俺SFメカコンテスト 



 動く戦車オフ会毎年恒例の俺SFメカコンテスト、2005年のテーマは…
俺ロボット戦車 だ!

 

 
 

★俺ロボット戦車コンテスト 参加要領

 ・ロボット戦車というコンセプトで参加者自身が製作したオリジナルメカである事。
  但し、車輛設定は戦闘車輛以外も可とする。(建設機械や探検車など)
 ・必ずキャタピラを有する事。キャタピラ自走が望ましいが、機構的にダミーキャタピラでも可能。
 ・デザイン上でどこかしら「人型ロボット」の特徴がある事。
  (コンピュータ制御の無人戦車のような、外見に現われない「自動機械としてのロボット」という定義は不可)
 ・市販キットからの部品流用は自由。但しガンタ〇クなどキャラクター商品を改造しただけのものは不可。
 ・屋内でのデモンストレーション可能であれば、サイズや動力等に関する制約なし。
  (但しシングルレースに出場する場合はそちらのレギュレーションに従います)
 ・400字程度の、作品のバックグラウンドとなる紹介文を添付する事。
  (紹介文は必須です。ウェブでの作品紹介時に公開させて頂く事があります)
 



★ロボット戦車とは?
 ロボット戦車とは名前の印象から「ロボットと戦車が合体したものだろう」ぐらいのことは想像できるかと思いますが、実はJOSF(日本オリジナルSFプラモデル)の歴史の中で、タイガーキャプテンやZライザーほどメジャーなキットがあったわけではありません。
 今年のテーマも例年同様に、動く戦車オフ会終了後のミーティングで多数決で決まったものですが、提案・投票した方たちも今までのテーマとは趣きを異にして、「ロボット戦車」という言葉のイメージを優先した選定であったと言えます。

 そうは言っても、全く先達のキットに今年のテーマに則したものが無かったかといえばそうではありません。そこでオマージュとなすべき指標となるように、過去に発売されたロボット戦車プラモデルの幾つかを紹介しましょう。



 明確にロボット戦車と謳った数少ないキットのひとつであるオータキの「ボロン」。今から40年も前に発売された、言わば我国ロボット戦車の元祖である。
 SLのカウキャッチャーを連想させる車体前面の装甲板などレトロな雰囲気もあるが、ロボットと戦車の融合度の高さでは今でも群を抜いている。
 単純に戦車にロボットをくっつけただけではなく、将に戦車として機能を特化させたロボットというコンセプトが突出している。
 走行システムがハーフトラックタイプになっているのが特徴だが、同じ時期に発売されたナカムラのSF戦車も同じような足回りをしていたところを見ると、これは新奇なSFデザインを模索した当時のトレンドであったかもしれない。


 次はミドリの「ミサイルロボット」。これも1960年代中期の名作である。
 当時100円売りで体内に逆立ちしたような格好でギアボックスが内蔵されており、実際はキャタピラモールドの陰に隠れたホイールで走行する。
 機構が単純なだけに単三電池1本でも確実に走行したキットであるが、廉価キットとは言え、シンプルなリンク機構で両腕のミサイルが自動的に上下する付加価値的ギミックが付いているところは流石にミドリのSFメカである。
 形態としては足の裏だけが無限軌道化されているという点でロボット戦車度はやや低めだが、重厚な作りで今でも根強いファンを持っている。
 このデザインを踏襲しても、きちんと足の無限軌道が動いて走行すれば、立派に説得力のある俺ロボット戦車となるであろう。
 また、この「ミサイルロボット」の魅力のひとつは、ロボット部分のデザインが醸し出すレトロフーチャーなオーラである。
 丸い頭部に無造作に配置された四角い目と鼻と口。分厚い胸。すらりと伸びた脚部は重厚なすそ広がりとなって無限軌道に繋がる…。
 全てのの造形はあくまでもストイックに纏められ、当時のロボットに対する典型的なイメージのひとつである無機質さが凝縮している。
 70年代に入って合体ロボットがアニメや戦隊もので一般化していく中で、ロボットそのものの造形から失われて行った重厚さを色濃く残すキットである。


 次は1970年後期ごろのキットだと思われるアリイの「プラボーグマシン1号」である。
 パッケージでは単に巨大な戦車の様に見えるが(しかしデカい!)透明キャノピー部分が取り外し可能で、ここに上半身だけのロボットを合体させる事が出来るというもの。
 このページのトップ画像がこのキットの完成品で、車体は透明。内部に簡単なインテリアパーツが入っている。
 デザイン的にはこのスタイルは最も簡単に実現出来るロボット戦車といえるかもしれない。
 ロボットの上半身と流用する戦車キットとのバランス、デザインを熟考すれば、味のある俺メカが誕生するだろう。


 次はマルイの「ダンガーウルフ」。デザイン的にはミドリの「ミサイルロボット」同様に足の一部がキャタピラ化されているタイプだが、キットは変形ロボットもので、何とドリル戦車から人型体型にチェンジする。
 キャタピラの上にどうやって立っていられるのかについては考えてはいけない。ここは梶田画伯の迫力あるイラストに敬意を表してその絵面のカッコ良さを楽しむのが正しい作法である。
 変形前は戦車、変形後はロボットとしての意匠が強く、どちらかの形態だけで作品化するとテーマから逸脱しやすいデザインであるが、キャタピラ足をどこまでこの「不条理」に近付けられるか、可動機構に凝るのもアピール手段か?


 今度はタカラのダイアクロンシリーズ「ドリルダッシャー」である。
 ドリル装甲車がロボットに変形するキットで、準キャラクターものだが申訳程度にキャタピラが付いているので参考までにピックアップした。
 先の「ダンガーウルフ」同様ドリル戦車がロボットに変形するという発想は、意外に少なくなかったようだ。
 このデザインコンセプトを踏襲して俺ロボット戦車を作るなら、キャタピラ部分をもっと大きく取って「戦車」としてのテイストを更に強調する必要があるだろう。
 一方で、ある程度の「変形」を俺メカに取り入れるのもチャレンジングな目標となって楽しみではある。このような完全変形は無理だとしても、電動変形ギミックを備えたロボット戦車が発表されればアピール度は高いだろう。
 またこういった変形ものは、戦車+ロボットというカタチではなく、戦車=ロボット本体としてデザインするセンスが必要になってくるかもしれない。
 


 最後は参考までにミドリのけんせつチビコロシリーズ「ブルくん」「モグラくん」をピックアップ。
 年少者向けキットながら、キャタピラものとロボットの合体という意味では面白い切り口かと思う。
 今回は「ロボット戦車」とはいいながら特に兵器でなくとも参加可能とするので、某アニメの「レイバー」という設定のように、ロボット風デザインを有した建設機械などといったコンセプトでも検討して頂きたい。
 
 


 さて幾つかのキットを振り返ってみましたが、砲塔が巨大な顔だったり、四肢がキャタピラだったり、一見実車のあるスケールモデル風作品がレトロなロボットに変形したりと、まだまだ色々な切り口が考えられると思います。
 特に今回は特定のキットに縛られないテーマだけに、「ここがロボット戦車!」というアピールポイントさえしっかりしていれば、参加者の共感が充分に得られる事でしょう。
 またそれだからこそ、意外性に富んだ魅力ある作品が期待出来るといえるでしょう。

 さあ貴方も空想科学に夢と力と希望があった当時に思いを馳せ、貴方自身のロボット戦車を形にしてみませんか?