アビラとセゴビア

次の目的地は歴史的モニュメントが控える、アビラとセゴビアである。 どちらもマドリッドから列車で2時間ほどの内陸に位 置する。
ラ・コルーニャから夜行列車に乗りアビラに向う。
まだ暗い朝の6時半、前夜から私たちが下車することを知らせてあった車掌さんが起しにきてくれた。 手早く荷物をまとめ、通路で列車が止まるまで、私たちと共に待っていてくれた。
そして高台に大きく町を囲んでそびえる城壁が外側からオレンジ色の照明で映し出された幻想的な風景が目に飛び込んできた。そこがこれから私たちが訪ねるアビラだと教えてくれた。
列車の中から見たアビラの町は砂漠に忽然と現れた巨大な空想上のお城のようであった。
駅で荷物を預けているあいだに陽は昇りつつあった。 1kmほど歩いて列車から見たあの城壁の町に入る。
城壁の門は巨大で、外部から隔離された壁の中は中世の頃そのままで、まるで映画のセットの中とか、テーマパークのようであった。

セゴビアへはマドリッドに列車で戻り、そこからバスを利用した。
ここは、ヨーロッパ各地に点在するローマ時代の遺跡、水道橋がもっとも原形に近い形で残っていることで有名だ。
町の広場を囲む商店は古々しくていい感じ。小さい町ながら見どころはたくさんあるし、ただあてもなく散策するだけで楽しい。
まずは石畳の小道を下り町外れに出ると、大きくりっぱな水道橋が見えてきた。石の積み方、形は彫刻のように美しい。しばらく下から見上げたあと、橋の横の丘に登り、上から再び水道橋を眺めると、アーチの間から遠景に美しい緑のグラデーションが見えた。

翌朝、夜明けと共に起き出して、昨日見残したお城、アルカサールまで行ってみた。もう一日滞在を伸ばしたいくらいだったが翌日はRCAの同級生だったエドちゃんとマドリッドで待ちあわせしていたので、あきらめざるをえなかったが、アビラにせよ、セゴビアにせよ、たまたまガイドブックの小さな見出しを見つけて訪ねただけの地であったが、どちらも見ごたえがあり、他のスペインの町とはまた違った魅力もあり、再びスペインの奥深さと大きさを感じた。

私たちがたびたび感心したことは、スペイン人に道を尋ねると、それはそれは丁寧に答えてくれるということ。こちらは道を尋ねるくらいのスペイン語はわかるので、道すがら手近なひとをつかまえて尋ねるわけだが、私たちが見慣れぬ 旅の東洋人だからといって、人見知りをしたり逃げたりはしない。5分でも10分でもひたすら一人でしゃべっている。右に曲がるとか左に行くとかは勘でわかるが、80パーセントはわからない。こちらの相槌が上手なのか、気にせずめげずに話し続けてくれる。

前の話に戻る(アビラとセゴビア)この話の続き