ミドリ ジュニアモグラス CHAPTER3 魔改造完成編 




 ドリルとカッター駆動部分だけで8個のギアを使用している。

 車体儀装完成状態。前ページのミサイル仰角可動ギミック説明時の写真では既にこの状態になっているが、最上段のマイクロギアードモーター取り付け直後状態と比べると、ギアードモーターの取り付け補強バー、同じくクランクロッドの「スリコギ運動」ストッパーなどが追加されており、最終的なグリスアップも施されている。

 また前ページでは説明を省いていたが、左右の転輪部はシーソー式のサス可動となっている。この部分はオリジナルのジュニアモグラスの取り付け方法が簡単にそれを実現できそうな設計である為に多くの人達が一度は考えつくギミックだと思うが、意外にそれを実現した人は少ないのではないだろうか。
 オヤヂ博士はこのシーソー式サスの支点部分を含め、プラでモールドされた転輪と誘導輪のシャフト部分8箇所を全て3mmビスに替えて強度を確保している。ビスは皿ネジを使用し、適当な長さにカットしてヤスリで整形した後、ピンバイスとドライバーなどで開口した取り付け部分に捻じ込み、瞬着で固定している。
 また、センターガイド式キャタピラに対応した溝付きホイールに改造した事でホイール自体の幅が広がって転輪の内側の縁がサス部分に干渉するようになった為、ビス部分にオリジナルのポリキャップを輪切りにしてスペーサーとし、クリアランスを確保している。
 更にこのままだとネジ頭の十文字の切り込みが如何にもビスである事を主張している為、ポリキャップの残った頭部を薄くスライスして合成ゴム系接着剤でネジ頭部に接着してカバーしている。
 

 走行用ギアユニットは後からはめ込み、前部2箇所をネジ止めして固定する。

 走行用ギアユニットの組み付け。
 余裕度の全く無いギチギチのギミックレイアウトである事が分るだろうか?
 先の説明ではオヤヂ博士の霊感的インスピレーションですんなりとギアードモーターが組み込めたように書いたものの、実はギアードモーターと走行用ギア最前部の角とは僅かに干渉するため、エッジ部分の微妙な削り込みをしている。
 



 車体後部パーツはキットのままでも非常にはめ合せがよく、塗装後は皮膜の厚みで更に噛み合いがきつくなった為にビス止めのような仕掛を使わなくても充分に固定・保持ができる。

 右の2枚は車体後部の取り付け状況。

 上の写真は走行用ユニットを取り付けた状態を後部から見た所。4箇所のリモコンコード用コネクターのうち下に並んだ2つが走行用ギアユニットのもの。ギアユニットを車体に取り付けるだけでこの状態になるわけであるが、走行用モーターの結線を車体側から完全に独立させたメリットを実感して頂けるだろうか?これこそが「走行用ギアボックス」と呼ばず「走行用ギアユニット」と呼称している理由である。

 下はそのコネクターにリモコンコードをセットした所。車体後部部品の内側にはかなり余裕があるように見えるが、車体本体部分の張り出しやエグゾーストパイプ部品の基部の存在など、実質的にはここも狭い空間しか確保出来ない。
 実はプレート状スピーカーをラッパ状の噴射口基部にセットしてIC基盤によるバトル効果音再現を試みたオヤヂ博士であったが、振動金属板といえど流石にこの空間に組み込む事には失敗し、厚さ僅か1mmに満たない貴重なプレート型スピーカーは仮組時に敢え無く圧潰してしまった。ドリル回転用チューンドモーターのシャフト後端がギリギリ迄削り込んであるのは、このチャレンジの名残である。

 3本ある排気管の中央部に集中する8本のリモコンコードは意外に頑強にのたうち回っている為、これを慎重に圧縮する感じで後部部品をセットする。
 


 ドリル先端から車体後部につながるティアドロップフォルムの流麗なデザインは、他のモグラス兄弟3人にはないジュニアだけの魅力である。

 遂に完成なった4チャンネルリモコン式ジュニアモグラスのサイドビュー&トップビュー。操縦室上部のパトライトとシーソー式サス基部の追加モールド(□状のパーツ)を除き、外見上は全くのオリジナルデザインそのものであるが、ここまで魔改造製作記事を読まれた諸氏は、この内部に秘められたギミック濃度を既にご存知であろう。

 今は無き緑商会が1968年に年少者向けゼンマイSF戦車としてリリースしたジュニアモグラスは、それから30数年を経た20世紀最後の年、オヤヂ博士の魔改造によって最強のギミック戦車として蘇ったのである。オヤヂ博士が最初にこのキットの仮組をした時点からだけ考えても、実に10年以上の時間を経ての完成である。
 

 キャノピーから前方へ伸びる車体上部バルジの形状やフェンダー前部の切り欠きのあるラインなど、随所に設計者のセンスが光る。

 塗装面で特記すべきはドリルの金属表現である。ドリル戦車最大の見せ場であるこのセクションに、オヤヂ博士は単に「銀色スプレーを吹きました」以上の質感を要求した。その結果出来あがったのがこのドリルである!

 前述したように、キットオリジナルのドリルは非常に精度が低く如何にもオモチャっぽかった為これを整形し、サーフェーサー吹き付けの後に一旦グロスブラックで完璧なツヤ出し塗装を行い、仕上げにワークのメタリック仕上げ剤「こすって銀SUN(サン)」を磨き込んだもの。「こすって銀SUN(サン)」はなんだかなぁなネーミングとは裏腹に、驚異的な仕上りを約束するマテリアルである。耐磨耗性に若干の弱さがあるものの、一般のモデラーが完全なメッキ感仕上げの技法を獲得できるメリットは計り知れないものがある。
 

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