フジミ模型株式会社
  
≪特報≫ 海底軍艦 轟天號 フジミより発進!


 

キットレビュー3

 そして…轟天号は完成しました。動力魔改造を旨とするオヤヂ博士の血が騒ぎながらも、キットの実像を知ってもらうべく今回はストレート組みに徹しました。室内のプアな光源とそれ以上にプアな技術による撮影で、キットには申し訳ないような写真の出来ですが、そこは皆さんの「心眼」でキットの素顔を捉えて下さい。

※ 当サイトの全ての海底軍艦関連画像はフジミ模型「海底軍艦」の広告告知のために使用された物です。
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 遂に完成なった神宮寺大佐の愛国心の結晶、海底軍艦「轟天號」の勇姿。
 手前のネームプレートの銘板(印刷済みシール)は黒地に白文字だが、もう一枚ネガポジ逆転した白地に黒バージョンのシールもついている。
 展示ベースとネームプレートはメタルブラックで塗装している。

 轟天号のベストアングルでのショット。スケールにマッチした各部パーツの繊細さにより、フロム・ザ・ボックス…即ちキットに付いているもの以外の何ものをも使用しない全くの素組状態でこれだけのものが完成する。
 そもそも電動ギミックによる魔改造を得意とするオヤヂ博士(=筆者 σ(^_^;) )は、繊細な仕上げというものは正直言ってあまり得意ではないが、そんなオヤヂモデラーが組んでもこのレベルのクオリティが約束されるのは有難いものである。

 土曜日の午後から製作に着手し、犬と戯れ、たらふく晩酌をし、老眼の始まった(?)目で細かな部品と格闘しながらも、翌日の昼にはここまで漕ぎつける事が出来る、そんなキットである。

 成人男子が掌をいっぱいに開いた時の親指の先から小指の先までの長さが約20センチとすると、このキットの全長214mmという長さはさほど大きくはない。しかしそこに凝縮されたディティールは中々のものであると改めて実感する。

 艦の主要部分のアップ。甲板部分が微妙なカーブで船体にフィットしているのがわかる。プロットを忠実に再現したこの部分に気が付いた時の感動はまたひとしおであった。
 こういった「う〜ん。」とうならされる部分が随所にあるのもこのキットの魅力である。

 一方、本体最前面のドリル基部に若干のヒケがみられるが、時間があればこういった所には手を加えたいものである。今回のキットレビューは、話題のホットなタイミングを外さない事が第一の目標であった為、本音の部分では「あとひと手間」と思う部分もあるが、逆に言えばそう言う部分に一切拘らない「おきらくモデリング」でもそれなりのクオリティの作品が完成する事の証明とも言えるだろう。

 実質的な一日モデリングで、サクサクと1つのキットが完成する事は、ある意味では非常に心の健康に良いカンフォタブルな模型製作である。最近妖怪カンセーセンに憑りつかれているアナタ!もしかしたらこれは大事な事かも知れませんよ。

 このキットは甲板部分と艦橋基部、つまり色の塗り分けが必要な部分が別部品である事が製作上の大きな手助けになっている。ドリルもポリキャップを使用して船体上下の接着後に差し込めるようになっており、塗装を前提にした製作過程をきちんと見据えた設計に徹していることが伺える。

 また、三つのカッター、四枚の尾翼は可動用支点となる取りつけ部分が「”C”状の切り欠き」となっており、必要であれば本体接着後に差し込み接合が可能となっている。但し筆者も一部それを行ったが、意外に力加減が難しく、艦首上面のカッターは切り欠き部分のツメを折ってしまった。甲板接着前であった為、なんとかリカバリが出来たが、不必要な部分でそれを行うのは避けた方がよい。・・・と言うことは、甲板接着を最後に行うのであれば、船体上下接着前に全ての動翼、潜航舵、カッターは事前組みつけが可能なので、後付け装着の必要は全く無い事になる。
 因みに今回の作例では、前述した動翼などは全て船体上下接着前に組み付けておき、船体上下を仮組した状態で甲板を取りつける前の開口部から接合部分に瞬着を流し込む事で船体上下を接着した。
 また艦橋部も甲板に仮組した状態で裏側から接点部分に瞬着流し込みで接着し、その後船体と甲板部分をやはり瞬着で「点付け」している。
 そして最後にドリルを差し込んで完成となる。

 組み立て完了後に気が付いて「しまったー!」と思った点が一つ。実はこのフルハルタイプのモデリングでは、シーウェイタイプの製作で使うバラストは使用しないのであるが、完成後の模型の質感を増す為に、艦底部分に鉄製のバラストを接着すれば良かった!という事である。
 これから組み立てを行う方は参考にしてみて下さい。

 最後に改めて1/700スーパー潜水艦の重量感を感じて頂きたい。

 とある模型店の店長さんとこのキットについて話した時に「ちょっと幅が広過ぎるんじゃないかなぁ。」とコメントされていたが、その意見が分らないでも無いほど立派なバルジ感である。しかし手元にある撮影用1mモデルの正面写真を見ると、キット以上に幅広感があるのには驚かされる。被写体スケールの違いによる広角効果の差はあるものの、実際の轟天号は意外に横幅があるのだ。
 因みに小松崎氏の設定デザインでは更にバルジの横幅が広く、正面図では横幅が高さの1.6倍以上(!)となっている。小松崎氏のイメージでは、轟天号はまさしく海底の戦艦、空を行く艨艟そのものであった事がわかる。

 今回の素組レポートでは非常に楽に製作が出来た事は今迄述べた通りだが、砲身の折損紛失をはじめ、実は部品の繊細さによる小さな失敗は数多くあった事を白状しなくてはならない。
 砲塔のツノは4回程ピンセットからはじき飛んでその都度作業机や床の大捜索があり、砲身は1本どこかに飛んで消え去り、瞬着を付けてセットしようとした探照灯も宙に舞った。(探照灯は諦めかけた時に自分の前髪に『固着』しているのを発見された)
 またランナーからパーツを切り離す時にレーダーアンテナの先端部分は折れてしまい、砲塔の旋廻軸は折れ曲がり、カッターの取り付け用ツメはポキリと割れてしまった。不用意に触った尾翼は塗装が乾いていなくて指紋が付いてペーパー掛けの手間が増え、噴射孔の接着の時に瞬着が染み出して指が轟天号の一部になってしまった…などなど。つまりこのキット製作に当っての最大の留意点は「万全の注意を払う事」といえるかもしれない。
 

 それでは、皆さんの健闘を祈って私からのキット製作レポートは終わりますが、今後以下の予定で継続して轟天号関連の紹介を行います。

 ・パッケージ依頼時のラフコンペ画像紹介。
 ・シーウェイモデル作例紹介。
 ・フルハルモデルによる建造ドックのディオラマ紹介。

 どうぞ御期待下さい。
 

 緊急おまけ情報!

 今回発売された轟天号に同梱されているフジミのチラシ(左)によると、11月にアルミ削り出しの三重螺旋ドリルとエッチングパーツの付いたアップグレードバージョンがリリース予定であると記されています。
 プラモデルの王国では、その噂の三重螺旋ドリルの画像の提供を受けたので、若干ピンが甘いのは御勘弁頂くとしてここに掲載致します。
 色が金色なので、これは真鍮製の試作品かもしれませんが、そのカッチリとした素晴らしい出来はお分り頂けるかと思います。
 エッチングパーツとこのドリルが付いて、プラス1,200円でキットが入手出来る?!

 「赤提灯、1回我慢すれば、オジサン自分でにこにこ!」(このフレーズが分った人は40代モデラーさんかな?)


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