの範疇で「キャタピラ又はタイヤで自走する車輛」とさせて頂きます。
 つまり、「俺スカッド」「俺フロッグ」「俺オネストジョン」「俺ラクロス」など、広くミサイルを搭載した俺SF車輛と位置付けて作品を募集します。
 そこで参考までに、幾つかのミサイル戦車、ミサイル搭載車輛のキットを紹介してみましょう。

 まず最初はミサイル戦車と言えば「これ!」というほどメジャーなスカッドミサイルキャリアです。
 スカッドも息の長いベストセラーミサイルで、運搬車輛もドラゴンから1/35でリリースされた装輪式キャリアが有名ですが、我国ではイマイからBB−3の名前で発売されたJS−3ベースの装軌式キャリアがダントツの人気でしょう。
 右のキットはロコの名作で、小さいながら重厚な雰囲気がよく再現されています。

 さて、イマイのミサイル戦車といえばBB−3の兄貴分BB−1も外せません。
 左の画像は再版時のシングル走行キットですが、初版は両軸モーターとフライホイールを組み合わせた超絶ギアボックスで「壁に当るとバック方向転換をして再度前進する」というギミックの付いたノンストップシリーズとしてリリースされました。
 BB−1、BB−3のボックスアートは、あうとばあんさんのサイトで紹介されていますのでそちらも御覧下さい。(上記ページは2002年のエープリールフール特番ページです)

 
 そのイマイのBB−1の元キットとなったと思われるFROG−3ミサイルキャリアのキットがこれ。
 画像はグレンコが1988年に再版したディスプレイキットのボックスアートのトリミングですが、キットの車体には電池受けやギアの組み込みモールドが有り、元々はモーターライズだった事を物語っています。この造形からして、多分オリジナルは1950年代後期あたりのITCのものではないかと思われます。
 実車は3R-9ルナ地対地ミサイル(NATO名のFROGはFree Rocket Over Groundの略)を2P16自走ランチャーにセットしたもので、このシステムがFROG−3と呼ばれています。
 ミサイル本体は後継機3R-10に比べて弾頭部分が太いのが特徴で、キットは複雑なランチャー部分を良く再現した秀作です。
 さて今度は先のスカッドミサイルのアップデート版キャリアにも御登場願いましょう。湾岸戦争以来有名になったスカッドBキャリアMAZ-543の大型キット。勿論ドラゴンの1/35です。
 作りにくさにも定評がありましたが、完成時の迫力は素晴らしいものでした。
 また、イラク戦争を受けてアリイから発売されたスケールボードとアルフセインも話題のキットでした。アリイは良くも悪くもこうした時代の話題に敏感に反応するメーカーでもありますが、それだけに一度買い逃すと中々手に入りにくくなる難しさがあります。
 トーピドー・モデルズさん、御協力ありがとうございます。
 次はトランペッターのSAM-6地対空ミサイル「ゲインフル」の1/35キットです。
 ミサイル戦車のキットは数々あれど、油が乗ってきたトランペッターが2005年にリリースしたキットだけに素晴らしい出来で、エッチングパーツが同梱されている優れものです。
 但しキャタピラは直線部分が繋がった分割接着式で、走行させたがりの動く戦車マニアにはちょっとやっかいな代物。
 実車は57mm高射砲の後継兵器として低空で侵入する敵航空機を撃墜する事を目的に、1967年から配備されたものです。
 これはこのままでも充分にSFチックなメカですね!
 さてミサイル戦車といえばアメリカも負けてはいません。右はシズキョーのXM474E2ロケット戦車です。
 実車はM113装甲兵員輸送車をベースに開発されたM474_TEL(Transporter Erector Launcher)で、シズキョーのキットはその試作車輛をモデライズしたもののようです。
 M474はパーシング1型核ミサイルを運搬する移動発射機で、キットはその巨大なミサイルを魅力的に表現しています。
 キットのスケールが誤植で1/250になっている所がコレクターの間では有名。(本当は1/25?)
 昔、アイスクリームコーン型のハンドランチャーでピンポン玉を弾いてキャッチボールする玩具がありましたが、それと同じように凹んだ板バネをトリガーで圧縮し、パチンと凸型に変形する時の反発力でミサイル先端部を飛ばすギミックが付いています。
 マブチ25モーターでシングル走行します。
 次に御紹介するのはスナップの名作ホークミサイルキャリアで、画像はライフライク版の再版パッケージです。
 このキットは1960年代にマルサン商店がマルサンスナップレーベルで売り出したした事でも知られ、後にクラウンからM20走行車と共にコピーの廉価版キットも発売されました。
 確かにキャタピラ走行のミサイルランチャーなんですが、ミサイル戦車というにはちょっと可愛いですね。でも1950年代のAFVは、今見ても新鮮さを失わない特徴あるデザインのものが多く、パンテルやタイガーだけでなくこの時期の車輛を今の技術でもっとキット化して欲しいと思うモデラーは少なく無いでしょう。
 日本ではまだ国産プラモデルが産声を上げるか上げないかの時期に、既にこういった魅力的なメカを精力的に開発していたアメリカの凄さが実感できる逸品です。
 今度もライフライクの名作ですが、ここからは装輪式ミサイルキャリアの紹介です。
 好きな人にはもうたまらないミサイルトラックの王者オネストジョンミサイルトラックです。このキットは今でも最高のオネストジョンキットとしてマニア垂涎の的となっているほどの精密モデルで、1/40スケールとは思えない重厚な印象と、ソフトスキンの繊細さを同時に再現しています。
 日本でも米軍が富士に持ち込んで話題になるなど有名な車輛ですが、実戦での活躍となるとやはり九州に出現した巨大飛行生物を阿蘇で撃退した戦果が唯一でしょう。(え、いや、空の大怪獣ラドンの話しデス)
 実車は5トントラックをオネストジョン専用にアレンジしたキャリアでやや時代を感じますが、ミサイル自体も「無誘導で核弾頭も装備可能」という、今から考えれば結構無茶苦茶な兵器ではあります。
 でもさ、男の子っていつになってもこういった直球勝負のゴツいメカに憧れるんですよね。
 オネストジョンといえば、このキットも忘れてはなりません。三共ポリマーのオネストジョン地対地ミサイルトラックです。
 本来オネストジョンは5トントラックベースのキャリアですが、これは同社のM34トラックに無理矢理オネストジョンミサイルを載せちゃった「なんちゃってオネストジョン」なんですが、中々味がある良いキットです。
 車輛は後輪がシングルタイヤである点から、どうもあのモノグラムのM34を参考にした様ですが、ボンネット内部にモーターを仕込み、ドライブシャフト経由でデファレンシャルギアケース内のクラウンギアを介してタイヤを回すなど、小さなキットながら凝った設計です。
 因みに「イーガービーバー トラック」をキーワードにググると、動く模型愛好会メンバーのページがヒットするのが面白いですね。(^_^;)
 オネストジョンといえば更にこのキットも外せませんね。ロコのロングセラーモデルです。
 小さいながら同社がミニスケールAFVに本格的に乗り出した1970年頃の作品だけに、良く特徴を捉えたキットですね。
 ちょっと私事になりますが、1974年のHJ誌で大塚康生先生が紹介してから、UMA広報担当のオヤヂ博士(オイラです)がずっと捜し求めていたキットで、田舎から上京して入手した時には大感激したものです。
 今回「俺ガネフ」というノリでこれをオマージュ化して作品にするのには少々違和感を感じなくもないのですが、オネストジョンを近未来SFチックにアレンジするというのは、確かに興味津々ではあります。
 トラックにミサイルを積んだ魅力的なメカといえば、この往年のレベルの名作「ラクロスミサイルキャリア」にも御登場願わねばならないでしょう。
 初版は1958年で、これは他のアメリカンアンティークAFV同様に、日本でマルサンが最初の商業プラスチックアッセンブリーモデルを発売した将にその時期のものです。
 ミサイルの赤い弾頭とトラックのキャビンの間には「SCALED FROM OFFICIAL BULUEPRINTS」と記された丸いマークがあり、このキットが公式青写真を元に作られたものであると誇らしく述べています。
 ミサイル搭載AFVというものが、日本ではまずミサイル戦車BB−1やBB−3のようなキャタピラで走る玩具としてリリースされたのに比べ、アメリカではこのような大人のモデリング対象というアイテムとして市民権を得ていた事に、今更ながら驚きを禁じ得ません。
 JOSFという切り口以外に、こういった近未来の実在メカ路線で造形を楽しんでみるのも一興かもしれません。
 次はSNAPが巨大スケールで世に問うた、メースBミサイルキャリアです。
 右の写真は今から20年ほど前にレベルのヒストリーメーカーズのシリーズで再販されたものです。
 動く模型愛好会広報担当の狭い部屋では充分な距離から撮影できない程の巨大なボックスで、今回側面だけの紹介となった事は御勘弁のほどを。

 これもヒストリーメーカーズレーベルで再版された当時の貴重なキット、レベルのコーポラルミサイルキャリアです。
 実車は確か電動車輛であったと思いますが、超低圧テラタイヤの異様な牽引車であったメースBミサイルキャリアに負けない、これもまた「誰にも似ていない」独特のデザインの車輛です。
 当時のアメリカのメーカーは、他社が手掛けない独自のキットを先を競ってリリースしましたが、その百花繚乱の面白さは、欧米プラモデルの黄金期であったとも言えるかもしれません。

 ミサイル牽引トラックと言えばソ連の誇る東側対空ミサイルの決定版SA−2ガイドラインの牽引車もキット化されていました。
 一昔前には考えられないようなラインナップを続々と送り出すトランペッターのキットです。
 ガイドラインは数々のタイプを持つロングセラー兵器で、数十年に渡る歴史の中では牽引車輛のバリエーションもかなりあると思われますが、このプレス局面を多用したトラックのデザインは、古臭い中にも質実剛健のヘビーデューティな魅力があります。
 こういった味付けを上手く行えば、レトロフューチャーなJOSFミサイル車輛が誕生するかもしれませんね。

 お次はちょっと珍しいPSTのミニスケールAFVキットS−300PMUです。
 これはSA-10「グランブル」を発射筒に納め、対空緊急展開が出来る様にしたミサイルシステムです。
 こういうユニット設計になると、如何にも柔軟な運用が出来そうだと感じる一方、何だか味気ない気がするのも事実です。
 が、サンダーバードに脇役メカでに出て来るような独特のキャリアビークルは、中々そそられるキャラクタリスティックを持っていますね。
 こいつに大型ミサイルをハダカで2基載せたら、結構見栄えのする「装輪俺ガネフ」になるかもしれません。
 さてその次に控ヶえしは…一風変ったキット2つを御紹介致しましょう。
 これはイッコーのミサイル装甲車「キングコブラ」で、ゴム動力走行の廉価キットながら、自動的に2発のミサイルが差動発射されるというギミックが付いています。
 これはイッコーのオリジナル車輛ですが、装輪式の「JOSF俺ガネフ」というキーワードで考えた場合、このキットのインプレッションがそれに最も近いのではないかと思われます。
 無骨なスタイルの車体に2基のミサイルランチャーを備えた風貌は、掌に載る小さなキットとは思えないフォルムをアピールしています。
 
 そしてこちらは姉妹キットの「ビッグハンター」。
 ミサイルは1基となっていますが、代りに設けられた回転式ターレットは、「キングコブラ」とはまた違ったリアルな雰囲気を醸し出していますね。
 こちらも前者同様ゴム動力キットですが、両者とも車輪の空転を防ぐ為にウェイトとなる軟鉄の塊を車体前部にセッティングするなど、ゴム動力キットの辿り着いたひとつの頂点だともいえるでしょう。
 

 そしてそして。ほらほら。SFミサイル戦車と言ったら忘れちゃいませんか!ニチモのSFシリーズbPミサイル宇宙探検車「アドベンチャー」です。
 当時群を抜くスマートな車体に自動発射ミサイルや観測タワー内部メカの回転ギミックを収め、更に大型キャノピーを保護する可動防護ネットと伸縮するドーザーブレードなど、ニチモのSFデザイン力の高さを不動のものにした名作です。
 パッケージトップに分割イラストでセールスポイントのギミックを描くのは当時のトレンドで、ミドリでも大いに活用した懐かしい手法です。

 そして最後は謎のメカ。
 トーピドーモデルズさんが密かに神奈川の秘密工場で開発中の「俺ガネフ」らしき車輛の特報画像です。
 もうここまできたか!焦れ、オヤヂ博士!焦れ、動く戦車モデラー諸君!
 ガネフな戦いはもう始まっているのだ。

 チキショー、それにしてもカッコイイなぁ!

 さあ貴方も空想科学に夢と力と希望があった当時に思いを馳せ、貴方自身のミサイルタンクを形にしてみませんか?

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