フジミ模型株式会社
  
≪特報≫ 海底軍艦 轟天號 フジミより発進!


キットレビュー6


 キットレビューもいよいよ最後になり、締めくくりに相応しい力作を紹介させて頂きます。

 その作品は、特撮系インディーズビデオの最高傑作と呼ばれる『目覚めよと呼ぶ声あり』を手掛け、ビデオ作品としてリリースされたオリジナルSFシリーズ『VISUAL BANDITS(ビジュアルバンディッツ)』3部作やウルトラマンネオス第10話『決断せよ!SX救出作戦』などの監督でもある“TAC”こと宮本拓氏の製作したディオラマ仕立て轟天号です。特にこの作品は現在発売中(2002年1月24日発売)の雑誌モデルグラフィックス3月号にも掲載されているホットなものです!

 作品は2001年12月に宮本監督がプラモデルの王国世田谷出張所へ持参され、王国の備品であるキャメラを使って監督手ずから撮影されたもので、更に監督自身の手で若干の画質調整をされて完成致しました。では、早速その作品をごゆっくりお楽しみ下さい。(キャプション中の太字部分は、宮本監督御自身に書き起して頂いた解説文です。)

※ 当サイトの全ての海底軍艦関連画像はフジミ模型「海底軍艦」の広告告知のために使用された物です。
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 轟天号自体は、先行発売されたノーマル版を製作中に金属製ドリル・エッチングパーツ付きの豪華版が登場したため、急遽「ウリ」のパーツを差し替えたりして完成させました。プラの材質が柔らかいのでややデリケートな作業が必要でしたが総じて作りやすく、塗装も含めて2日で完成しました。ベースはプラ板の箱組ですが、ブキッチョなものですぐに歪んでしまい、癇癪おこしつつ2度ほど作り直してます。
 

 クレーンは1:700ウォーターラインシリーズのものを改造して使っていますが、劇中に登場するものとはやや形状が異なってしまいました。「雰囲気づくりの小道具」と割り切ってご覧いただければと思います。細いトラス構造のほうはエッチングパーツです。木材だとか治具(のようなもの)といった小物は、各種プラ材やプラモのパーツを切り刻んだものです。もう少しニギヤカにしたかったのですが…。
 

 当初ドリルはアルミの質感を活かして塗ろうと思ったのですが、1:700というスケールと空気密度を考えると、あまりキラキラするのもどうかと思い、つや消し黒やガンメタルをブレンディングの要領で塗り重ねた上からタミヤ・ペイントマーカーの銀でドライブラシして仕上げてみました。
 

 特撮シーンの記録写真等を見ると、ドック内には「これはもしかして海戦映画に登場した軍艦のミニチュアの部品かな?」と思えるクレーン等がさりげなくレイアウトされているようなので、1:700WL用エッチングパーツを使用して再現してみました。轟天本体の塗装は、普段よく作るAFVの感覚で、ドライブラシとウォッシングによって微妙な色調の変化を出そうと苦心しましたが、小さい船体ではなかなか難しい作業で、もう少しメリハリをきかせるべきだったかなと思っています。
 

 今回広報担当イチオシの構図。宮本監督に頼んで敢えて撮影して頂いたショットです。

 正面側から見られることの多いシャドーボックス風のミニディオラマなだけに、奥のドック岸壁と轟天号に挟まれた狭い空間を覗き込むこのような構図は、逆に目新しいリアルさを感じさせはしないでしょうか。
 実際には船体と数センチしか離れていない轟天号と岩盤ですが、短焦点キャメラならではのパースと相俟って実際にその場にいるような緊張した雰囲気がありますね。

 さて、700分の1の大きさになった目でこの画像を今一度凝視して下さい。どうです?轟天号の艦尾は紛れもなく200メートルの彼方にあるでしょう?
 これぞ「縮尺された空気」まで演出する宮本マジックの真骨頂と言えましょう。

 この画像では船台のレールとドックの底が写っていますがこの部分について監督は次の様にコメントされています。

 ドックの底にはケーブルが数本這っていて、それも再現しようかと思いましたが「ありゃ、これは照明用のケーブルじゃねーか?」と判断してやめました(^^;)

 将に特撮作品の監督らしい見識とちゃめっけの溢れるコメントですね!(^o^)/
 

 これが今回紹介した轟天号ディオラマの全景です。撮影は王国世田谷出張所(広報担当の自宅)客間のコタツの上で行われました。
 パースがついているものの、手前のタバコと左奥のティーカップとの比較から、大体の作品の大きさが判って頂けると思います。
 フジミの轟天号をまだ御覧になっていない方は、この画像で意外なほどに小さい作品全景である事がお分かりになるでしょうし、また既にこのキットを御持ちの方は、あらためてこのディオラマ作品のスケール密度の高さを実感されたに違いありません。

 因みに撮影時の照明は家庭用蛍光灯とZライトで、Zライトは王国広報担当の私が手で持って、監督の指示で操作したものです。プロの監督の指図で照明さんするのって、結構イイ感じに緊張しました。
 こういうのって将にライト・スタッフって言うのでしょうか?

 宮本監督:「言わないと思います。(^_^;)」
 広報担当:「畏れ入ります。m(_ノ_)m」
 
 今回プラモデルの王国の特集に御協力頂いた宮本監督が主催してリリースされている、映像業界模型趣味人共同組合バナナっ子クラブのホームページはこちらです。宮本監督はあのソフトスキンモデラー集団として有名なホイールナッツのメンバーでもあり、素晴らしい作品の数々が御覧頂けます。

 宮本監督御自身のサイトでもこの作品を紹介したページがアップ致しました。→こちらです。 (2002.06.02追加)


 今回の企画に御協力頂きましたフジミ模型様、東宝映像事業部様、モデルグラフィックス編集部様、キットの素晴らしい箱絵を描かれた高荷義之先生、並びに個人で御協力頂きました岸川靖様、T.M様、小宮山満雄様、宮本拓様にこの場をお借り致しまして深く御礼を申し上げます。特にこの立体企画を発案され、各方面に調整をして頂きました岸川様なくしては、プラモデルの王国始まって以来の3ヶ月に及ぶ大型特集は成し得なかった事を思うと、最大の感謝の意を禁じ得ません。本当にありがとうございました。
 また最後になりましたが、この素晴らしき艨艟「海底軍艦」のデザインを我々に贈ってくれた故小松崎茂先生の御冥福を心よりお祈り致しております。
 

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