明確にロボット戦車と謳った数少ないキットのひとつであるオータキの「ボロン」。今から40年も前に発売された、言わば我国ロボット戦車の元祖である。
SLのカウキャッチャーを連想させる車体前面の装甲板などレトロな雰囲気もあるが、ロボットと戦車の融合度の高さでは今でも群を抜いている。
単純に戦車にロボットをくっつけただけではなく、将に戦車として機能を特化させたロボットというコンセプトが突出している。
走行システムがハーフトラックタイプになっているのが特徴だが、同じ時期に発売されたナカムラのSF戦車も同じような足回りをしていたところを見ると、これは新奇なSFデザインを模索した当時のトレンドであったかもしれない。 |
次はミドリの「ミサイルロボット」。これも1960年代中期の名作である。
当時100円売りで体内に逆立ちしたような格好でギアボックスが内蔵されており、実際はキャタピラモールドの陰に隠れたホイールで走行する。
機構が単純なだけに単三電池1本でも確実に走行したキットであるが、廉価キットとは言え、シンプルなリンク機構で両腕のミサイルが自動的に上下する付加価値的ギミックが付いているところは流石にミドリのSFメカである。
形態としては足の裏だけが無限軌道化されているという点でロボット戦車度はやや低めだが、重厚な作りで今でも根強いファンを持っている。
このデザインを踏襲しても、きちんと足の無限軌道が動いて走行すれば、立派に説得力のある俺ロボット戦車となるであろう。
また、この「ミサイルロボット」の魅力のひとつは、ロボット部分のデザインが醸し出すレトロフーチャーなオーラである。
丸い頭部に無造作に配置された四角い目と鼻と口。分厚い胸。すらりと伸びた脚部は重厚なすそ広がりとなって無限軌道に繋がる…。
全てのの造形はあくまでもストイックに纏められ、当時のロボットに対する典型的なイメージのひとつである無機質さが凝縮している。
70年代に入って合体ロボットがアニメや戦隊もので一般化していく中で、ロボットそのものの造形から失われて行った重厚さを色濃く残すキットである。 |
次は1970年後期ごろのキットだと思われるアリイの「プラボーグマシン1号」である。
パッケージでは単に巨大な戦車の様に見えるが(しかしデカい!)透明キャノピー部分が取り外し可能で、ここに上半身だけのロボットを合体させる事が出来るというもの。
このページのトップ画像がこのキットの完成品で、車体は透明。内部に簡単なインテリアパーツが入っている。
デザイン的にはこのスタイルは最も簡単に実現出来るロボット戦車といえるかもしれない。
ロボットの上半身と流用する戦車キットとのバランス、デザインを熟考すれば、味のある俺メカが誕生するだろう。 |
次はマルイの「ダンガーウルフ」。デザイン的にはミドリの「ミサイルロボット」同様に足の一部がキャタピラ化されているタイプだが、キットは変形ロボットもので、何とドリル戦車から人型体型にチェンジする。
キャタピラの上にどうやって立っていられるのかについては考えてはいけない。ここは梶田画伯の迫力あるイラストに敬意を表してその絵面のカッコ良さを楽しむのが正しい作法である。
変形前は戦車、変形後はロボットとしての意匠が強く、どちらかの形態だけで作品化するとテーマから逸脱しやすいデザインであるが、キャタピラ足をどこまでこの「不条理」に近付けられるか、可動機構に凝るのもアピール手段か? |
今度はタカラのダイアクロンシリーズ「ドリルダッシャー」である。
ドリル装甲車がロボットに変形するキットで、準キャラクターものだが申訳程度にキャタピラが付いているので参考までにピックアップした。
先の「ダンガーウルフ」同様ドリル戦車がロボットに変形するという発想は、意外に少なくなかったようだ。
このデザインコンセプトを踏襲して俺ロボット戦車を作るなら、キャタピラ部分をもっと大きく取って「戦車」としてのテイストを更に強調する必要があるだろう。
一方で、ある程度の「変形」を俺メカに取り入れるのもチャレンジングな目標となって楽しみではある。このような完全変形は無理だとしても、電動変形ギミックを備えたロボット戦車が発表されればアピール度は高いだろう。
またこういった変形ものは、戦車+ロボットというカタチではなく、戦車=ロボット本体としてデザインするセンスが必要になってくるかもしれない。
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最後は参考までにミドリのけんせつチビコロシリーズ「ブルくん」「モグラくん」をピックアップ。
年少者向けキットながら、キャタピラものとロボットの合体という意味では面白い切り口かと思う。
今回は「ロボット戦車」とはいいながら特に兵器でなくとも参加可能とするので、某アニメの「レイバー」という設定のように、ロボット風デザインを有した建設機械などといったコンセプトでも検討して頂きたい。
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