動く戦車オフ会毎年恒例の俺SFメカコンテスト、2018年のテーマは…
さて、それではここでテーマの元となった親子戦車に関して、作品制作の参考のために若干説明を致しましょう。 但し毎度の事ながら、作品制作に不必要なほど語ってしまうので、興味の無い方は読み飛ばして下さい。(笑) |
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中村のビジュアル 最後のレトロフューチャー世界! 初版「マイティゲル」のパッケージ 画像提供:Tachikawaさん
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ここでちょっと寄り道になりますが、上記の表の中から幾つかのキットの箱絵を紹介いたしましょう。 まずは宇宙パトロールスライダーEF−9。人工衛星が浮かび、ロケットが飛び回る宇宙空間で、空気を吹き出しつつプロペラ推進で進んでいる妙な形のメカですが(笑)、希薄ながらガスの浮遊する宇宙気流の中を進む専用艇としておきましょう。 個人的にはこのボックスアートも味があって好きなのですが、一般的には1967年1月と言えばミドリから宇宙探検車スペースコマンドがが出た年で、あのスマートな箱絵と同じ時期にこれが肩を並べて模型店の店頭に並んだと思うと、大きな時差を感じさせずにはいられません。 |
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次は1968年4月発売のスーパーエンゼル。 この時期の中村のSFキットは、他社の例にもれず自社オリジナル、所謂JOSF(日本オリジナルSFプラモデル)ながら、何かユーザーサイドの嗜好に沿うテイストを持ったもの…まぁ”ありてい”に言えば「どこかの有名な何かに似ている」けど「じゃないよ」なキットが少なくありません。 その図式で考えると、これは1968年1月から国内で放映された、キャプテンスカーレットのエンゼル機からインスパイアされて大きくアレンジした水上戦闘艇という所でしょうか。独特の前傾キャノピー、分厚い垂直尾翼など、そう言われればそう見えなくもない不思議なキットです。 キャプテンスカーレットと言えば、当時でも先進のスマートなビジュアルで群を抜いていましたが、それを則としながら、このパッケージは如何にも垢抜けない、レトロなタッチですね。 |
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次は同時期に発売されたハイドロジャック。これはもうマイティジャックのMJ号と、搭載機ハイドロジェットやらピブリダーやらを融合させた機体そのママに見えますね。 1968年4月は将にマイティジャックの放送が始まった月で、同じ月に同時にこのキットが発売されるというのもタイムラグが無さすぎなように感じますが、当時は放映開始前の準備期間に少年雑誌などのメディアを通じて事前に番組の内容がビジュアルを含めてに宣伝されていたもので、当時のプラモデル開発期間の短さと考え合わせれば、十分に納得のいくものです。っていうか、だってそれ以外に見えないもの。(笑) と、ここまで幾つかの中村SFキットを紹介したのも、当時少年向け文化がキッチュなものからソフェスティケートされたものへ急速に進化していく中で、中村だけが頑なに昭和前期までの古いテイストでメカやパッケージを維持し続けたように思われます。 これは単に中村社長のデザイン感覚が古かったからと言い切れない気がします。 というのは、クラウンなどの当時の他社もそうでしたが、こと自動車プラモデルに関してはカーイラスト専門のアーティストに依頼した垢抜けたデザインのパッケージが既に主流で、極端なパースのついたエアブラシ多用のスマートなイラストとパッケージでキットをリリースしていた事を考えると、空想科学とはこういうものだという「古臭い」ではない「こだわり」のような商品戦略感覚を感じないわけにはいかないのです。 |
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左は1968年11月に再販された”リニューアル版マイティゲル”であるペアルドM−4の箱絵です。 初版のマイティゲルに比べてかなりリアル志向に向いたイラストですが、これでもまだ当時の一級品SFプラモデルパッケージイラストに比べて、時代がかった感は否めません。 例えばこれは、中村お抱えのイラストレーター氏に拘って箱絵を依頼していた事情があるのかもしれませんが、小松崎茂氏、長岡秀星氏らのイラストレーターや、それなりのデザイナーに箱絵を依頼すれば、全く違ったテイストのものに仕上がった可能性は否定できません。何より前述のように、カーモデルのパッケージに関しては既に中村でさえ素晴らしくスマートなパッケージデザインでキットをリリースしていた時期ですから、同社のこのダブルスタンダードの商品デザインの感覚は、敢えて「空想科学プラモデルに関してはこのようなテイストでリリースする」という戦略のように思えてなりません。 このビジュアルから来る世界観…それは他ならぬ雑誌「機械化」に代表される、明治、大正、昭和と連なる、わが国独自の空想科学世界の具現としての、中村のSF観だったのかもしれません。 敢えて言うなら、それは我が国の科学史観にルーツを置く、最後のレトロフューチャーDNAではなかったのでしょうか。 |
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さて、「マイティゲル」「ペアルドM−4」を、皆様は如何に御覧になりましたか。JOSFメカが最も輝いていた時代の、しかしレトロフューチャー感溢れるSFプラモデルに思いを馳せ、皆さんも空想科学の翼をはためかせて「俺・マイティゲル」「俺・ペアルドM−4」を作ってみようではありませんか。 |