謎の大型潜水艦模型

旧日本海軍 特型潜水艦 (2)



画像提供:けんたさん
 今度は艦橋部分の俯瞰です。方位測定儀のループアンテナ、ラッパ型の電探、精緻な八木アンテナなど、確かな資料に基づいて製作された事がはっきりと判る素晴らしいモデルですね。ただ残念な事に甲板から搭載機格納筒の側面を這い上がって伸びている給排気筒の先に付く逆U字型の先端部や第2潜望鏡、短波無線檣等が紛失している様ですね。まあこのあたりは艦船モデラーであるけんたさんの御得意の領分でしょうから、復元計画も抜かりなし、といったところでしょう。
 

画像提供:けんたさん
 若干暗めの画像の明度を上げたので粒子が荒れてしまいましたが、その迫力は充分に伝わるかと思います。手前に写っているのは砲艦サンパブロ…ではなくて、多分けんたさんが昨年末に作られた「長鯨」のフルハルモデルかと思われます。
 手前味噌になりますが、プラモデルの王国とは姉妹サイトであるウェブサイトギャラリーのメカニック・レテのコーナーに、このショットと丁度同じアングルで描かれた伊400のイラストがあるので、宜しかったら参考までに見比べてみて下さい。
 

画像提供:けんたさん
 さてここでようやく決定的なショットです。冒頭から意識的に避けてきたこのモデル最大の秘密は実は船体後半部分が無い事でした。

 けんたさんからの画像送付は2回に分けて行われましたが、王国のトップページに掲載したショット等、今回前半部分で掲載した第1回送付分の写真で舞い上がってしまった王国広報担当は、てっきり全体モデルであると勘違いして「3メートル…」発言をしてしまいました。何の事は無い、注意深く見ればバックの天井のコーナーなどから、壁に穴でも開けていない限り船体後半は断ち切られているのが容易に想像がついたはずでした。そんな訳でこの1/40特型潜水艦の”モデル”は、3メートルには及ばずにほぼその半分の長さとなっています。

 初めはこの最後の画像だけ伏せておき、「このモデルの秘密は?!」とやりたかったのですが、興奮の乗りそのままに一気に最後まで突っ走ってしまいました。でも皆さんもその方が精神衛生上良いですよね。
 
 最後にこの模型の出自に纏わる部分はきっと皆さんも気にかかるところでしょう。そこでけんたさんからのメールの内容を要約すると・・・。

 この伊号はいまから1年半ほど前に、大映の調布撮影所が駐車場を建設する為、美術倉庫を取り壊して縮小するという事があった折に、縁あって入手したものだそうです。ところが、調べても由来が判らない。大映の戦争映画では「ああ、海軍」などがあるもののそれは大戦初期の話で、伊号の特型は出てきません。その他の大映作品(テレビ含む)にも、伊号の特型が出た事実はなかったのです。しかもこのモデルは、前半分のみ。各部可動はアップ用。材質は木と樹脂、それにブリキの加工であることから、どこの会社が作ったのか、そして使用されている材質から、いつ頃のモノなのかは、大体判明しましたが、肝心の作品が判りません。

 とまあそういうわけなのですが、果してこれは一体何に使われたモノなのでしょう?…と、ここで期せずして出題者側も答が判らないと言うとんでもないクイズになってしまいました。どなたかその辺の事情を御存知の方、あるいは手がかりになりそうな情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら王国まで御一報下さい。
 

<補足>

 この謎の大型潜水艦模型の話題を2000年の初頭にトピックスのページにアップして以来、上記情報提供のお願いに関して何人かの方から御連絡を頂きました。
 まず2002年9月には王国広報担当へウェブサイトアステロイズの隕石山師さんから私信を頂きました。その時の内容を要約すると以下の通りです。

 確か70年代末頃だったと思うのですが、第二次大戦中の日本の航空機建造計画を扱った特撮てんこ盛りのTVスペシャルで「さらば空中戦艦 富嶽」というものが有りました。番組の最後の方で、活躍想像図ならぬ活躍想像フィルムって感じで、富嶽がニューヨークに飛来し、高層ビルや自由の女神を爆撃して吹っ飛ばす(ヤバ過ぎ!)という特撮シーンが有り、それを担当していたのが確か大映でした。
 その番組が好評だったのか、しばらくして今度はイ号400潜を扱って同様の番組が放送され(タイトル失念・・)、富嶽の特撮フィルムも再使用されて、より豪華になってました。この番組にも富嶽同様、大映によって新撮の特撮フィルムが製作され、400潜浮上、艦載機(清嵐?)発進、運河(パナマ?)を攻撃破壊、といった内容でした。この400潜の浮上特撮シーンというのが、艦橋の後ろから船首を見る構図のまま水中から浮上するのをワンカットで見せるという凄いもので、「特撮において水は縮尺がきかない」ということから考えて、ミニアチュアはかなり大きかった筈。多分その謎の400潜はその番組用に製作されたものでは無いかと思います。


 この時点ではまだ番組のタイトルは不明だったのですが2005年5月に王国掲示板にFirefoxさんから以下の投稿がありました。

 伊号400潜水艦についてサイトを寄っていたらこちらのサイトに流れ着きました。大映で見つかった特潜のモデルは推定ですが、今から20数年前に木曜スペシャルという特番「さらば海底空母 伊401幻のパナマ運河大爆撃」に使われたものと思われます。先日ビデオ整理しておりました所偶然発見してびっくりしていたところです。東宝の俳優さんの実写再現映像と当時の関係者の方のインタビューがその内容です。当然出撃時に特撮部分があってその為のモデルかと思います。番組最後に大映映像とNTVのクレジットがてでいましたから間違いないと思います。

 上記内容を、このページの仕掛人であったけんたさんへお伝えした所、けんたさんもその後独自の調査で同じ結論に達しておられ、謎の特型潜水艦模型が出演した作品は「さらば海底空母 イ401 幻のパナマ運河大爆撃」に間違い無いとの結論に達しました。
 けんたさんは2002年にイラストレーター高荷義之氏の画集「ワンダー アート タカニスタイル」をフィーチャーされていますが、その中で奇しくもけんたさん自身が所有されていたこの大型模型と高荷氏の接点が例の特番であった事を確認されています。実はこの番組の中で晴嵐発進時のイメージイラストがオンエアされているのですが、それが高荷氏の手になるものだったのです。
 「…タカニスタイル」のコラムではその事に触れており、放映日時とタイトルまでしっかりと書かれています。以下はその部分をけんたさんの快諾を得てオークラ出版「ワンダーアート タカニスタイル」から要約引用させて頂いたものです。

 テレビ番組に使用されたイラスト
 1983(昭和58)年4月28日、午後7時30分より日本テレビ系列において、木曜スペシャル「さらば海底空母−イ401」が放映され、番組中で(高荷氏の)イラストが使用された。


 このコラムでは小さいながら401潜から発進して急上昇する晴嵐の勇姿を描いたイラストとともに番組のエンディングテロップが紹介され、番組協力として小松崎茂、高荷義之、船の科学館、富士写真光機などの名前と社名が確認できます。
 またウェブ上の情報量が飛躍的に増加した現在、タイトルが判明すると更なる情報検索が可能となり、この作品は大映映像と日本テレビが製作したもので、特技監督は川北紘一氏であった事などが分ります。

 皆様御協力有難うございました。
 

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