8/19 Vilalba
/ 124km
8/20 Miraz / 88.1km
8/21 Sobrad dos Monxes / 62.2km


8/19 Vilalba
/ 124km
昨日までの二日間は、短い距離だったので、みんなといいペースで歩けたけど、今日からは強敵がたくさん参戦してきたし、一足早く巡礼宿を出た。
ヘスースおじさんは、まだ宿の入口で準備をしている。
おじさんは、私に
「一人で行って、道はわかるの?」
「うん!」
自信もないけど、わからないことはないだろう。
500m先に、町があった。 こういう大きな町はわかりにくい。
人を見つけては、何度も聞きながら歩く。 まだ足の調子が悪いから、無駄な歩きはしたくない。
町の何軒かのBarはすでに開いていて、そこだけが明るい。 こんな時間にそこにいる常連は、トラック野郎ばかりだった。
最後に道を聞いたBarで
「そこの郵便局の所に矢印があるわよ。」
これをきっかけに、どんどん進んで行った。
一時間もすると、後ろから人の気配が。
誰かが私のリュックを引っ張る。
振り返ると、ヘスースおじさん、マリア、ゴマ、サムエルだった。
ゴマとサムエルは、フランスから仲良く来ているが、この4人は、普段は特に仲良くないくせに、朝はいつも一緒に歩いている。
また、ポーランドの親子に追いつき追い越されしつつ歩く。
いつものことながら、おしゃべりが絶えない。 確か彼女たちは、フランス国境あたりから歩いているはずで、長い間、いったい何を話しているのだろうか。
この旅は、二人にとって、かけがえのない思い出になることだろう。
今度は工事中の道に出る。
高速道路でも作っているのか、広い工事中の道。
いったいどこへ行けばいいのやら。
そんな時、車がすっときて、現場監督みたいな人が歩いてくる。
ちょっと遠いけど、手を振って気をひいてから、
「巡礼路はどこですか?」
あっちあっちと指を指してくれる。
抜けたと思ったら、またすぐに工事中の道。
ここには古い道しるべが工事のために地面から抜かれた状態になっている。
それでも矢印は、ちゃんと巡礼路を向いていた。
向こうからやってくる、大きなトラクターの運転手さん、満面の笑みで手を振ってくれた。
巡礼路には、たくさんの草花があるけれど、木いちごもその一つだろう。
これは、この時期なら、どこにでもある。
セイヨウヤブイチゴというのが本名らしい。 雑草のように増えていく。
黒くなれば食べごろだが、食べ過ぎるとお腹をこわす。 たまにつまむことはあるが、立ち止まってまで食べることもなくなった。
以前、アンバスメスタスの巡礼宿に居た時、ヤスミーナがジャムを作ってくれた。
これはおいしかった。
かわいいピンクの花を咲かせるがとげがある。
いつも見慣れたこの植物を、今年のホームページのリンクボタンに使おうかな。
立ち止まっては、激写した。
何枚も何枚も撮った。
うしろから、朝から何度もすれ違ったお兄さんがやってきた。
ポーランド人だそう。
今日の巡礼宿もきれいだった。
ガリシアの巡礼宿の設備の良さには感心する。
すでにマリアたちは、先に到着している。
シャワーを浴び、洗濯を済ませて外へ出ると、見覚えのある馬がいた。
ファビーと、馬のパチーノだ。 もう会えないかと思っていたが、ちゃんと巡礼路に戻っていたのだ。
相変わらず、彼女は馬の世話に忙しい。
ここは町とは言えない。
この先、1.5kmの場所に大きな街がある。
ここから街の始まりが見えている。 マリアは銀行に行くと言って出ていった。
幸い、その街までいかなくても、巡礼宿の隣にBarがあった。
Barの奥にはレストランがあって、覗いてみると、ヘスースおじさんが一人で食事をしている。
そのくらいしか知り合いはいない。
おじさんも、一人で食事を楽しんでいるようだったので、挨拶だけして、Barでビールを飲んで軽いもので済ますことにした。
ここのBarのお姉さんは、美人だけど、なかなかさっぱりした性格。
「ボカディージョはありますか?」
ガラスケースに入っている、つまみ用のボカディージョを大皿ごと持ってきて
「はい、どうぞ!」
これって飲み物のつまみで、無料のだから、たくさん食べるわけにもいかない。
それでもお腹が空いていたので、3個いただいた。
これ以上食べるのも気が引けたので、
「チーズをお願いします。」
ヘスースおじさんがやってきて、
「昼食をべないの?」
ビールをもう一杯飲んで、チーズをつまむ。 パンも付けてくれた。
巡礼宿に帰ると、入口でマリアが若い男の子と話していた。
みかけないコだった。
顔の感じからすれば、ドイツ人か? ・・・・・・?!
まさか!?
あの、マリアが言ってた、ヒッピーまがいの自由人のドイツ人?!?!?
「Hiromi、紹介するわ。彼がウワサしていたクリストフよ。あの、夜中に海に飛び込んじゃう・・・」
私の想像とはあまりにかけ離れた風貌。
話し方もきちんとした、普通以上に礼儀正しいコではないか。
ここに座っていると、いろいろな巡礼者が通
る。
どこからか帰ってくる人は、必ず大きなスーパーの袋を、重そうに持ってくる。
往復三キロ歩いて大変な根性だ。
私にはこういう根性はない。
ドイツ人のクリストフも、大きな袋を持っている。
中には、ファミリーでもいるのかと思うような量の食材。
写真を写させてもらう。
そんなに小さな巡礼宿ではないが、14時にはすでに満員となった。
しかし、サンティアゴまで125km。ここから歩き始める人もいるのかもしれない。
そしてやってきたのは、ダニーの男組だった。
みんな疲れた顔をしながら入場。
特に、笛吹きのドイツ人のおじいちゃんは、相当やつれている。
入口に座っていたダニーとペペの顔は暗かった。
このあたりから、いつものような、遅い到着では、ベッドがなくなってしまうのだった。
二つだけあったベッドを、笛吹きおじいちゃんと、美人のエステルに渡し、あとの五人はこの先の街の体育館で寝ることになった。
そこへこざっぱりとシャワーを浴びて出てきたのは、久々の再会、ペラとウリではないか。
この二人は、二日目に何度も会った、4人組のうちの2人なのだ。
このグループにいたヨランダが帰ると言っていたし、イタリア人のマヌエルも昨日一人で歩いているところをみかけた。
今は二人になっていたのだ。
ペラは、バルセロナの近くのビックという所から来ている。
ウリはドイツ人で、あの、二日目にマットを譲ってくれた、すごく親切な人だ。
これで、私のパズルは、最後のかけらを埋めることができた気がした。
「あれ?ペラのそのTシャツに、『東京』って漢字で書いてあるよ。」
「えっ?なに?どこ?どこ???」
彼は今までそれを知らずに着ていて、初めて知って喜んでいる。
二人は、距離を歩いてきて、ここにやってきたに違いない。
そして、私が前々から懸念していた日がもう目の前に迫っていた。
明日は19kmだが、あさっては42km歩く日だ。
するとマリアがこう言う。マリアは去年もここを歩いているから知っているのだ。
「明日は本当は19kmでしょ、それに14kmプラスして歩けば、Mirazに私営の巡礼宿があるのよ。イギリス人が経営しているの。そこに泊まれば、翌々日は30km弱でいいわけなの。」
なるほど、二日で61kmで、その真ん中あたりに私営の巡礼宿があるらしい。
そこに泊まれば楽なはずだ。
私が二年前に買ったガイドには載っていない巡礼宿だった。
ビッグな昼食を済ませたマリアと、スーパーで買った食材を料理するクリストフを置いて、ペラとウリと共に、さっさのお姉さんがいるBarの奥にあるレストランに行く。
数日ぶりで会ったのに、全く違和感がない。
まるでずっと一緒に歩いていたかのよう。
マリアと昨日会った時もそうだった。
前から再会することが仕組まれていたような気がする。
私とウリは、サラダを注文し、ペラは日替わりメニュー。
ウリは親切で明るい人柄。とても信頼できる人だ。
ペラは控えめだが、とても優しい人なのだ。
それは、イヤミがなく、人柄がにじみ出るような優しさだった。
「ねぇ、ペラ、私ずっと疑問に思っていたのだけど、私たちが初めて会ったのは、もしかして床に毛布を敷いて寝た、あのアルベルゲかしら?」
「うん、そうだよ。」
「それって私の一日めの巡礼宿で、同じ部屋にいた、あの赤いマットを膨らませていたのはあなたなの?!」
「うん、そうだよ。」
あの日は疲れていて、もう一組同じ部屋になった親子とは話をしたが、彼とは一言も話さなかった。
でも、見ていたのだ。 あやし気に、初めて使うマットの説明書を見ながら、困った顔をしてマットを膨らませていたあの人。
後になって、もしかすると彼だったかも・・・と思っていたのだ。
私はその時のペラの真似をして、ウリは大笑い。
「ウリは、最初から、なんていい人なんだと思ったの。」
マットを譲ってくれた親切な人という印象が強かった。
こんな話をしている最中にも、ペラは、自分のメインの料理を切り分けて、私とウリにっひとくちづつ、分けてくれる。
宿に戻り、洗濯物を取り込みにいくと、テーブルを囲んで、マックス4人衆と、フレンチのゴマ&サムエルが飲んでいる。
私にも座れと声をかけ、ワインがどんどん回ってくる。
ん?サムエル&ゴマは、ヘスースおじさんとまじめに歩いていたのに!
この日からこのグループに吸収されたのだった。
そこに同じく洗濯物を取り込みにきたウリも座らさせられた。
「明日はどこまで行くの?僕たちはMiraz(34km先のマリアに勧められた場所)まで行こうと思うんだけど。」
マックス六人衆(ゴマとサムエルが加わり増えた!)は、
「僕たちは時間があるから、明日は19km。明後日はMirazまでの14kmだよ。」
私は内心、それもいいな、私もそうしたいぞ!と思った。
たたみかけるように、マックス6人衆の中でもとびきりイケメンの彼がこう行った。
「明日は20km先のバーモンデまで! 僕たちと一緒に行こうよ!」
「バーモンデ!バーモンデ!」
と、机を叩いている。 イケメンに言われると、さらに心が揺れる。
返事はうやむやにしつつ、盛り上がる宴会場を抜け出して寝室に戻った。
8/21 Sobrad
dos Monxes / 62.2km
朝からスイス人のオスピタレーラが、せっせとトーストを焼いている。
コーヒーもたっぷり用意してある。
こういうのってホントにうれしい。
みんな、幸せそう。
ヘスースおじさんが、こっちのテーブルだよとマリア、ウリ、ペラ、そして私を呼ぶ。
あれ?マリアの隣に初めて見る女性が座っている。
彼女はエスメラルダという。バレンシアの近くの街からやってきた、とても感じが良い女性だ。
ヘスースおじさんとマリアが席を立つと、クリストフが加わった。
最初は広々した山の尾根道を行く。
標高700メートル。海抜0メートルまで下るこの道としては、高い方だ。(プミティボに行けば、1100メートルくらいまで)
ヘザーやエリカ、黄色いのはエニシダか?
途中で昨日のカップルに会う。
男性はダニエル、スペインで生まれ、18歳で単身カナダに渡って以来、あちらで暮らしている。
まだ65歳だが、みかけはおじいちゃん。
女性はフランス人のキャロル。トゥールーズの出身で、ダニエルとはこの道で出会った。
二人は出会ったり、離れたりを繰り返し、途中から一緒に歩いているらしかった。
キャロルはスペイン語が上手。英語もドイツ語もオーケー。
もちろんダニエルもスペイン語と英語を話すが、二人で話すときはスペイン語だった。
今日はあちこちにカモミールの野生種が見られる。
巡礼路ではおなじみの花だ。これも激写しよう。
今日は20km先まで店もBarもない。
途中で座るような場所もない。
どこかで休んで、二度目の朝食を食べたい。
7キロほど歩いた所、木の下で休憩することにした。
果物と、チーズとパン。 なかなか楽しいぞ。
向こうから、牛飼いのおばさんがやってきた。
犬を先頭に、何頭かの牛を引き連れて。
その行列の一番後ろからやってくるのは、のんびり屋のクリストフ君。
彼は私をみつけてそばに座った。 (始まった!彼の休憩!!)
「クリストフは将来何になりたいの?」
「ポリスマン。この夏に高校を卒業したので、秋からは警察学校に二年間通うんだ。」
へぇ〜、こんなかわいい顔で。
でも、生真面目に、住民の安全を守ってくれるんだろうな。
武道を子供の頃からやっているし。・・・納得!
彼は今19歳。 今月の24日にはハタチになる。
ちょうどその日が、我々がサンティアゴに着く予定日だった。
そんな若い彼だったが、話していて違和感はなく、やはり旧い友人のように自然体でいられる。
そこへ賑やかな声がだんだん近づいてきた。
ウリとペラだ。 この二人は、余程気が合うらしく、大笑いしながら歩いている。
そして、二人もここに座り、朝ごはん大会になる。
ウリとペラ。 ウリはドイツ語と英語しか話せない。
ペラはカタランだから、カタルーニャ語とカステリャーノ。
つまりスペイン語と 片言の英語。
英語が話せない仲間はペラに聞く。
「どうやってコミュニケーションをとっているの?」
「ウリに英語を教えてもらっているんだ。」
そんな二人なのに、ちゃんと通じ合っている。
私もそばで見ていて、おかしくてしかたない。
ウリが英語で何か言うと、ペラはそれを繰り返すが、全く違うことを言う。
それでも最後にはわかって、誰の助けも借りずにちゃんと意思疎通し合っている。
私はペラとは英語と片言のスペイン語で話す。
これも問題ない。
言葉って何だろう?!
確かに100パーセント話せれば、どんなに便利だろう。
でも、それでお互いが100パーセント理解できる訳ではない。
残りもわずかとなった道だけど、私たち4人は、ずっと最後まで一緒に歩き、行動するのだった。
それぞれが好き勝手なことをしても、誰かが我慢することはない。
退屈することはなく、一緒に入れば安心。
理想的な仲間だ。
第一印象は大切かもしれない。
少なくとも、この道で出会う人間に関して、第一印象で信頼できる人かどうか、判断できる自信がある。
でも、自分と切磋琢磨しあえる仲間になれるかは、それは最初の印象だけではわからない。
今回のように、たくさんの人に会いながらも、自分に必要な仲間というのは、最終的には吸い寄せられるように、あくまでも自然にまとまってくるのだ。
自分自身が自由で、邪念も欲も入らないような「無」になり、そして集中力がないと、そんな仲間には出会えない気がする。
これは、巡礼の醍醐味の一つである。
と、そこへ昨日、Barで男性に詰め寄っていたフランス人の女性がやってきて、座った。
私はすでに1時間以上そこに居たので、先に出発することにした。
彼女を避けていたわけではない。
あら、イタリア人の若者早足三人組が珍しく休憩をしてごはんを食べている。
彼らは昨夜Mirasには泊まっていない。
ってことは、バーモンデから歩き始めて、すでにここに居るのだ。 すごいなぁ。
そんな話をし、写真を一枚撮ると、いつもは笑わない一人の子が、ニコッとした。
そういう笑顔は、いつも笑っている子のものより、かわいい!
すぐにペラ、ウリ、クリストフ、そしてフランス人女性が追いついてきた。
そして坂道で追い越された。
フランス人の女性の名前はソフィ。
ソフィが坂を登ったところで休んでいるのが見えた。
写真を撮ると、一緒に座っていかないかと言う。
少しだけ座るつもりだったが、彼女の食事とタバコにまでつき合ったら、長居になってしまった。
昨日の彼は、ただの友達だそうで、もう今日は彼とは一緒に歩かないのだそう。
今朝は気持ち良く寝ていたら、あのスイス人のオスピタレイラに叩き起されたと怒っている。
「8時半です!」
と言いながら、枕を引っ張ったという。
昨日、ベッドを取ったのに、二階のマットレスに寝てしまったのは、彼女だった。
パリに住んでいて、英語やスペイン語を教えたりしているが、ヒーリングもしていると言う。このことは、通
りすがりの巡礼仲間には普通言わないのよ・・・と。
特別な能力を神様から授かったと言う。
そして彼女は巡礼中に好きな人ができ、その人を探している。
やっと歩き始めた。
目的地の5km手前の村にはBarがある。
私たちはおしゃべりをしながら、そのBarを目指した。
彼女は私のことを話せる相手と見込んでくれたようだが、私はと言うと、一緒にいて会話は楽しい。
だけど疲れる相手。
とうとう着いた!
Barのある村。
ここには二つのBarがあった。
ソフィと夢にみたカフェ・コン・レチェを注文。
あれ?奥のレストランには、「なんちゃって巡礼」の4人組がいる。
Barとレストランは併設されていることが多い。
入口にBarがあって、奥のドアの向こうがレストラン。
ここのレストランの窓は外に面していたので、窓際に座る彼らが見えたのだった。
彼らと初めて会ったのは、昨日だったか。
どこかの道を曲がった時に、不自然に現れた男女。
荷物は小さなリュックのみ。
何の変哲もない道しるべの前に女性が立ち、男性が写真を撮ろうとしていたので、私から進んで、二人を並ばせて写
真を写した。
それ以来、たまにでくあわすのだった。
そしていつのまにか4人に増えていた。
今日もガラス越しに手を振ってくれている。
私たちは、コーヒーだけで充分だったので、レストランには入らなかった。
例によって、裸足になり、Barの外の席でおしゃべり。
クリストフ、ウリやペラはここで休んですでに行っちゃったんだろうか。
だいぶ時が経って、レストランから出てきたのは、ウリとペラだった。
なぁ〜んだ、彼らもレストランの中に居たのか。
彼らを見送った後も、ソフィの儀式は続く。
最後はタバコを一本吸ってから出発。
すでに3時。
もうとっくに目的地に着いている時間だった。
今日行く場所は、一昨年の『プリミティボ』の道の時、わざわざ遠回りして泊まりに来た修道院であった。
とても立派な修道院の名は、 Sobrad dos Monxes。
ここに巡礼宿が併設されている。
修道院も見学済みだったし、ここはけっこうベッドの数が多かったことを覚えているので、遅く着いても良いと思っていた。
そこから彼女と一緒の5kmは長く感じられた。
ソフィは途中で踊り出す。
「前に体育館に泊まった時、真っ暗な中で、大きなスペースがあったので、急に踊りたくなったのよ。そしたら、『変なやつ』って目で見る人達がいるのよ。やーね。」
今日は、ノリノリのようだ。
途中で雨が降ってきたり、道がわからなくなったり。 でも見えてきた。 見覚えがある修道院の塔が見えてきた。
入口に行くと、マリアたちがいた。
修道士さんをさがして、受付をしなくては。
この修道院の名前の通り (Sobrad dos Monxes) つい、二人の修道士が仲良く暮らす姿を想像してしまう私。
もちろん二人だけのわけはない。
冗談で、受付をしている修道士さんに
「二人の修道士の、もう一人はどこにいるの?」
「ここ、ガリシアでは、dosは二人という意味じゃなくて、冠詞なんだよ。ここには23人のモンヘス(修道士)がいるんだ。後でミサに来てごらん。そこに全員揃うから。」
「あっ、ミサってグレゴリアンでしょ?」
「ここではカステリャーノ(スペイン標準語)で歌うんだよ。」
ソフィは余っているベッドに目もくれず、頼んでマットレスにしてもらい、一階の部屋に場所を取った。
最初は私も一階の二段ベッドの上段をあてがわれたが、後でウリが二階の方に、下段が空いているよと教えてくれた。
後で考えたら、彼が私のためにとっておいてくれたのかもしれなかった。
半分冗談で、下段のベッドを取っておいてと頼んだものだから。
大人しいドイツ人の女性に、ここでも会う。
「会う人ごとに、あなたと会わなかったかと聞かれたわ。みんなが心配していたわよ。」
こんなに遅く着くとは思わなかった。
今朝朝食を一緒に食べたエスメラルダもいる。
これからスーパーに買い出しに行くと言う。
ペラとエスメラルダと三人でスーパーへ。
ヘスースおじさんもここに居た。
水と果物とパンとサラミと・・・・ ヨーグルトも買いたい。
4個パックになっている。 店によっては、半分でも、一つからでも売ってくれる。
「おばさん、これ半分に切ってもいいの?」
答えはNoだった。
半分の二個ならなんとかなるけど、4個は要らない。あきらめた。
食事会は、外のテーブルで。
エスメラルダやおとなしいドイツ人女性も加わった。 みんな、それぞれ好きなものを食べる。
チーズを紙の上で難儀しながえら切る私に、
ドイツ人女性がこう言う。
「お皿を持ってきたら?」
「キッチンまで何キロあるの?」
マリアが大笑いしながら、
「100メートルよ!Hiromiったら、いつもこうなのよ。いつかも、レストランが1km先にあるって行ったら、遠すぎるって言うんだから!」
そしてこう続ける。
「この巡礼路で出会った一番おもしろい人はHiromiよ!」
おいおい、ちょっと待ってよ。クリストフより、私の方がおかしいの?
そこでペラが私に黙って差し出してくれたものは・・・・・ヨーグルトだった。
彼は店で私と店員のやり取りを見ていて、ヨーグルトを買い、一つをくれたのだった。
こんな優しさは、彼らしいもの。
何気なく、さりげなく、押し付けがましくないこういう親切には、心の深くまでズンと響く。
私が感激していると、となりにいたヘスースおじさんが、そんなに好きなら二個あげるよと、さらにヨーグルトを出してくる。
これ以上は要らないっていうのに!
ヘスースおじさんのヨーグルトも、義理と人情で食べることにした。
ん?プレーンだ。それも嫌いではない。
マリアが聞く。
「味はどお?」
「おいしいけど、砂糖が入ってない。」
エスメラルダのバッグから、どこかのカフェでもらってきた砂糖がすーっと出て来た。
みんな大笑いしている。
これも断れない。少しだけかけて食べる。
「何で最初の一口で砂糖が入っていないって言わないの?」
砂糖なしでも良かったとは言いにくくなっていた。
テーブルには入れ替わり立ち代わり人が入っては出ていく。
私はすっかり根が張ってしまい、座ったまま。
だいぶメンバーが代わっていた。 初めて見る二人が座った。
二人はカセレスの出身だと言う。
私が愛してやまない『銀の道』沿いのなつかしい街の名だ。
話はもちろん、『銀の道』へ。
二人は自転車で今回も巡礼しているが、『銀の道』も、自転車で走っているという。
そして、『銀の道』もずいぶん変わったのだと言う。
巡礼宿も増え、矢印も道も整備されて、歩きやすくなったと言う。
「いつ歩いたの?」
「2005年。」
「じゃ、その後だよ。道が整備されたのは。また行くことがあったら、情報を教えるから連絡して。」
と、メールアドレスを教えてくれた。
アントニオとミゲル。
二階に行くと、ウリが明け渡してくれたベッドは、エスメラルダとペラに挟まれた場所。
おまけに上段は、さっき話した親切なカセレスのアントニオだった。
数日ぶりに再会した 、中年三人組がこう言った。
「仲間の一人が足を悪くしたので、僕たちは明日バスに乗ってサンティアゴへ行くよ。」
あとわずか60kmだというのに・・・・・。
ペラは音楽を聴きながら寝ている。
その音が漏れてうるさい。
いや、もっとうるさかったのは、強烈なイビキ。
これは、ペラでもウリでもない。
もっと遠くから聞こえてくるのに、激しい音。
翌朝話題になったその音の主は、昨日からみかけていたドイツの熟年カップルの奥さんだったそう。












































8/20 Miraz
/ 88.1km
朝になると、やっぱり今日は34km先のMirazへ行こう!と心に決めた。
今日も隣の大きな街を出るのが難しい。
このところ、よく会うドイツ人の女性がいた。 彼女は大人しく、いつも一人で居る。
闇の中に、その彼女の背中をみつけた。
かなり遠いが、はっきり彼女だとわかった。
街に入ってからも、ガソリンスタンドや、Barの人に聞きながら、やっと道しるべを見つけた。
そして道はCaminoと言われる典型的な巡礼路に入っていった。
ここまで来れば、何も問題はない。
そして・・・・
ひたひたと忍び寄ってきたのは、マリアとヘスースおじさん。
「今日はMirazまで行くんだよ。」
ヘスースおじさんはこう言って追い越していった。
もう、ゴマとサムエルの姿はなかった。
20km地点のバーモンデにやってきた。 巡礼宿も見えている。
この時間で、ぎりぎりベッドがあったようで、これじゃあマックス6人衆も、ダニーの男組も、今日もベッドがないのだろうに。
バーモンデは、Mirazに行く手前にある、唯一つの町である。
マリアから、今日行くMirazには、店が一軒もなく、事前の村で食料を確保しておくようにお達しも出ていた。
巡礼宿が見える場所で、地元の人にスーパーの場所を聞くと、顔見知りのスペイン人が、巡礼宿の前で私を呼んでいる。
ここに巡礼宿があると教えてくれているのだろう。
でも、今日はそこには泊まらない。
さて、スーパーで何を買おう。
重いものは買いたくないが、お気に入りのチーズのブロックがある。
他にはサーディン缶やトマトなどを買う。
そしてとなりのBarで休もう。
コーヒーを一杯飲んで、ここから先にさらに14km。
これでマックス6人衆や、ダニーの男組ともお別れになる。
でも、この先へ進むのが、私のペースであり、再編された仲間のペースなのであった。
12時を過ぎると、いくら北とは言え、ジリジリと暑くなる。
最初の3kmは、コンクリートの道。
一番イヤなパターンだ。 今日の私営の巡礼宿にはベッドが14こ。
グループが二つに分かれたとは言え、今日、バーモンデから14kmだけ歩いてくる人達も多いはずだ。
ベッドがあるかどうかはわからない。
知っている限り、私の前を歩くのは、マリアとヘスースおじさんだけだった。
コンクリートの道は、長く感じられるものだ。
日陰もない。 すると、後ろから忍び寄る声が・・・・・。
振り向くと、まだ遠くにではあるけれど、初めて見るカップルが歩いてくる。
徐々に徐々に近づいてくる。
ここで追い越されまいと、頑張るのもなぁ・・・。
やっと、歩いていた道に平行していた線路を越えて、田舎道に入って行く。
橋を渡るとそこに古い教会があった。
ここには冷たい水が出る泉もある。 ここで一休みしよう。
すぐ近くまで迫っていたカップルに、挨拶をしながら、ここで荷物を降ろした。
水場に行く前に、裸足になって、ビーチサンダルにかえる。
そして水場に座り、足を冷やす。
これさえできたら、私はとても強いのだ。
いまだにまっすぐにならない足だったが、痛みを忘れる時間ができ、薄紙をはがすように良くなっていた。
そこへやってきたのは、例ののんびり屋のドイツ人、クリストフ。
私はすでに30分ほど休んでいたので、彼が教会の写真を撮っているあいだに、出発の準備を始めた。
「この水は飲めるかな?」
「飲んでみたけど、甘かったよ。」
彼はここを今日の昼食の場所に決めたらしい。
一人で歩き出した。
そろそろ始めるか。
最後の三分の一の距離になったら、音楽を聴くことを自分に許していた。
苦しい時までとっておかないと、効力が薄れるからだ。
元気がよく、気持ちの良いときは、音は何も要らなかった。
今年は『ゆず』。
さあ、飛ぶように歩こう!
♪泥だらけの靴でも、何度でも歩き出せるさ♪ (アゲイン2)
調子良くどんどん進んでいく。
休んでいた、さっきのカップルを追い越した。
彼らも私の後を追うように、すぐにやってきたが、音楽のスィッチが入った以上、もう誰も私を止められない?!
なんだか闘争心が沸いてきた。
今日は14コしかないベッドをいただくぜー!
もうあと数キロというところでBarを発見。
入りたい衝動にかられるが、今日は勝負をかけて,(?)横目でちらりと見て通り過ぎる。
やっと、村に入ってきた。
今日の巡礼宿は、私営なだけに、普通の家のよう。 中に入ると、見知らぬ顔ばかり。
キッチンで食事を作って食べている人が多い。
どこにオスピタレイロがいるんだろう?
「ここにはいないよ。どこかでかけたかも。ブロンズの女性よ。」
そこへ現れたのは、この宿の世話人のスイス人の女性だった。
「ベッドはありますか?」
女性は、ノートを見ながら、
「最後の一つよ。」
やったーっ!
二つの部屋があって、中には知らない人ばかり。
やはり昨日、十数km手前から歩いてきた人達のようだった。
一人見覚えがあったのは、朝みかけた静かなドイツ人女性だけ。
もちろん、別の部屋にはマリアとヘスースがいた。
今日はシャワーの前にまずビール!
何もない村と聞いていたが、Barが近くにあったのだ。
ビールを持って外に出ると、テーブルが一つしかない。
そこには先客がいた。
巡礼の男女で、初めて見る顔だった。
「ここに座っていいですか?」
こういう時、笑顔で迎えてくれることが100パーセント以上の巡礼路で、ダメだとは言わないが、女性があきらかに嫌な顔をした。
どうせふた口でビールを飲み干しちゃうんだから、まっ、いいか。 二人がどんな関係かは知らないが、確かに込み入った話をしているようだった。
どちらも母国語ではない英語で話す。
「だから、私に意見を言ってよ。」
男の方は、頭を抱え込んでいる。
「意見て?」
「何かあるでしょ。私にアドバイス、アドバイスをして欲しいのっ!」
その女性の言い方は、男性を脅しているような強い口調だった。
予定通り、ビールをふた口で飲んで
「またねー。」
私は逃げた。
戻ると、先ほど抜きつ抜かれつ歩いていたカップルが到着した。
「ベッドはあるかな?」
私に聞いてくる。最後のベッドをもらったことは言いづらい。
「ありますよ。でも、マットレスだけどね。」
「そりゃありがたい。むしろその方がいいんだよ。」
カップルの男性はおじいちゃん。女性は40歳の美人のフランス人。
シャワーを浴びて、洗濯を済ませて庭に出る。 芝生の庭には洗濯物がたなびき、それぞれ巡礼者がくつろいでいる。
マリアとヘスースおじさんも、そこにいた。
マリアは
「日本語を教えて!」
まずは数字からだそうで、1から10まで。
「いち、に、さん、、、おもしろいわ!」
100まで覚える。そして紙に書かせる。
「日本のアルファベットを教えて!」
これも紙に書く。
勉強熱心で、一生懸命暗記している。
マリアはコンピューター関係の専門学校を今年卒業し、9月からはアイルランドに一ヶ月の留学が待っている。
「コンピューターに関することは、英語で学ぶしかないのよ。本を読むために、英語が必要なの。」
私は、バケツに水を汲んで、椅子に座って足を浸した。 冷たくて気持ちがいい。
それをヘスースおじさんが見て、真似をする。
そういえば、おじさんも昨日、氷で足を冷やしていたっけ。
そこへのんびり屋のドイツ人、クリストフ君が到着。
彼も輪に入る。
今度はマッサージ。 私がいつもやるセルフマッサージを始めると、みんなもやっている。
私がヘスースおじさんのツボを押すと、飛び上がって泣かんばかり。
それでも体が軽くなることを実感して、もっと教えて欲しいと言う。
クリストフは、子供の頃から武道が好きで、セルフ・ディフェンスのやりかたを実演してくれた。
芝生の上に座ると、自然に会話が弾む。
のんびりとした最高のひとときかもしれない。
続いて、ウリとペラも到着。 ペラがシャワーを使う間に、ウリだけ庭にやってきた。
彼も座る。
もう一人、見知らぬ顔の男の子が近くにやってきた。
彼は紅茶を飲みながら、私たちの話を聞いているだけ。
見かけはカリブ系。肌が真っ黒で、アフロヘアー。
同じような国籍の女性と一緒に来ている。
まだ、10代だろう。私は、この二人はいつも仲良く歩いているので、カップルだと思っていたが、かなり後で知ったのだが、二人は姉弟であった。
誰かが彼に聞く。
「どこの国から来たの?」
すると答えは意外にも
「ドイツ」
そう言って、クリストフと話し始めた。
「そろそろBarにビールを飲みに行く時間じゃない?」
マリアが言う。
ヘスースおじさん、クリストフも一緒に、4人でBarに行く。
どうやら今日のビールは、ヘスースおじさんのおごりだ。
さっきの一つしかない外の席も今は空いていた。
一杯だけ飲み終えて帰っていくヘスースおじさんと入れ替わりに、ウリとペラもやってきた。
今日はここで夕食の宴が始まる。
私も、スーパーで買ってきたチーズやサーディン缶を開けた。
このタイプのBarなら、持ち込みも歓迎される。
すでにあたりは暗くなっていたが、宿に戻ると、まだ室内の明かりは点いていた。
部屋には二段ベッドが5つあった。
こちらは大きい方の部屋で、マリアたちが入った部屋には四人部屋。そして階上にはウリたちがマットレスを敷いて寝る部屋がある。
すっかりみんなの寝支度も終わり、全員がベッドの中に入ったのに、電気は点いたまま。
イタリア人の男性グループのひとりが、さっきのアフロヘアーのドイツ人のベッドへ向かう。
姉も弟も、分厚い本をさっきから読んでいたのだ。
電気を消すことを告げると、姉は本を持って部屋から出ていった。
弟は本を閉じた。 回りのことに気を遣わない人達だと思ったが、彼らは後々出会った時も、本を読んでいる姿を目にした。
電気が消えると、今度は世話人のおばさんが入ってきた。
ベッドを一つ一つ点検して、出て行ったかと思うと、また点検。
ベッドは記録の上では全部埋まったはずなのに、一つ空いている。 その本人は、ベッドを捨てて、マットレスの方がいいと、階上に上がって寝ていたのだった。












































































工事現場の道しるべ
ここも工事中
ローマ時代の橋
古そうな道しるべ
木いちご(セイヨウヤブイチゴ)
ファビーと馬のパチーノと再会
今日の巡礼宿
奥にあるのがミニ・ボカディージョ
マリアの後ろにいるのが・・・ドイツ人のクリストフ
クリストフの買い物袋
Barのお姉さんは、レストランのお姉さんでもあった
左がペラ、右がウリ
マリア
古い橋
よく見ると『111.111km』
古い橋
古い橋
よく見ると『111.111km』
ポーランド人
この道は長かった
そしてやっと、田舎道に入っていく
橋を渡る
橋を渡る
ここには古い教会があり、水場があった。クリストフ。
今日の巡礼宿
勉強するマリア
ストレッチをするヘスースおじさん
芝生の上でくつろぐ
Barで買ってきたもので夕食をすます
ヘスースおじさんと、静かなドイツ人女性
後ろに写
っているのが、アフロヘアーの弟
巡礼宿で朝食をいただくウリ、ペラ、クリストフ。
ダニエルおじいちゃんとキャロル
エリカの花
野生のカモミール
牛追いおばちゃんが来た・・・後ろから来るのは・・・?!
クリストフだった・・
クリストフが休んでいると、ウリとペラもやってきた。
早足イタリア若者三人組
フランス人のソフィ
踊るソフィ
ソブラード・ドス・モンヘスの修道院
回廊で食事会、エスメラルダ
明日はバスに乗って帰ってしまう、中年三人組