オータキ 1/35 ハンティングタイガー  CHAPTER1 ギミック編




 時に2000年11月11日、「ツインスターメーリングリスト(Gamo氏主宰)」「田宮模型歴史研究室(助手氏主宰)」及び我「プラモデルの王国」のプラモデル関連3サイトが共同で企画した『動く戦車オフ会』が開催された。このオフ会のメインイベントである戦車バトルは今年からレギュレーションが設けられたが、プラモデルの魔改造で世界征服を狙うオヤヂ博士はレギュレーションの制約に囚われない無制限バトルでの優勝を狙うべく、恐るべき超重量級タンクの製造に着手した。
 博士の魔改造技術によって産み出されたその車輛は実に全備重量2.5キログラム、1/35のスケール重量(=35の3乗倍換算)107トンに達する怪物車輛として完成し、無制限バトルでは他の強豪3輌を退けて部門優勝を成し遂げたのである。
 その後レギュレーションクラスで33輌を下した優勝車輛が急遽単二電池12本を追加搭載し、二階級制覇を目指してオヤヂ博士に挑んできたが、手に汗握るバトルの末に相手車輛を場外に沈めて総合優勝を勝ち取ったのは、この怪物『ハンティングタイガー』であった!
 



 これが今回魔改造のベースとなった旧オータキの1/35『ハンティングタイガー』である。今から20数年前のキットであるが起動輪、誘導輪、転輪、サスペンション用車軸、キャタピラ等の足回りにダイキャストを使用した超デラックスキットで、1/35スケールながらパッケージも608mm×336mmとビッグサイズである。このスケールで4,800円という価格も当時としては破格のものであった。
 

 右はキットのパッケージング概観。68点に及ぶダイキャスト部品とモーター組み付け済のギアボックス等金属パーツが整然とシュリンクパックされている。車体の大きさに比べて、如何に大きなパッケージであるかが判るであろう。
 キャタピラは連結式だが特殊製法によって製造時点で22コマ毎に連結されており、それを3連分繋げる事で片側のキャタピラが完成する。
 

 同キットの心臓部。ステンレスをプレスしたクラウンギア以外は全て厚手の真鍮削り出しギアを使ったギアボックスで、オリジナルはRE−26がセット済みであった。当初オヤヂ博士はキット素組でレギュレーションバトル出場を企図したが、タミヤの1/35戦車に準拠したレギュレーションではRE−26は単品使用しか認められず、レギュレーションから外れた為、「いっその事」という判断の下、トルクのより強力なRE−280に換装してある。
 強靭な足回りと共に、この強力なパワープラントと堅牢なギアボックスが、怪物マシンの安定した走行性能を約束した。
 

 キットでは巨大なジョイスティックタイプリモコンボックスが付いていたが(梱包写真の右端のもの)、これは3線式配線故に超信地旋廻が出来ない構造であった。これは戦車バトルでは致命的で、長いジョイスティックの操作性の悪さも懸念された為、急遽タミヤの縦型リモコンボックスを流用してオリジナルコントロールボックスが製作された。
 昨年のバトルにタミヤ1/35「シェリダン」で参戦したオヤヂ博士であったが、その時はこのタイプのリモコンボックスを無改造で使用したもののレバーのストロークが長く、瞬時の判断とレスポンスが要求されるバトルでは不向きである事が表面化した為、両手によるホールドの確実さも考慮して横置きタイプに改造してある。
 横置きタイプという事で、当初はタミヤの旧型リモコンボックスでお馴染みの「4個の押しボタン式」に挑戦したが、マイクロスイッチ取り付け方法に苦慮し、結局14セットのマイクロスイッチをスクラップにしてその方法を断念し、最終的にはタミヤ純正の6Pトグルスイッチ(自動中立機能付き)2個を使用する事とした。結果完成したのがこのリモコンボックスで、これにより俊敏確実なオペレーションが可能となった。
 機能・操作性とは直接関係ないが、ジャンクパーツに埋もれていたこのリモコンボックスは傍にあった輪ゴムの浸潤などで表面がボコボコ状態であった為、ペーパー掛けの後にフラットブラックで塗装し、仕上げにタミヤのステッカーでドレスアップされた。
 

 キットの堅固なシャーシー部分。サスペンションはトーションバーではなく巻きスプリングで保持されるが、サスと転輪を結ぶクランクは左右で同じ部品を使っている為「対象」とならず、左側ではサス軸から前方に向かってクランクして転輪を取り付けているのに対して、車体右側ではサスの可動軸は後方に向かってクランクして転輪を取り付けている。その為に車内のサスペンションレイアウトも非対称となっており、左右ではサスの回転軸位置にかなりの差が出ている。
 写真は車体を後方から前方に向かって撮影したもので、サス機構の左右の食い違いがはっきりと判る。
 ト−ションバーを模したサス機構を内部で支える左右2本の肉厚のリブは、堅固な2本のキールとして車体強度を上げる重要な縦貫構造材となる。
 

 今回無制限バトル用に準備されたウェイト群。全て釣り用の鉛の流用である。右端は300匁の紡錘形錘を車体に合わせて切削加工したもので、それ以外は通常の板鉛を加工している。
 これで合計1.7キログラム強のウェイトとなる。
 

 ウェイト積載状況。戦闘室内部はほぼ満杯状態となり、後部ハッチを開けると鉛の塊が顔を覗かせる。
 

 ウェイト全備状態で車体を床に置くと、片側9輪・左右合計18輪のスプリング付きサスペンションが殆ど完全に沈み込み、シャコタン状態になる。
 この状態ではキャタピラのテンションがゆるんで遊びが大きくなり起動輪の空回りが発生する為、バトル時にはギアボックスを最大限に前進させて、最初からテンションをギリギリまで上げておく必要がある。
 

 キッチン用の計量器で重量を確認しているところ。「2キロ計」の針が一回りし、更に500グラムの所を指している。鉛の量を調整してある為、ぴったり2.5キロになっているのが分るだろうか?
 単三アルカリ電池1本が20グラムであるから、この車輛1輌で単三電池125本分の重量となる!
 2.5キログラムというと、絶対重量としてはさほど重く無さそうに感じるかもしれないが、1/35スケールの車体サイズに質量が凝集した場合、その体感重量は倍化する。金属性足回りで初めて実現可能な重量といえる。
 


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